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第三話 第三王女

 おはようございます!蜜柑ねこです。


 ついに第三話。戦いの幕開けです。すぐに終結してしまいそうですが。と、ともに主人公の異能がでてきます。


 自分の技量のなさに驚きです。そんな第三話です。よろしくお願いします。

「異世界から来た勇者はいかがですか?」


 ハイハール王国の正門の前で、俺はそう言った。

 まさに王城の正門と呼ぶに相応しい、荘厳かつ巨大な門である。その前で、一体なにをしているのだろうか?夢オチだった場合、ベッドの上で悶え苦しむことになるだろう。感覚が夢ではないと告げているのだが。


「またきたか、自称勇者め。今度は異世界とか抜かしやがる」


「荒々しいお言葉ありがとうございます。ん?また?」


「勇者とはそんなにいるものだったのか。残念だ、褒賞はなさそうだな」


 いやいや、なにを言っているんですかエナさん。金がないと困るのは俺だけではないだろう!そんなに勇者がいるのであれば、ただ働きになってしまう恐れがある!いや?勇者にならなくてもいいってことは、戦わなくていいってことではないか!妹もできたところだし、宿屋の主人というジョブに就くことができる!金を払えて、平和な生活が待ってるぜ!元の世界に戻す方法とかわからないし、最善策ではないだろうか!


「ユウのその顔はおよそ勇者らしからぬ考えをしている顔だな。まあ、私は金さえ貰えれば十分なんだが」


「やっぱり勇者じゃないです!お騒がせしました!」


「いいのか?てっきり賞金目当ての、自称勇者を騙る傭兵だとばかり思っていたんだが」


「賞金?」


「知らないできたのか!?そりゃただのバカか、本物の勇者のどっちかしかいねぇな!見たところ弱そうだし、ただのバカか!」


 失礼極まりないな!確かに弱そうなのだろうけど!

 武装なしの貧弱そうな男が、武装した獣人類と並んでたっていると更に弱そうにみえていそう。仕方ないな。


「で、賞金だったか。勇者には一億円出るってんで、自称勇者が殺到してんのよ。で、めんどいから一番強い奴が勇者ってことになってな。昼に、騎士団の教練場を借りて大会を開くってわけさ。今、その参加者を募ってたりしてな。騎士団の連中も出てるからな。きっとおもしれぇもんになると思うぜ!」


「ほう、おもしろそうだ。私は出ようと思う。どうだ?ユウも出ないか?一億円だぞ!」


 一億円か。そうなると話は変わってくるな。働かないで暮らしていける大金だ。シオンに埋め合わせもできるな。そうだ!エナを勇者にすればいいのではないだろうか!エナを補助して、最後まで残ったら降参すればいい!途中であたった場合は仕方ない。頑張ってもらうしかないな!我ながらクズみたいな案だな!これでいこう!ウィンウィンだ!


「やっぱでる!エナを勇者にしてみせる!」


「了解、参加者二人な。門の横に門番用の通用口があるから、そこから入ってくれ。そこに参加者が集まっていると思うから。で、受付で名前とか書いてくれや。健闘を祈ってるよ」





 エナと一緒に王城内に入る。王城前の広場のようところに出た。噴水や、花壇などがあった。しかし、この景観をぶち壊すかのように、数百人ほどの傭兵や騎士らしき人がいた。剣や斧、甲冑などの装備をしている。物々しいオーラをだしている。怖くなってきた。なんと場違いなことだろうか。

 あまり見ないようにして受付に行って登録する。開始までは、まだ少し時間があるようだった。


「なぁエナ、武器貸してくれない?」


「いいぞ。どんなのがいいんだ?といっても、私は暗器使いでな。大きいもの、重いものはないぞ」


「別にたいしたものは望んでないさ。護身用に剣とかナイフみたいなのを貸してくれればいい」


「そうだな。ではこれなんかどうだ」


 そう言って背中から取り出したのは、全長30センチほどの短剣だった。薄めの片刃で、軽いながらもしっかりしていそうだ。


「うん、ありがとう。これでいい」


 短剣を馴染ませるため、振ってみたりしていると三人組の男達が声をかけてきた。


「ガッハッハッ!おいおいあんちゃん、その剣だけで参加するのかい?やめときな、自殺行為だぜ!国中の猛者が集まってんだ。ましてや、殺し合いだ!お子ちゃまはママのおっぱいでも飲んでな!」


