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第四話 カナルガンド王国

 お久しぶりです、蜜柑ねこです。

 まず、言い訳をさせてください。プレイステーション4とドラクエヒーローズを買ってしまいました。はい、バイトとドラクエのローテーションです。ヘビロテなのです。


 どうでもいいですね。ごめんなさい。すみませんでした。がんばって書きます、そんな四話です。今回から、戦争へと移って行きます。よろしくお願いします!

 兵士、第三王女様、俺の順で玉座の間へ向かう。歩調の速さが、焦りを感じさせる。

 思いかえせば、騎士団長とそれに連なる猛者が先ほどの部屋にいた気がするのだが、放っておいて正解なのだろうか?普通、王族ではなく騎士団が対処すべき事柄だろう。

 王位継承についての会議だろうか。エリザベータ王女様は王位継承に興味なさそうだ。とはいえ、国が支配されるのは困る、といったポジションだろう。


 つまり、今回の作戦目標は返り討ちにすること、あわよくば賠償金等の獲得、支配下に置くことか。後者の二つの成功は、新王の地盤を築くのによい効果があるだろう。新王にも恩を売れるかどうかだな。


「そういえばてめぇ、異世界から来たってどういう意味なの?もしかして、バカにしてる?不敬罪だよ?」


 エリザベータ王女様が歩調を落とし、俺の横に並び声をかけてきた。

 王女様は平民の横に並んで歩くことをしないと思っていたのだが、そうではないのだろうか。王女様は俺の目を見ているので、嘘かどうか見極めたいのだろう。


「バカにしていません。本当に異世界から来たんですよ。異世界というよりは、この世界の前の世界と言う方が正しいのかもしれません。前世界という表現ですかね。この世界とは異なるという点では異世界です」


「嘘は言ってなさそうだね。異世界、前世界か。おもしろい!あたしはおもしろい事が大好きでね。王族の権力を使って、おもしろおかしく生きていきたいんだ。その為に、この国は守らなければね。てめぇをあたしの親衛隊に任命する。親衛隊なんかいらないと思っていたけど、てめぇなら任せられる。やってくれるよね?」


「もちろんです。エリザベータ王女殿下の為とあらば、この命、献上いたします。エリザベータ王女殿下の御心のままに」


 ニッと王女様は笑う。その姿はまさに、人生を楽しんでいるようだった。この世界でさえ、彼女にとっては玩具の一つ。そう思わせる笑顔だった。


「剣は後で授けるね。あたしのことはリシーと呼んで」


「わかりました、リシー。私は名前はユウです。異世界の名前で宮野ユウです」


「オーケー。ユウ、期待してるよ」


 玉座の間へ続く扉がある広間に着く。兵士が頭を下げ、下がると、扉の両脇にいた門兵が扉を開ける。


「ようこそ、玉座の間へ。ここがこの国の中枢だよ」




 豪華絢爛、まさにこの一言に尽きる。巨大なシャンデリア、にまばゆい宝石の数々。レッドカーペットの長さは数十メートルにも及ぶ、縦に長い部屋だった。レッドカーペットの横には各王族の親衛隊が並んでいる。そして、その最奥に玉座があったが空席だった。その前に机が用意されており、王妃、二人の王子と一人の王女が座っていた。そして、それぞれ後ろに親衛隊長が立っていた。


