目の前に勇者が現れた! ③
♢3♢
女の尊い犠牲により世界は救われた。
四割くらいダメになったが、まだ修復は可能だ。
半壊までいかなかっただけ良かったと思おう。
世界は救われた。終わり──。
「締めんな! 頭の上に隕石とか落とすぞ」
『絶対やめてくださいよ! 私、世界直しますから……』
「あー、悪かったね。口出しどころか手出しちゃって」
『いえ。超絶可愛い先代をないがしろにした報いです。今度、ちゃんと伺いますから』
「本当のこと言っても、なんも出ないからなー」
『これで失礼します。貴様ら! 次は無いからな?』
遊び人たちに脅しをかけて、魔王は去った。
その遊び人たち。いや、勇者たちは……。
勇者たちが仲間になりたそうにこちらを見ている。
仲間にしますか?
はい。
→いいえ。
「──いらん! 遊び人なんぞいらん!」
「汚された……私は、汚れてしまった……」
「バニーちゃんだけはいる。儂が責任を取る」
「なら、俺たちも仲間にしてください!」
いらない。使い道がないじゃろ。
だいたい、クズを仲間にするとか無理だから。
ほら、魔王には品格とか大事だから。
勇者には勇者の、魔王には魔王の矜持とかもあるから。
それでもバニーちゃんだけはいる。
ちょーほしい。儂専属のバニーちゃんにしたい。
バニーちゃんのいる生活……考えただけで楽しそう。
それに対して遊び人、3人衆。
このゴミとカスとクズに使い道なんて……いや、クソザコだがあれを見て全員立っている。
やり方次第か? んーーっ、そうじゃな……。
「お前ら、魔王なら誰でもいいんじゃろ?」
「まあ、有名になれて討伐金が貰えれば誰でも」
「ここじゃなくてもいいなら一つ提案がある。魔王同士は争えん。勇者同士も争えんように。手頃な世界がひとつ欲しくなった」
「それって……」
「お前らを本物の勇者にしてやる。代わりに魔王のいなくなった世界を儂に寄こせ。それなら仲間にしてやろう。そこにお菓子の国を作り、君臨する! 可愛い魔王として!」
儂に、お菓子が似合うとは思わなかった。
これまで気がつきもしなかった。
お菓子の国を作り、可愛い女の子をはべらせ君臨しよう。この勇者たちを使ってな。ぐふふふふ……。