「グフフフフ!ちげぇねぇ!どちたんでちゅかー?迷子になっちゃったんでちゅかー?グフフフフ!」


 めんどくさ。ここで倒してしまうのってありなのだろうか。失格は嫌だし、無視しておこう。

 俺が黙っているので、矛先がエナに向く。


「隣いるのはママちゃんでちゅかー?ダメでちゅよ、ちゃんと躾しないとー。ママちゃんもお家に帰っておっぱいあげないとでちゅねー」


「黙って聞いていれば調子にのってしまったようだな。あ?誰がママちゃんだと?そんな年なわけないだろう!?殺されたいのか?あ?」


 エナがキレた!失格になる前に止めないといけない!俺の計画が崩れてしまう。早く始まってほしい!


「おっと、ママちゃんやる気でちゅかー?」


「上等だ、売ってやろう」


「はい、静粛にー!そこの野郎三人組と赤毛の子ー、うるさーい!あたしが今回の企画者の、ハイハール王国第三王女のエリザベータ・ハイハールだよー。よろしく。集まってもらったところ悪いんだけど、てめぇら多すぎなので減ってもらいます。ルールは簡単。勝った奴が勇者の殺し合いでーす。あ、降参もありだからねー。戦闘不能になった奴と降参した奴に手をだしたら、あたしの権限で処刑だよー。じゃ、案内にしたがって国立競技場に移動してねー。じゃ、またあとでー」


 ベラベラとまくしたてて姿を消すエリザベータ王女。自由奔放すぎだと思う。これの企画をしたみたいだし。案外、暇つぶしが目的かもしれない。

 殺し合いとか簡単に言ってくれる。この世界では殺し合いは普通なのだろうか。勇者が必要みたいだし、戦争をしている最中なのかもしれない。


「グフフフフ。やっと始まる!またあとで会おうぜ、ママちゃんとお子ちゃまちゃん!」


「覚えていろ。後で殺してやろう」


 エナが燃えている。恐ろしい。その暴言は、もはや元いた世界とは意味合いが違うな。本当にやる世界になってしまったんだ。俺は極力殺したくないな。頑張ろうか。

 ぞろぞろと移動し始めたので、後について行く。国立競技場は王城と繋がっていて、すぐに着いた。中は広く、サッカーコート二つは入りそうだった。


「はい注目ー。エリザベータ王女様だよー。バトルロワイヤル制でいこうと思うのでよろしくー。なかなか決着がつかないようだったら、トーナメント戦にでもするってことで。さてさて、てめぇら用意はいいかいー?じゃ、ガンバって!」


 エリザベータ王女のかけ声で一斉に動き出す。武器を抜き、切り結びあっている。徐々に、結託したりと戦況が動きはじめる。俺はエナとタッグを組み、敵と睨み合う。


「さて、腕がなるな。この様子だと、私一人で十分そうだ。ユウは適当に避けておいてくれればいい」


「さすがだな。心強いよ。俺は全体の戦況でも眺めているよ」


「わかった」


 そう言うと、エナは走り出す。蹴りだした瞬間、トップスピードに達している。そして、一瞬で相手の前に躍りでて、飛びかかるかのように回転しながら、殴りとばす。その回転エネルギーを無駄にしないよう、回りながら方向転換、次の敵へと襲いかかる。時には、足を払い、蹴り飛ばす。殴り、蹴られたものは、一様に観客席へと突っ込んでいった。