「やっときたかリシーよ。さっ、はやく座りたまえ。この国の将来について話し合いたい。早急に決めねば。奴らも攻めてきているということもある」


 ノストラシュ第一王子だろう。金髪を真ん中で分けた短髪に、シュッとした顔立ち。凛々しい印象を受ける。この話し合いを仕切っているようだ。


「ねぇ、リシー、姉上様のご容態について伺っていますか?姉上様は精神的に病んでしまっているようで。大変お辛いのでしょう。父上がお亡くなりになられたのですから」


 こちらは第二王女だろう。名前はわからない。金髪を一本の三つ編みにし、右肩から胸元にかけて垂らしている。肌は白く、弱々しい印象がある。


「兄上もヴィクトリアも落ち着いて。一緒に話しかけちゃ、リシーも困るよ」


 この人が第二王子だろう。短髪に童顔、幼さが目立つが王族の中では一番常識のある人だろう。


「ヘイヴェル兄様、ありがとー。で、なんの話し合いなの?」


「私、やはり姉上様のお部屋に行ってまいります。会議については後ほど伺います。失礼します」


 そう言って、ヴィクトリア第二王女は部屋を出て行った。


「ふむ。でだ、そのふざけた格好の愚民は誰かね?まさか、親衛隊という訳ではあるまい?」


 最近、愚民と呼ばれる機会が増えつつあります。俺のアダ名は愚民だったっけ?そりゃこんな格好できたのは悪いのかもしれないけどさ。仕方ない、想定になかったんだから。


「その通りだよ、ノストラシュ兄様。親衛隊を作ったから、親衛隊長に任命したんだよ。さっきのことだから、見逃してあげてよ」


「へー、リシーのお眼鏡に叶う人がいたんだね。護衛をつけるのも嫌っていたのに」


「おもしろくなかっただけだよ、ヘイヴェル兄様」


「ゴッホン。会議の内容についてだが、王位継承はこのノストラシュということでよいかね?母上も依存はないそうだ。でだ、本題は北の、カナルガンド王国だ。やつらが父上を殺した。証拠もある。しかし、この機に侵略し、ハイハール王国を支配しようとしているのだ。やつらは年々領地を広げるばかりだ」


「このままだと、負けるということだね?兄上は降伏を考えているの?」


「あー、おもしろくない。ノストラシュ兄様もヘイヴェル兄様もおもしろくない。降伏?してたまるものか!任せて、兄様!このエリザベータ第三王女が、奴らを潰す!」


 この議論は、無駄だとばかりにそう言った。逃げ腰になった兄の情けなさに残念な気分になっているのだろうか。おもしろさを求める彼女に、国王の責任など些末なことなのだろう。


「潰すってどうやってだい?やつらは城壁の外で開戦の準備を始めているんだよ?今日はまだ大丈夫なのだろうけど、一晩で約1000万人を相手に戦う準備なんか終わらないよ」


「そうだ!負けることが分かっているのなら、被害を被る前に降伏することが最善だと思わないかね?」


「違う。それは最善じゃないよ」


 彼女の提案は、普通ならば真っ先に却下される案。絶対的格差に対する挑戦。おもしろさの為にハイリスクであろうと、ハイリターンがあるのなら、可能性があるのなら、彼女はオールベッドする。


「最善は、奴らを潰し、支配することだよ。その為に親衛隊を作ったんだ。あたしは誰かの支配を受けるなんてごめんだし、自由を奪われるのも嫌だ。おもしろおかしい人生を邪魔する奴は誰であろうと潰すよ。ということで兄上、後はあたしにおまかせということでね」


 エリザベータ王女は生来のギャンブラーなのかもしれない。




 現在、リシーの部屋にいる。あいもかわらず豪華だ。ただ、部屋の中の雰囲気にあわない、いろいろな物がたくさん置いてある。本や玩具など、部屋の大部分がこれらで埋まっていた。


「で、大見得切ったんだけど、ユウは本当になんとかできるんだよね?作戦とかあるの?」


「もちろんです、リシー。私の能力があれば可能です」


「それウザい。もっと親しく話していいんだよー。あたしとユウの仲なんだから。あたしはおもしろい奴が好きだ。おもしろい奴と、あたしは対等でありたいと思ってるよ」


「わかった。心がけるよ」


「でも、場所と雰囲気はわきまえてね。あたしが王様を気取りたい時を察して、敬語使って。そんな時はほとんどないと思うけど、外交とかね」


「リシーは嫌いそうだしな」


「さて、これがユウの剣」


 数ある棚の中から、一振りの長剣をだす。全長1メートル30センチほどだろうか。黒を貴重とした、デザインになっている。ハデではないが最低限の装飾も施されていた。


「これは魔剣でね。この前、洞窟を探検したら見つけたんだ。名前もわからないし、つけてない。能力もわからない。魔力を注ぎこまなければ、ただの剣として使える。魔力を注ぎこんだときは、なにが起こるかわからないから気をつけて」


「魔剣なんてのがあるのか」


「うん。世界にそうない貴重なものなんだからね」


「それを貰っていいのか?」


「いいよー。信頼の証だよ。これからはパートナーみたいなものだからね。では、この剣を授ける」


 俺は片膝をつき、頭を垂れる。今が敬語を使う時だろう。


「汝、我の盾となり、剣となり、その生涯を持って我を支えることを、この剣と我に誓え」


「その剣と私の命と姫君の命をもって誓います」


 俺は手を差し出し、魔剣を受け取る。リシーは大仰な仕草で、それを渡す。少し照れ臭さがあった。


「これからよろしくね、ユウ」


「よろしく」




 だいぶ日も傾いてきた。城壁から見る草原が、橙に染まっている。数キロほど離れた所に、カナルガンド王国の騎士団が野営地を作っている。使者を送った結果、開戦は明日になったらしい。


