表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/25

目の前に勇者が現れた!

 応募用の作品だったんですが、見事に選考落ちしました。勿体無いので直しながら載せます。


 合計5万字くらいです。よろしくお願いします。

♢1♢


 儂がこの世界を征服し、気が遠くなるくらいの時が流れた。当時を知る人間は年老いたり、とっくにあの世に行っていたりする。


 まあ、まだ生きてるのもいるがな。


 儂こと魔王がこの世界を征服したわけだが、魔王にはライバルというのがいる。俗に言う、勇者という人間たちだ。


 これは倒しても! 倒しても!! 倒しても!!! 沸いてくる。魔王がいる限り永遠と。

 どうやら、この争いに終止符は無いらしい。


 今も……。


「──とうとう見つけたぞ、魔王! お前を倒し世界に平和をもたらす! いくぞ、みんな!」


 目の前に勇者のパーティが現れた。

 メンツは男3に女1。よく見る割合だな。


 紅一点がいないと、残念なむさ苦しい集団になる。

 男女2人2人も多いが、男女3人1人が王道かなー。


 前にな、男1人に女3人というハーレムパーティもいたな。イチャイチャしてる雰囲気だったから、速攻で倒したけどな。


「──よかろう。未だに儂に挑む愚かさに免じて、相手をしよう! こい、勇者共!」




 ……………………。




「……くそっ、なんて強さだ。これが魔王か。すまないみんな。俺たちの夢はここで潰えてしまう。しかし、いつの日か俺たちを継ぐ者が必ず成し遂げてくれる! それを──」


 黙って聞いてるつもりだったが、もう限界だった。


「ちょと待て。お前ら弱すぎるだろ。これまでやってきたことを言ってみろ」


「──まだ、なにも、していない!」


「……よくそんなんで挑んできたな。儂、長く魔王やっていたが初めてだ。これがゆとりか。恐ろしい。本当に怖い」


 いろいろおかしかったんだ。コイツら。

 勇者が現れるたび、いちいち気にしないんだが今回は無理だ。ツッコミどころが多い。

 これは儂のキャパを越えてるかもしれん。


「いくつか質問するから、正直に答えろ。答えなかったり、嘘をついたりすると、この女が恥ずかしい目にあう」


 ──おっ、いい体してる。

 それに、なかなかいい女だ。


「きゃあ! みんな、助けて……」


「人質とは卑怯な! ──なんでしょうか!」


「お前、わざと嘘を言うつもりだな。仲間に手を出すのはやめておけ。別れた時に気まづくなって解散するぞ。見るに耐えんから。パーティ内恋愛は禁止にしろ」


 ギクシャクしてる勇者たちが現れてみろ。

 気を使わなくちゃならないんだぞ? 戦う相手に。

 そのことに触れないように……って、何を言わすんだ!


「まず最初に……どいつが勇者だ。手を上げろ」


 わかる。儂もおかしな質問だと思う。だが、聞かなくてはならないんだ。


「俺ですけど?」


 真ん中にいて、ずっと喋っていたやつが勇者だった。


 良かったーー。


 もし違うやつが手を上げたら儂は逃げた。

 なんでこんな質問をしたのかは、すぐに分かる。


「勇者登録したのはいつだ?」


「3日前です。中央世界の職業屋さんでやりました」


「どうやって、ここに来た?」


「職業屋さんの、めちゃくちゃ爽やかなお兄さんが、この一番若い魔王がいいよ。と教えてくれて、サービスだと言ってここまで送ってくれました」


 如何わしいお店の案内みたいだ。


 ──あの、クソヤロウ!!


 そんなことじゃないかと思った。

 このザコたちが、自力でここまで来れるはずがない! 間違いなく道中の敵に一撃でやられてるから!


「お前ら、どっから来た?」


「中央世界からですけど」


「違う! 生まれはどこだと言ってるんだ!」


 ちゃんと答えなかったので、女のとある部分を触る。


「あんっ! や、やめてください」


 ──結構ある! 見えるとおり本物だ!

 まあ、セクハラはこのくらいにしてと。


「なんて羨ましい……じゃなかった。やめろ! それ以上、彼女に酷いことをするな!」


「なら、早く質問に答えろ。さもないと……次は直に触る!」


「いやー、なんなのよ?! セクハラは犯罪よ」


「ちょっと黙っとれ」


 女はふらりと儂に倒れこむ。


 ちょっと眠らせてみた。

 儂が術を解かねば、しばらくこのままじゃ……ぐふふふふっ。


 あっ、いい匂い。


「やめろーー! ドヴァイ。ドヴァイから来ました! 全員ドヴァイ出身です」


 ……ドヴァイ? このなりでか?


「勇者。お前、世界に平和をもたらすとかほざいていたが、本当は何をするつもりなんじゃ? 魔王を倒して。名を上げて」


「そ、それは……」


「言わんのか? いいぞ、べつに言わなくても。女を裸にひん剥くだけだからーー」


「眠らせた女にそんな非道を? 流石は魔王。隠居しても、そこまでの外道だとは」


「ごーー」


 勇者は言い淀む。

 やはり、よからんことを考えてるな。コイツら。


「よん、さん、にい、いち、ぜろ!」


「──はやっ! 脱がすのも、はやっ!」


 これ、どうなってんだ?

 ウサギちゃんはどう脱がすのか……。


「バニーちゃんはどう脱がすんだ?」


「背中のところから……──違う! 卑怯だぞ魔王!」


「なんだ、見たくないのか? 勇者くん」


「みたいです!」


 男たちの視線はバニーちゃんの神秘に集まる。

 その結果。全員が大変満足した。


 ……気づいたか?

 いやらしい意味ではなく、勇者たちのことだ。


 勇者の仲間の女はバニーちゃん。

 男3人も、どーみても遊び人。よくてチンピラ。チャラチャラしとる。


 どいつが勇者かなんて分からない。


 全員が遊び人のパーティなんてあるか?

 それで魔王、倒しに行くのか?

 そんなんで勝てると思ってるのか?

 なんかの縛りプレイなのか?


 おかしいだろ。そんな勇者。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