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第37話 カーテンコール

これにて完結です。

ありがとうございました!

「ただいま」


「おかえりなさい!」


桃子は久しぶりに会った我が子を抱きしめた。


「紫…帰ってきたのか」


騒ぎを聞きつけて下に降りてきた白は、紫の姿を見て信じられないという表情をした。


「紫、おかえり。」


父は紫の姿を見つけるなり、駆け寄ってハグをした。


「さあ、紫の好きなコーヒーを入れるから、ちょっと待っててちょうだい」


感動の再会を果たした家族は、リビングに移動した。


「あ、でも、警察の方と探偵の方に連絡を入れなくちゃ…」


「俺が入れとくよ」


父親は電話を掛けに行った。


桃子はテーブルの椅子に座り、改めて紫と対面した。彼女は、前と比べて少し痩せているような気がした。身に纏う雰囲気も随分変わっている。


「紫、あなたがいなくなった半年間、どこで何をしていたの?」


桃子はなるべく優しい口調で、しかし、本題を切り出した。


「ごめん、それは言えない」


しかし、紫は口を閉ざした。桃子は困りきった。


「無理に聞き出すのも可哀想だけど、その、どうしても言えないようなことなの?」


彼女はなるべく娘を傷つけないように言った。


「うん」


「どういうことだよ。半年間も姿を眩ましといて、何の説明もなしか? みんな、心配してたんだぞ。どこもかしこも大騒ぎで、母さんなんか…」


「いいのよ、白。娘は無事に戻ってきてくれた、それだけで十分よ」


「そうだぞ。無理に話さなくていい」


父親も援護した。

紫は少し考え、言った。


「私は、上泉家の秘められた力を覚醒した。多分、私の話を理解できるのは、ひいおじいちゃんしかいない。お父さんはともかく、白、あなたもこれからの人生次第では力を手にする可能性があるかもしれない。まあ、そんな状況、来ない方が絶対いいけど。」


「上泉家の力? 何の話だ?」


案の定、上泉家の者は揃って首を傾げた。結局、紫が異世界での体験を話すことはなかった。


紫は久しぶりに学校に戻ったが、そこでも騒ぎが起きた。なにせ、半年も失踪していた者が急に登校するようになったからだ。学校内では、同じクラスだったはずのアテナがいた痕跡は全て消されていた。皆も彼女のことを覚えている者は誰一人としていなかった。

紫は徐々に、日常を取り戻していった。


ある日、紫はバスに揺られ、箕輪城跡を訪問した。その日は、少し雨が降っていた。山を登り、かつて城があった場所を見てみた。そこは、半分自然と同化していて、もはや何も残っていなかったが、唯一復元された城門は見ることができた。あとは、要所要所に看板とともに場所の説明が書いてあった。紫は、思ったよりも広大な土地を見て、なんとも言えない気持ちになった。ここで、かつて戦いがあり、業盛が自刃した。先人たちは、どう思ったのだろうかと、紫は彼らと同じ景色を見ながら思った。そして、今の世をどう思うか。彼らが願った平和は、実現した。でもそれは、永遠に続くものではない。平和を築くのは大変だが、それを維持するのも決して簡単なことではない。場合によってはそれ以上の労力が必要なのだ。しかし、今、それを忘れてしまっている日本人のなんと多いことか。彼らは、平和を当たり前のものと見做し、それを維持することを軽んじている。平和が崩れるのは簡単なのに。


紫は慰霊碑に手を合わせ、帰ってきた。


「ユカリー、久しぶり!」


紫は久々に聞いた懐かしい声、ここにいるはずのない存在に目を向けた。そこには、なぜかキャサリン、ラティーファ、リーザの3人が揃っていた。


「元気そうで、良かった」

「久しぶりに会えて嬉しいわ」


「どうして、あなたたちがここにいるのよ」


紫は思わず疑問をぶつけた。


「どうしてって? だって、言ったよね。」


雨は止み、空には綺麗な虹がかかっていた。


「バラディは不滅だって!」

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