「で、作戦はなんなの?」


 城壁の内部にある、外を見張る部屋のひとつに来ている。敵のおおよその戦力を確認するためだ。


「日付が変わった、深夜に野営地を攻める。で、敵全員の感覚を消したら、縛って人質にして、カナルガンド本国と交渉かな」


「騎士道精神の欠片もないね。バカか」


「俺、騎士じゃないし、明日にはなってるし」


「ふぅ、やっぱバカだな。だがおもしろい!それでこそだ。あたしはおもしろい奴にマトモな奴はいないと思ってるよ。普通はそうしないだろってことを平然とできるんだから。いいね、やろう。戦争にルールなんかない!」


「そういってくれると思ったよ」


「具体的にはどうするの?感覚を消すってどういうこと?」


「俺のには、魔法じゃなくて異能ってのがあるんだけど、産まれた時、一つだけ異能を持っている場合があってね。俺は、感覚を操作する異能を持っているのさ。で、触れた相手の感覚も操作できるわけ」


「感覚を操作して無くすわけだね。異能か。おもしろそうだね」


「俺は魔法に興味があるよ」


「じゃあ、ご飯食べながら教えるよ、魔法。魔力と想像力さえあれば簡単だよ。センスに頼るところも多いけど。できたら使えばいいし、できなくても問題ないでしょ」


「そうだな。よろしく、リシー」


「そうと決まれば、ご飯ターイム!」





 日付も変わる頃、月と星で草原が照らされているなか、ユウとリシーは並んで立っていた。


「リシー、本当に一緒に行くの?」


「当たり前だよ。こんなおもしろそうなこと見逃せるわけないよね」


「俺、守りながら戦えないよ?」


「自分の身は自分で守るよ。大丈夫!魔法は極めた」


 確かに、リシーの魔法知識は感嘆するほどだった。本を読むなかで、実演できなかったものはほとんどなかったほどだった。


「魔法はおもしろかったし、探検する時便利だったから。その魔剣を手に入れた時も、一人で行ったんだよ」


「リシーなら本当にやっていそうだ」


 数時間の講座で、ある程度の知識を得ることができた。

 体内の魔力にイメージによる命令をし、周囲にある自然が持つエネルギーと合わせて、現象を引き起こすのが魔法だという。

 魔法にはいくつかの種類があり、極小規模な小魔法。大体の魔法が分類される、汎用魔法。場合によっては数人がかりで発動する、大魔法。世界でも使える者が少ないという、極大魔法。それと、禁忌魔法、五つである。


 属性もある。それぞれ優位不利もあるようだ。火、水、風、土、雷、光、闇という分類である。優位不利とはいえ、術者の力量が物をいうため、拮抗している場合以外ではあまり影響はでない。


「それじゃあ、行こうか。そういえば、その魔剣に名前つけてあげた?」


 今の俺の装備は、魔剣と小さめのバックラーを持っている程度だ。服は着替えていない。交戦する予定がないため、体に余計な装備をつけていないのだ。


「ん?ああ、つけたよ。いいのが思いつかなくてね。俺の世界でやってたゲームの剣の名前を借りたよ。レーヴァテインって名前にした」


「レーヴァテイン、いいと思うよ。なんていうゲームなの?」


「ゴッドキラーってゲームでね。神を喰い殺すゲームなんだけど……リシー」


「うん、ユウ。気づいた?あれ、松明の光だね。奴らにもバカがいたらしい。敵じゃなかったら、友達になれたかもしれない」


 月明かりに照らされている草原の奥に、無数の火の玉がうきあがっている。その広がり方から、陣形を組みつつ行軍しているのがわかった。発見されるのを見越しているらしい。


「やるしかないな。いざとなれば、魔剣を使う」


「楽しみだね。むしろ、今使えば?」


「冗談を。援護は任せた」


「冗談じゃないのに。じゃ、前陣は任せた。行くよ、戦騎」


「あぁ、戦姫!奴らをぶっ潰す」


 こうして、ハイハール王国とカナルガンド王国の全面戦争が始まる。



 ヒロインは誰でしょうか?答え、わかりません。エナとシオンが空気です。

 リシーのてめぇがなくなってしまい、残念です。親衛隊に人が増えるといいですね。


 さて、なぜリシーなのか。その疑問にお答えしましょう。疑問ではない?知りません。えー、一般的な愛称は、LISA、です。エリザ、リザとかそんなところです。ここに-iをつけると、リシーになります。このiには、可愛いとかそんな意味があるそうで、つけてあげました。


 ユウはとうとう親衛隊長になってしまいました。彼は、女の子の頼みを断れないタイプなのです。この先も、こんな感じですすむのでしょう。不安です。


 次回、戦います。長くなるかは私にもわかりません。一話は書きたいところではあります。魔剣は発動なるか!?


 あと、レーヴァテインは北欧神話にでてきますよ。北欧神話がちょいちょい絡むかもしれませぬ。でも、知識ないのでそんなにでません。ご安心を。

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