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第五話 雷帝

 お久しぶりです。蜜柑ねこです。毎度毎度の言い訳コーナー。パチパチ。


 蜜柑ねこは専門生にレベルアップした!テレレレッテッテー。


 ということで、素晴らしく忙しいです。もっとヒマくれ。ということなのです。


 今風邪を引いて、ヒマになったので書きました。治りかけです。


 なんでもいいわ!よろしく!!

「ジジッ、ユウ、テレパシーの調子はどう?ちゃんと聞こえてる?脳内にノイズが発したら、テレパシーの合図だよ」


 ハイハール王国の前の草原で奇襲するため、俺は草原を走っていた。身体強化の魔法をかけ、異能で感覚を強化している。

 約1000万人対2人の絶望的な戦いが始まろうとしている。


「ジジッ、聞こえているよ。あと、1分弱で敵に接触、交戦開始する。国は結界魔法があるんだったよな?閃光で、目くらましよろしく。俺に構わず、おもいっきりやって」


 |感覚操作≪センセーション≫、視覚オフ、触覚強化、聴覚強化、平衡感覚強化。

 視覚を消すことで、閃光に対応。聴覚と平衡感覚の強化によって、敵へと走る。触覚は、肌で風の流れを感じることで、障害物に対応している。


「ジジッ、了解ー!カウント、三、二、一、どーん!」


 リシーの閃光魔法が発動して、敵の目くらましをする。闇夜に慣れた目にはこたえるはずだ。

 そして、再び異能を使い、視覚オン、触覚ダウン、聴覚通常、痛覚ダウンにする。もし、普通に剣で斬られれば発狂するだろう。痛みに耐性があるわけではない。しかし、痛覚という危険信号を無視する訳にもいかないので、ダウンにとどめている。

 視界が元に戻り、目に飛び込んでくるのは、相手の兵が目を抑え悶えているところだった。


「さて、何人やれば撤退してくれるかな?」


 そう言いつつ、一人目の敵の感覚を操作する。


 |感覚操作≪センセーション≫オールアウト。

 |感覚操作≪センセーション≫オールアウト。

 |感覚操作≪センセーション≫オールアウト。

 |感覚操作≪センセーション≫オールアウト。

 |感覚操作≪センセーション≫オールアウト。


 右手が、左手が触れた相手は次々と感覚を消失していく。完全なる闇の中に陥る。絶叫したくてもできない、まさに地獄。そこにあるのは、ただ、圧倒的な恐怖のみだった。

 そして、閃光の目くらましから開放された騎士が見た物は、絶望。たった一回、顔を触れられただけで、倒れていく仲間の姿だった。


 悲痛な叫びが巻き起こる。






 カナルガンド王国雷竜騎士団団長、雷帝、ライオット・ボルドーは作戦が予定通り進まなかったことにイラついていた。奇襲をかけるつもりが、逆に奇襲されたのだ。情報が漏れたのか、密偵がいるのか。ギリッと奥歯を噛みしめる。


「おい、状況はどうなっている、イズラム」


「はっ。閃光により、混乱しておりますが、相手は一人。装備は、小さなバックラーに剣を一振り。鎧一つ着ない愚か者ですが、魔法を行使しているようです」


 そう答えたのは、雷竜騎士団副団長、イズラム・ラインバネルだ。ライオット・ボルドーは180センチを超える長身に極限までに鍛え上げられた肉体、顔に大きな傷跡が特徴な人物である。それに対して、イズラム・ラインバネルは170センチを下回る、騎士とは思えない体つきの副団長だった。イズラムは、力ではなく、頭脳でのし上がったタイプの人間だった。

 ここは陣の後方。閃光から回復した部隊は、徐々に展開するよう指示を出している。


 今回は王の勅命により、ハイハール王国を完全に支配することである。王を暗殺し、瓦解した王国を襲う。卑怯と罵られようと、ライオットは構わない人間である。平民から、力でのし上がったライオットは、手段を選ぶことはしない。一つのミスも許されないことは分かっていた。そして、手段を選ばないことが、王から信頼されている部分であるとも。


「顔に触れられた者は皆、倒れていくようです。脈は正常、意識を無くす魔法かと」


 また一人、また一人と倒されているようだ。動揺が広がっている。この動揺が、一人を相手に負けていることが分かる。


「そうか。魔法使いにも関わらず、前線でも戦う野郎なんていたか?それに、この大規模な閃光魔法。本当に敵は一人か?」


「……考えられる可能性からすると、|九人の戦女神≪ヴァルキリー≫の一人、スクルドことエリザベータ・ハイハールが後方にいるのではないでしょうか。前線の男については分かりませんが、スクルドが支援しているとなれば、納得かと思われます」