 まさに圧倒的。エナはたった一人で数十人を翻弄していた。


「さすがだな。なにもすることはなさそうだ。さて、俺は異能を使えるかどうかなんだが」


 なにを操作しようか迷っていると、あの三人組が声をかけてきた。


「あれあれ?お子ちゃまちゃんまだいたんでちゅかー?あ、ママちゃんに守ってもらっているんでちゅねー」


「ガッハッハッ!やっぱ、よえぇんだな!オレらがヤってやるよ!」


「あぁ、あんたらか。丁度いいや。お前らでテストしようか」


 俺は、三人組の一番前にいる奴に向かって歩きだす。


「お子ちゃまちゃん、やろうってのか?ほれほれ、殴ってみろよ。特別に右頬を差し出してやるよ!」


「そうかい。じゃ、やらせてもらうわ。|感覚操作≪センセーション≫、オールアウト」


 俺は異能を発動して、相手の頬を叩く。


「ガッハッハッ!なにやってん……だ?」


「グフフフフ……?」


 頬を叩かれた男はなにも言わずに倒れる。


「お前、一体なにした!」


「俺の異能だよ。自分と触れた相手の感覚を操作できる異能でね。そいつの感覚をすべてオフにした。てことで、お前らもイッてこい!」


 他の二人も同様に倒れる。

 異能、|感覚操作≪センセーション≫。自分と、肌に触れた相手の感覚を操作する能力。五感操作ではなく、感覚操作なのは、五感以外にも操作できるからである。触れた相手への効果は永続ではなく、徐々に薄れていく。

 ちなみに、戦闘試験でやる気をださないのは、感覚をオフにすることがトラウマを与える部類にはいるためである。


「大丈夫かユウ?ん、そいつら、私が引導を渡してやろうと思っていたというのに。まぁ、ユウがやったのであればいいか。おおかた終わったきたぞ。あとは、私らを含めて10人だな。


「大丈夫だ。あと10人か。迂闊には動けない状況みたいだな」.


「あの騎士団の連中が一番めんどうだな」


 高そうな鎧を着た二人組が騎士団の人らしい。あとは、二人組が二組、個人が二人だった。ジリジリと硬直状態が続く。


「はい、ストップー。動きがなくなってきたので、トーナメント戦にしまーす。一旦休憩ー。ご飯食べよー。今、残っている人たちはこっち来てねー。残りは、掃除で。よろしく」


「お疲れ様です。残っている方々は、私に続いてきてくださいますか。ご案内します」


 メイドさんの後に続いて観客席をのぼり、王城内へとはいる。中は、カーペットなどいかにも王城といった、豪華な装飾が施されている。庶民派である俺はガチガチに緊張してしまう。城なんて、東京ドリームランドのシンデレラ王城しか行ったことがない。


