表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリムゾンLED  作者: 葛之葉
3章 初陣
PR
49/85

アルシーナ神聖王国2

 ティナ達がボルキアとの話を終えて、ゲーベンスが部屋に戻りティナ達三人は最初に居たエルピス将兵に与えられた談話室に集まっていた。


「ムフッ、ビスケット美味しいですね」


 ビスケットにハマったリオナが幸せそうにカリカリとリスの様にかじっている。

 向かいに座るティナは、紅茶を飲みながら先程の本の続きを読んでいた。


「リオナさんて、何だか小動物みたいで可愛いですよね」


 本から目線をリオナに向けて言った。

 その言葉を聞いたリオナが、顔を真っ赤にして俯きがちにティナを見る。


「‥‥可笑しいですか?」


 その仕草が更に小動物の雰囲気ふんいきを加速させた。


「ちょっ! ジュディさん、何なんですかこの可愛い人はっ!?」

「知らないわよ、ティナちゃんの特殊性癖とくしゅせいへきのストライクゾーンなんて」


 ビスケットにきて、ソファーで横になっていたジュディがティナに言った。


「何ですか特殊性癖って! 私はノーマルですっ!」


 ティナとジュディが言い合っていると、マリィ達が帰ってきた。


「ただいまー、って、またジュディが何かしたの?」


 言い合う二人を見て、マリィがジュディを見ながら言った。


「マリィさん、そろそろその何でも私が原因って決めつけるの止めませんか?」


 相変わらずマリィには丁寧になるジュディが、情けない表情で頼んだ。


「たっだいまーっ! ミアちゃん生還なのだっ!」


 何処かの死地から帰還したかの様に敬礼しながら挨拶をするミア。


「いやはや、沢山買いましたねー、ハッハッハ」


 こちらは、何故かミアの買い込んだ食事の山を両手に抱えて入るロシュナー。

 そのままテーブルまで歩いていき、テーブルにドカリと載せた。

 その山を見て、ティナ、ジュディ、リオナが唖然あぜんとする。


「‥‥ロシュナーさん、何ですかこの食べ物の山は‥‥」


 ティナのつぶやきに、ロシュナーが男爵髭をしごきながら答える。


「これですか? ミアお嬢さんの買ったものですね」

「えっと‥‥ミア一人分って事ですか、ロシュナーさん?」


 リオナが恐る恐る聞く。


「そうですな」


 ロシュナーの言葉に、リオナがミアを見る。


「ミア、アンタ‥‥コレちゃんと食べきれるんでしょうね?」


 実家のオカンの様な台詞でミアをにらむリオナ。


「だっ‥‥大丈夫だよっ! これはミアちゃんのなの、誰にも渡さないのだっ!」


 テーブルに山と積まれてる食べ物を抱え込んで必死に守ろうとするミア。


「‥‥マリィさんが付いてて何でこうなるんですか‥‥」

「ミアだけ見てるなら未まだだしも、ロシュナーまで居たら面倒見切れないわ」


 疲れた表情で言うマリィ。


「ホント、付いて行かないで正解だったわ」


 あのマリィが精根尽きている姿を見て、青ざめるジュディ。


「あ、マリィさん今日謁見の許可がでましたよ、その後王城で食事も用意されるそうです」


 食事の部分でミアが反応する。


「うにゃっ! お城で料理が出るの!? 楽しみなのだ!」

「ミアは、そこで山になってる食べ物を無駄にしないように全部食べなさい」


 リオナの無慈悲な言葉に「こんなに食べたらお城で料理が食べれない」や「リオナの鬼! 悪魔! ぶりっ子! 」等と叫び、リオナに頭をグリグリされるのであった。


「‥‥不安しか沸かないんですけど、このメンバーに」

「あら、私はこの国に来る前から不安しか無かったわよ?」


 ティナの言葉を、マリィがぶった切った。


ーーーーー


 全員が揃い、それぞれが正装に着替え終わった後にアルシーナ王城へと向かう。

 王城からの使者が馬車に乗り迎えに来ており、二台の馬車に別れて搭乗する。


「相変わらず、この馬車って言うのは慣れないわね」


 ジュディが揺れる馬車にうんざりしながら窓の外を眺ながめる。

 流れる景色がより一層揺れを酷くしている様に感じる。


「街の乗り合い馬車に比べたら、かなり凄い馬車だと思いますけど」


 上流階級の乗る馬車には初めて乗るティナが感想を言った。


「ふむ、私もこの馬車は素晴らしく快適に思いますな、ハッハッハっ」


 ロシュナーのテンションがジュディを更に不快にする。


「はぁ、酔わない体質って羨ましいわ‥‥」


 ジュディがティナとロシュナーを見て苦い表情になる。

 ふと、ティナがロシュナーの隣に座るゲーベンスに目を向ける。

 普段から無口なゲーベンスだが、今日は両目を閉じて普段にも増して無言である。


「ゲーベンスさん?」


 そんなゲーベンスの様子が気になり、ティナが声を掛ける。

 チラリとティナを一瞥いちべつすると、再び目を閉じ腕組の姿勢で固まる。


「‥‥ゲーベンス、もしかしてだけど‥‥」


 ジュディの言葉にゲーベンスが片目を開き、言葉を発した。


「‥‥馬車は‥‥苦手だ‥‥」


 ゲーベンスは馬車酔いしていた。

 そんな調子のまま、馬車は王城への門をくぐり抜け敷地の中へと入り脚を止めた。


「ふっあーっ! 退屈だったのだっ!」


 先に進んでいた馬車から、ミアが早速降りて伸びをする。

 ティナ達も馬車から降りて、王城の中庭を見渡す。


「ふっ‥‥ふぇぇぇっ! ジュディさん、凄い広いんですけど!?」


 中央の噴水を取り囲むように綺麗に舗装された歩道に、その周りを均一に刈り入れられた芝生と、近景からも遠景からも見映えが良くなるように計算され植えられた樹木が、美しく荘厳な王城を飾り立て、一枚の絵の様な景色を造り出していた。


「ふーん、アルシーナの王城もなかなかの景観ね、帝国の王城とはまた違ったおもむきがあるわ」


 ティナに続き降りていたジュディが、ティナの言葉に感想を述べる。


「そうだね、帝国の中庭は自然物を排除した機能美を追求した造りをしていたからね」


 側にやって来たマリィが帝国とアルシーナの中庭を比べて表した。


「あ、そうか、二人は帝国の王城知ってるんですもんね」


ティナが納得した。

 

「リオナとミアも、登城経験はあるけどね」


 マリィが苦笑いでリオナとミアを見る。

 そのリオナとミアは、ミアが馬車を降りた早々に使者に食べ物を要求していて、リオナがミアに怒鳴り付けていた。


「ハッハッハ、あのお二人は若いですなぁ、いや実に羨ましい」


 ロシュナーがリオナとミアを見ながら笑う。


「ゲーベンス殿、見てくだされあのお二人を、輝いておりますな!」


 話を振られたゲーベンスであったが、未だ気分が悪く顔を青くして口を閉ざしていた。


「うぎぃいぃっ! ご飯! ミアちゃんはご飯を食べに来たのだっ!」


 一人 主旨しゅしの違うミアが駄々をねる。


「いい加減にしなさい! 晩御飯抜きにするわよミア!」

「っ!嫌なのだ! リオナの意地悪!」


使者からリオナに注意が代わるミア。


「‥‥コホン、それでは皆様みなさま御案内致します」


ミアに詰め寄られていた使者が、リオナがミアの注意を引き付けている間に何とか話を進め、誘導を始めた。


こうして、六人は王城の中へと入っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