「スクルドか。厄介な野郎がでてきた。それを避けるために奇襲を仕掛けたんだがな」


「ですが、想定の範囲です。彼女ならやりかねませんでした。だからこそ奇襲を行う必要があったのです。こちらが奇襲されては、甚大な被害は免れなかったでしょう」


「そういうことだったな。前線の野郎の魔法だが、顔に触れるということは脳震盪でも起こす類の魔法だろう。それならば、大した魔法ではない。どれ、スクルドもいることだし、俺が出るか」


「それが最善かと思われます。あの男を人質にすれば、降伏を迫れるかと。彼女が応じるかどうかは分かりませんが。そのときは……」


 イズラムは、男を囲むように展開していた部隊を、後方に下げるよう指示をだす。雷帝の周囲にいては、ただの足手まといになってしまう。また、この後の作戦に支障をきたす。


「では行ってこよう。この国の希望を殺しに……な」


 ライオットは笑みを浮かべ、踏み出した。






 実は、ユウはかなり苦戦していた。危ないところは、リシーの超長距離魔法、インビジブルアローで助けられているものの、かなり厄介な敵である。

 ユウの異能は、肌に触れなければならない。つまり、全身を鎧で覆う敵は、異能が発動できないのだ。唯一、肌が出ている部分が顔なのである。極力、人を殺したくない彼は、バックラーや剣で体勢を崩し、異能を使っていた。


 今回の作戦は、リシーを後方支援にまわし、あたかもユウ一人で壊滅させたということを印象付ける作戦だ。これは、対等以上の力をもっていると示すためである。そのため、リシーは王国の防御、超長距離かつ見えない攻撃をするという制限をしている。ユウを無視して、王国攻撃は避けたい。

 リシーが世界で9人の女性しか呼ばれていない、|九人の戦女神≪ヴァルキリー≫の一人、スクルドであることや、彼女が使用できる極大魔法について聞いていた。リシーの使う極大魔法は、シールドオブメイデン。効果、範囲、強度、数等自由自在な盾である。今は、音を通さないように張っていた。

 もう一つの意味として、相手は当然、リシー対策をしてきているだろう。盾を大きく強くするほど、魔力の消耗が激しい。ユウは万能でも最強でもない。リシーに狙いを絞られてしまえば、終わりなのである。なので、一人で戦っている振りをしているのだ。


 咆哮をあげながら、騎士が襲いかかってくる。上段からの斬りかかりをバックラーで弾き、よろけたところを追撃、顔に触れ異能を発動させる。視界の端に捉えた、魔法ファイアーボールは手を払うように振る。するとリシーの見えない盾が打ち消す。

 敵からすれば、それは悪魔の手だった。味方の意識を消し、魔法を消す。完全に死角を捉えたと思えば、見えない何かに吹き飛ばされる。得体の知れない恐怖に襲われていた。


「あー、多いよー!あと何人だよ」


 敵を捌きながら、愚痴をこぼす。何十人に意識を向け、戦うのは疲れる。一人で大丈夫と言った割には、頼りきりかと自嘲する。


「ジジッ、まだまだいるよー。数百人くらいしか倒してないよー」


「ジジッ、やめてー。言わないで。現実を突きつけないでー!」


 愚痴をこぼそうが、敵は止まらない。むしろ好機とばかりに襲いかかってくる。前方から、雄叫びをあげながら、最上段からの振り下ろしを仕掛けてくる。左右から、魔法の援護、後ろには息を殺しつつ斬りあげの構えをとっている。

 右の魔法から順に手をかざし、打ち消し、前の敵を吹き飛ばし、左の魔法を消すように振る。そして、後ろにふりかえり、斬りあげをバックラーで抑えつつ、右手で顔に触れる。


 あと何人で撤退するだろうかと思っていると、徐々に下がりだした。あえて、追撃せずに警戒していると、目の前が開き始める。その奥から出てきたのは、全身を鎧で覆い、圧倒的なオーラを放つ人間だった。馬からは降りており、剣を抜いていた。その刀身にはバチバチと電気を纏わせていた。


「ジジッ、うわ、雷帝ライオット・ボルドーだー。予想通りではあるけど」


「ジジッ、雷帝ライオット・ボルドー?強いのか?」


「ジジッ、強いし、相性が悪い。雷帝の由縁になった、魔剣ボルテイジによる、稲妻の範囲攻撃は最悪。盾に浴びせ続けられると、マズイ」


「魔剣か。離れていれば範囲攻撃、斬りあえば、雷を伴った斬撃。しかも、俺の剣に避雷ときた」


 なにそれ、強すぎだろ。俺に纏うように盾を展開するか。避雷も避けれる。常時展開と強度を上げる分消耗が激しいが、仕方ない。

 近ずくにつれて、迫力が増してくる。それは、幾多の戦場を生き抜いてきた自信だろう。鎧は、雷帝のイメージにふさわしい白を基調に黄色い稲妻模様がある。肌が露出している部分が、目と口しかない。正直、かなりやりにくい。


