ゴッドが現れた。ぬっころしたい。 ③
♢8♢
畑は本当に作る。
別にゴッドを騙すために言ったわけではない。
そのために何もない、だだっ広い、ヤバいモンスターたちが生息する、不毛な大地に引っ越したんだから。
──そのための道具を買いに行こう!
ゴッドへの報告はついでだ。こっちがメイン。
予期してなかったが労働力は手に入った。
道具は人数分あった方がいいな。
あとは何を作るのか……だな。
と言っても、なにもわからないし道具屋でちゃんとレクチャーを受けよう。
「ねぇ、野菜って言ってたけど何を作るのか決めてるのかい?」
「…………」
──聞こえない! 何も聞こえないー。
道具屋は確かこっちだったな。
いやー、天気は良いし平和だし、中央は良いね。
「ちゃんと初心者だって言って、初めてでも失敗しないやつを選んでもらった方がいいよ?」
「…………」
──何も聞こえない!
ここの角を右に曲がって……。
──ドン! と曲がったところで人にぶつかる。
前を見て歩いていた。横を向きたくないから。
衝突は出会い頭だと言われればそうだが、違和感がある。
儂は尻もちをつく。だけにとどまらず後ろに転がる。ゴロゴロと。
ぶつかったやつとは体格差があるし、ぶつかったヤツらは横に広がって曲がり角に立っていた。
まるで誰かを待っていたように。
「こんにちは、神様。こんなところで偶然ですね」
そうチンピラみたいなヤツがゴッドに話しかける。ぞろぞろと10人はいる。
「ちょっとお願いしたいことがありまして……」
ニヤニヤと笑みを浮かべてゴッドを取り囲む。
「まさか1人で出歩いてくれるなんてね」
ゴッドに話しかけているつもりのようだが、聞こえていないだろう。
「──マオ! 大丈夫かい? あー、服は砂まみれだし叩いても砂取れないかも。髪の毛も砂ついてるよー」
「触んなクソヤロウ! 手つきがイヤラシイ。道端で何をしようとしてんだ!」
「……砂を落とすために脱がそうと思って」
「──ロリコンは犯罪だって言ってるだろ!」
……口にも砂入った。
ゴッドのせいだ。ジャリジャリする。
まあ、許してやろう。
コイツらの目的はゴッド。
クソヤロウなんてどーなってもいい。
「こいつらはゴッドに用があるみたいだから。邪魔になるし、儂はもう行くね? 二度と会いたくないから! じゃあね!」
あー、やっと解放されるわー。
ずっとくっついてきやがって。
儂はゴッドと一緒に行動したらストレスで死ぬかもしれんな。良かったー、死ななくて。
そしてゴッドは死ねばいい。
「──マオ、待って。ちょっと君たちなんなの。邪魔なんだけど……」
「「話を聞いてない?!」」
チンピラが頑張れば1分は時間が稼げる。
その間に全力で走ってゴッドを撒こう。
そして違う道具屋に行こう。
よーい、ドン!
「神様よぉ、メスガキとはお話できて俺たちとは話せねーってか? 舐めてんのか! あぁん!」
急ブレーキをかけて立ち止まる。
すでにスピードに乗り始めていて、キュキューと音を立てて土煙を上げてやっと止まる。
…………。
「まさか神様が幼女趣味だとは知らなかったよな! はっはっは!」
またか。昨日の今日でまたか。
なんだろう? やっぱクソヤロウのせいかな?
「君たち、それは口にしたらダメなんだよ。必要以上に反応する子もいるんだ」
「何言ってんだ?」
「……マオ、分かってると思うけど中央は不殺がルールだ。世界の破壊もご法度。ここだけは直せないからね。他と違って替えがきかない」
「──何を言ってんだ!」
ゴッドの見ている先。
チンピラたちは自分の後ろ側に振り返る。
そこに魔王が立っているとは知らずに。
「昨日も言われたんだ……。思っても口に出すなよ。思ってる時点でぬっころしたいけど、儂は大人だから我慢するし……」
「ボクにも止められないからね? 自分たちで責任を取るしかない」
「──全員、二度とそんなことを口にできないようにしてやる! これは教育的指導だ。可能な限りギリギリまでころす。しかし指導であって暴力ではない! だから何の法にも触れない!」
「屁理屈だけど、ボクは見なかったことにしておくよ」
街中にチンピラたちの悲鳴が悲しく響き渡る。