「ユウはガチガチだな。もっとリラックスしたほうがいいじょ」


「エナだって緊張して噛んでいるじゃないか」


「べ、別に緊張してなどいない!」


 しているしていないというやり取りをしつつ、着いて行く。


「では、こちらの部屋へどうぞ。只今、お食事をお持ちいたします」


 部屋はさすがと言わざるを得なかった。広い部屋の中央に下がるシャンデリア。窓はステンドグラスになっていて、差し込める光が、部屋をカラフルに彩っていた。

 縦に長いテーブルの奥に、ハイハール王国第三王女、エリザベータ王女は座っていた。色素が薄めの金髪を伸ばした髪型がより一層、絵画的な印象を与える。


「はい、早く座ってー。さっさと食べよー。あ、風呂にはいるなり、着替えるなりするなら、一回でて、正面の部屋が風呂場だから。右が男で、左が女ね」


 俺以外の人は風呂なり着替えるなりするようだった。俺は特に動いたわけでもないので、そのままテーブルに向かう。


「てめぇは、風呂とかはいらなくていいの?王城の風呂なんて一生はいれないよー?」


「大丈夫です。それに、エリザベータ王女を一人で、おイタッ」


 王女からフォークが飛んできた。結構な早さで痛いのだが。


「エリザベータ王女殿下、またはエリザベータ王女様でしょ?」


「あい、エリザベータ王女様イタッ」


「あいじゃない、はいでしょ?」


「はい、すみません」


「てめぇ、おもしろいね。気に入ったよ。あたしの右前の席に座って」


 気に入られてしまった。やはり風呂に入っておけばよかったのかもしれない。

 徐々に、人が戻り始める。風呂に入ってきたらしいエナも帰ってきて、隣に座る。り


「ユウもはいってきたらよかったと思うぞ。大きくて気持ちいい浴場だった」


「フフフ、大きい、気持ちいい、欲情、フフフ」


「ちょっとリル、落ち着いてよ。王女様の前だよ!?」


「だってさ、フフフ、仕方ないんだよ、ラル。フフフ」


 間違いなく変態だ。変態がエナの横に座っている。関わらないでおこう。恐ろしいものだ。


「お待たせしました。お食事をお持ちしました」


 順々に、サラダ、肉料理、魚料理、スープなどテーブルにおいていく。セルフで取って食べる方式らしい。


「では、飲み物の準備はいいかー?カンパーイ」


「いただきます」


 なにもかも美味しそうだ。とりあえず、サラダからいただこうか。


「てめぇ、サラダ取って」


「えっと、てめぇって俺のことですか?」


「そう。てめぇだ。サラダ取って。三度は言わせないでよ」


 渋々、サラダを取る。メイドさんにやってもらえばいいのに。


「ご苦労。じゃ、食べさせて。あーん」


 え?そこまで?俺の食べる時間は?でも、カワイイ。仕方ない許そう!王女様にあーんができる!これは一食抜く価値があるというもの!やるぞ!俺はやるぞ!


「ほら早く!」


「は、はい、あーん」


「もぐもぐ。うん、うまい」


 なんという幸せ!カワイイ子にあーんをしている!たとえ、扱いが酷くとも、報われるというもの!


「はい、次」


「はい、あーん」


 コンコンと扉をノックする音が聞こえる。その後、兵士が入ってきた。


「失礼します、王女殿下、少々お時間よろしいでしょうか」


「さっさとお願いね」


「はい」


 兵士は王女の元に来て耳打ちをする。

 いけないことなのだろうけど、聴覚を強化して盗み聞きする。


「北の奴らに国王殿下が殺されました。狩りの最中を狙われたようです。また、北の騎士団がこちらに向けて進軍しているとの情報もはいっています。ノストラシュ第一王子殿下が集合を呼びかけております。玉座の間へお越し願えないでしょうか?」


「わかった。てめぇら、しばらくここで待ってて。で、外に出るときは召使いに言って。じゃ、行こうか。あと、てめぇは他の奴らが変なことしないか見張っといてよ。暴れだしたら殺してもいいよ。止めて」


 俺が仲裁役ですか。信用されたのかな?でも、状況は芳しくないだろう。

 あーんのお礼に助けてあげようかな。カワイイ女の子に弱い俺なんだぜ。年も近そうだし。王国を助ければ好感度急上昇だ!それに、この世界について調べる手助けになりそうだ。機密文書を見せてもらえたならば、最高の結果だろう。


「それよりも、勇者の力が必要ではないですか?」


「てめぇ、盗み聞きとはいい度胸だね。この愚民め。てめぇならなんとかできるって言うのか?」


「一人で十分です。奴らを撤退させてみせます」


 女の子を守るために、再度尋ねる。


「異世界から来た勇者はいかがですか?」



 ヒロインのインフレが始まってしまいそうです。第一王女と第二王女との関わりはあまりありません。ご安心ください。


 勇者インフレも始まっています。さてさて、何人になっていくのでしょうか?不安です。口調に差をつけられません!


 次回、何万を相手に一人で蹂躙いたします。エリザベータ王女様のお眼鏡にかなうのか!?よろしくお願いします。


 お約束ですが、作品の感想を受け付けております。いつでもどうぞ!

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