「俺は雷帝、ライオット・ボルドーだ。久しぶりだな、スクルド」


 俺の後方を見据え、名乗った。ばれていたようだ。非常にマズイ展開だ。


「さて、まずは野郎、お前を殺そう。敗北の可能性は徹底的に潰す。そこで這いつくばって死ね」


 ライオットはグンッと加速し、俺の前に踊りでる。早い。かろうじて捉えた左下からの斬りあげを、レーヴァテインで受ける。盾を展開しているため、衝撃はない。ライオットは稲妻をはしらせるも、盾のまわりを通り、地面に逃げていく。


「これぐらいでやられては困る。スクルドがその程度だとは思いたくはないからな。俺の雷撃、存分に味わえ」


 俺は答えずに、右手を剣から離し、顔へと伸ばす。ライオットは、避けるように後方へとバックステップする。剣を捕らえようと盾を変形させていたが、間に合わなかったようだ。


 すべての行動が早い。まさに迅速迅雷。多角的に斬りかかり、稲妻を浴びせ、引く。ユウはその早さに攻めあぐねていた。盾で剣を捕らえようにも、素早く動いているため、展開しきれていなかった。


 このままでは、リシーが魔力切れになってしまう。


「その程度か。飽きたな。そろそろいいぞ、イズラム」


「はっ!全軍!王国に突撃せよ!」


 くっ、マズイ。すべての騎士が王国に向かって走りだしている。止めようと動くと、ライオットが斬りかかってくる。このままでは、やられてしまう。今までは遊びだったということか。


 考えろ!なにか打開する案はないか!






「困っているようだな。ユウ」


 その声が聞こえた瞬間、敵の一部の前衛が薙ぎ払われる。そして、横に立っているのは、勝気に微笑むエナの姿だった。


「エナっ!なんでここに!?」


「ユウに聞こえて、私に聞こえないわけないだろう。てっきり、昼前からだと思ってたんだがな」


 ぴこぴこと自分のネコミミを動かす。

 そういえば、上空で助けてと叫ぶ声が聞こえるほどの聴覚の持ち主だったな。


「あと、私だけではない」


 後ろには、勇者トーナメントに残っているすべての人が立っていた。


「ハイハール王国聖騎士団、聖騎士長たるもの、王国の危機に戦わずしてなんとするか」

「その通りです、聖騎士長」


「フフフ、絶対腐ったカップリングできるよ!フフフ」

「ちょっとリル、落ち着いてよ。敵の前だよ!?」


「うわー。絶対近づかない方がいいっさ」

「どーかんや」


「……あれが雷帝」


「うっわ!強そうっす!テンション上がるっすわー!」


「助かるよ、エナ」


「なに言っているんだ、ユウ」


 エナはきょとんと首を傾げ、ニッと笑って言う。


「「「「「「「「「私こそ勇者だ!!」」」」」」」」」


 お前だけにその宣言はさせないとばかりに声をだす。その一斉唱和は、強い力と確信を持っていた。


「ははは!そういうことか!」


 その言葉で、ユウは覚悟を決める。


「でも、エナ。俺一人で大丈夫だったぜ」


 構えていたレーヴァテインを鞘に納める。スッと息をすい、魔力をこめはじめる。


「汝、我が言霊によって目覚めよ。


汝に求めるは力!

汝に求めるは英知!

汝に求めるは勝利!


その力、すべてを持ってして覇道を創れ!

我こそ不敗神話を築く者なり!


顕現せよッ!レーヴァテイィィィィィィィィンッッ!!!!」


 抜きさった刀身からは紅蓮の焔。纏うは業火。すべてを焼き尽くすかのようなその焔。






 その瞬間、空間が揺らめいた。






 空気だったエナが帰ってきたぁー!よかった!当初、予定になかったんですけども、この方が盛り上がるかもとでてきました。

 後ろの方々は絡むかわからんです。

 作者がわからんという行き当たりばったり感が不安を煽りますね!


 雷帝とスクルドが強すぎ!斬りあえない剣士と自由自在の盾。主人公が霞みます。


 次回、終戦……するはず。そして、シオンが絡み始めるはずです。次々回かもしれませんけどもね。


 実は、シオンがメインヒロイン……ということにした!

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