前夜【未明頃】
私の知人が言っていました。
「ジャンルに困った時はとりあえず"文学"」と……。
夜の川辺で佇む青年の姿があった。
歳は私と同じぐらい…つまり17-8と云ったところか。
彼は空を、空に光り輝く満月に近い上弦の月をずっと見上げていた。
どこか寂しそうな雰囲気を醸し出しながら。
今は0時ちょっと過ぎ……こんな遅い時間に彼は何をやっているのだろう。
彼の出す雰囲気も相待って少し興味を抱いたのかもしれない。
ーーこんな私が。
でも、だから声を掛けてみたんだと思う。
「ねぇ、こんな時間にこんな所で何をやってるの」
何にも興味を持てない私が。
いつもなら数分後にはもう忘れてしまってるだろうな、って思うのに。
「どうかしたの?」
今声を掛けないで立ち去ったらずっと気になってしまう、ってそう思ったんだ。
「え? ……やぁ、こんばんわ。」
声を掛けられてやっと私に気づいたらしい。
ずいぶんマヌケそうなその青年は柔和な笑みと律儀な挨拶と共に変な質問を向けてきた。
「ねぇ、今っていつ?」
「え? えっと、…いつ? あ~、8月の12日……いや、0時過ぎてたから8月13日ね。」
「8月13日……ねぇ。」
少しの間不思議そうな表情をした後
「あ…あぁ、なるほど。 だからか。」
合点したみたい。
「ん~、でもどうして……」
また悩み出した。
そしてこっちを見て
「ねぇ、君はなんでこんな所に居るの?」
えっ!?
「それ私が言ったわよねっ!?」
「え! あぁ、ゴメンゴメン。」
私の言葉は聞いていなかったのか。
何時の間にか初めに感じていた寂しげな雰囲気は霧散していた。
彼はその柔和な笑みを絶やさずこう言った。
「僕は月を見ていたんだ。 なんとなく、ね。」
それで、君は? そう続ける彼。
「……なんとなく外に出てみたくなっただけ。」
「出て見たくなった? 君も月を見に来たのか。」
少し嬉しそうな笑みになってそう言う。
「似てるし音は同じだけど漢字には変換しなくていいから……。」
「そう…。」
すこしおっとりした感じの人だなぁ。
「そうかぁ、たまたまか。 じゃあ……」
そのくせまた考え込んでるよ……。
いきなり日にちなんて尋ねられたし、もしかして記憶喪失の人だったりなのかな。
「ね、ねぇ、ホント大丈夫?」
「ちょっとさ、僕と付き合ってくれない?」
「はい?」
「あ~、いや、そういうことじゃなくてこの町を案内してくれないかな?」
……そっちの付き合う、か。
会って数分の人にさらっと告白されたのかと焦った。
「あなた、何なの……? というかこの時間から?」
「あはは、しっかり寝ないとダメだよ。 …そうだね、お昼頃にまた会える?」
「……え、あ、いや、う~ん………」
「そうだねぇ、じゃあ10時にココ、でどうだい?」
「え、えぇ…」
そんな嬉しそうな反応見せられ、もう引けない状況に陥ってしまったことを遅まきながらに悟ったのだった。
あぁ、10時までは寝ているつもりだったんだけどなぁ……。
「あ、こんな時間に女の子一人は危ないし送っていこうか?」
「送り狼のほうが怖いから、いいわ…。」
私が見ていた限り、最後まで彼はそこを立ち去ろうとはせずに再び月を見上げていたのだった。
実は結局どこが、と具体的には解らなかったとですがもう一押し・二押し手直しがしたかったです。
ただ一日置いてみたのですがやっぱりどう手直ししたいのか解らなかったので諦め。
後の私がこれを読み返して「あぁ…」とでも思えたなら良いかなぁ、と。




