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第16話 フランツィア王の謀略

マリー初登場シーン

フランツィア王の私室


フランツィア王アンリ4世は、執務室の窓から宮殿を出発していく勇者一行を眺めていた。


「陛下、報告があります」


その時、音もなく執務室に覆面の1人の男が現れた。


「なんだ?」


「勇者の居室に仕掛けていた例のモノですが…気付かれたようで、破壊済みでした」


「なんだと!? それでは情報が得られないではないか!」


王は怒りを露わにした。


「ですが、彼らの進路はある程度予測できます。引き続き勇者の動向を探らせるか…どうしますか?」


「ふむ…」


王は険しい顔で考え込んだ。


「勇者は抹殺する」


「それは任務ですか?」


「ああ。フランツィアにとってブリジットが召喚した勇者の存在は邪魔だ。もし、本当に魔王を討伐してしまえば、魔大陸の権利は確実にブリジットに移るだろう。さらに戦争が終結すれば、魔大陸どころか大陸すらも支配してしまうかもしれない。そんな事態を避けるためにも勇者は抹殺せねばならない。」


「ですが、勇者の実力は未知数。それに加えて同行者にはブリジット王国騎士団副団長に、あのローゼンテールの騎士もいます。相当の手馴れでないと任務の遂行は難しいかと…」


覆面の男は難色を示した。


「それもそうだな…。だが、事が事だけにあまり大人数を向かわせるわけにもいかない。少数精鋭でいくしかないな…となると…彼女は…マリーはどうだ?」


「マリーですか? 彼女なら今丁度前の任務が終わって戻ってくる頃かと思いますが…しかし、彼女は…」


「任務の難易度もそうだが、万が一失敗して情報漏洩でもしたら最悪国際問題に発展する。それらを考慮しても、任務達成率100%の暗殺の女神様は適任だと思うが?」


「それは確かにそうですが、彼女はその…性格に問題がありすぎるかと…」


「そうなのか? しかし、勇者の暗殺などという大役を任せられるのも彼女しかいないだろう。すぐにマリーを連れてこい」


「はっ」


覆面の男は短く返事をすると、次の瞬間には消えていた。


コンコン、と執務室にノック音が響く。


「陛下、王妃様がお呼びです」


「王妃からとは珍しいな、早く行かねば」


王は先ほど浮かべていた険しい表情から一変し、甘い笑みを浮かべた。


---


「ターゲットは…王室に批判的な記事を書いたジャーナリスト、か。まあ、ターゲットがどんな人で何をやったかなんてどうでもいいんだけどね。結局、みんな私に殺されるんだから! あはっ」


マリーは手元にある書類を眺めながら言った。そこには、他にもターゲットに関する詳細な情報が記されていたが、実際、彼女にとってターゲットの生い立ちなどはどうでもよく、書類を確認したのさえ気まぐれだ。ただ、任務が遂行できればそれでいい。例えターゲットが聖人君子だろうと、極悪人だろうと。それが彼女のスタンスだった。


「はぁーあ、それにしてもつまんない。なんかもっとこう、面白い任務とかはないのかな? こんなおじさん殺ったってなーんも面白くないじゃない」


マリーはため息を吐き、頬杖をつきながら窓の外を眺めた。


「まだかなー、まだかなー」


彼女の銀色の髪が風に揺られて靡く。しばらくそうして外を眺めていた彼女だったが、唐突に淡い水色の瞳を見開いた。

その時、彼女が眺めていた部屋の一室に明かりが灯った。


「きた!」


彼女は咄嗟に駆け出すと、ターゲットのいる部屋に向かった。


---


「お客様、お手紙が届いております。お渡ししたいのですが…」


「どうも、ありがとう」


宿の一室で机に向かっていたジャーナリストの男は、何の疑問も持たずにドアの鍵を開けた。女神様の瞳が光る。


「手紙なんてあるわけないじゃん!」


宿の従業員に扮したマリーは、ナイフをターゲットに向かって投げつけた。

あまりの速さに何が起こったのか理解すらできずに男は倒れる。


「任務完了」


マリーは呟くと、早速お掃除に取り掛かった。


---


「呼び出しだ」


任務を終え、暗部組織のアジトに戻ったマリーに覆面の男は告げた。


「呼び出し? 一体誰から?」


マリーは怪訝な顔で問い返す。


「王からだ」


「王様直々に? 一体何の用なの?」


「それは直々に説明されるだろう。お前には一刻も早く登城してもらう」


「えー、めんどくさーい。任務が終わったばっかりなんだからさ、少しくらい…」


「口を慎め。元からだが、特に最近のお前の言動は目に余るぞ。と、今はそんなことはどうでもいい。とにかく今から行くぞ」


男は嫌がるマリーの手を掴むと、姿を消した。


「陛下、マリーを連れて参りました。」


「ご苦労だった」


あれから数分もたたぬうちに2人は王城の執務室に到着した。


「それで、一体王様が私に何の用なの?」


マリーは単刀直入に聞いた。彼女からは全く敬意が感じられない。


「お、お前、陛下に向かってなんて口の聞き方を…!」


覆面の男が焦ったように言った。


「よい。今は非公式の場であるし、そんなことを気にしている場合ではない。用件だが、お前に暗殺任務を与える。ターゲットは、ブリジットの勇者だ。」


マリーは反応を目を見開いて反応を示した。


「勇者って、ブリジットが異世界から召喚したっていう…!?」


「そうだ。詳細は追って連絡するが」


「へぇー、面白そう! でも確か勇者ってブリジットの精鋭騎士が護衛してるんでしょ? 勇者を暗殺するってことは、そいつらも殺っちゃっていいわけ!?」


マリーは興奮を抑えられない様子で聞いた。


「やむを得ん。できるだけ波風は立てたくないからな、不要な殺傷は控えろ。それから、絶対に国内では手を出すな。彼らが国外に出発してから任務開始だ」


「了解。」


マリーは不敵に微笑むと、音もなく部屋から去った。

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