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一日遅れのValentine.

第一回目のお話はバレンタイン!

エイガ様主催のバレンタイン企画の参加の品です。

参加させていただき、ありがとうございました!

「どう言うことだ?」


「だから勘違いなんだって。」


「告白されて、思わずOKした事が、か?」


「だから違うのっ!」



晴れて恋人になった私達が初めて迎えるバレンタイン。

櫂に問い詰められております。

顔に怒りの表情を含ませて。

何でこうなったか、って?

それは今から数時間前、私が同じ高校の男子に呼び出されてチョコを貰ったからです。

うちの学校には昔から変な風習があって、外国と同じ様に男性がチョコレートをあげるの。

だからバレンタインの日には女子も男子もチョコレートを渡し放題。

で、話を元に戻すけど、それだけなら櫂も怒らないの。

だってモテる櫂は私の数倍の人からチョコを貰ったり、告白されたりしているからね。

そう、それだけならちゃんちゃんで終わったのよ。

なのに・・・ー。



「ならなんでお前にチョコをあげた奴が、俺に、『鈴ちゃんに告白のOK貰っちゃった』って言ってくるんだ!?」


「知らないよっ!

そんな事!!」



OKした覚えもない!


確かにチョコは貰った。

でも、OKも何も、告白すらされた覚えがないのだ。

聞き間違いなんじゃと思って聞き直して見たけど、断固として間違いを認めない。

櫂も流石にバカじゃないから、ここまで言い分を通すと言う事は本当にそう言われたんだろう。

お互いに間違ってはいない。

それが本当なら、一つの疑問がうまれる。

どうしてその男子が態々嘘の話を櫂にしてきたのか、と言う事だ。



「知るかっ。」


「知るか、って・・・ー。

聞いてみればいいじゃない。」


「学校でか?」


「そうよ。」


「・・・分かった。

明日聞いて見る。

・・・嘘ついてたら承知しねぇからな。」


「・・・恋人の言う事が信じられないの?」


「・・・信じてぇけど、どっちも主張を降ろさないならどっちかが間違ってるってことだろ?

信じられなくても無理ねぇよ。」


「・・・最低。」



せっかくバレンタインのチョコ持って神社にきたのにー。

このマフィン、あげないんだから!



「・・・今日は帰る。」


「・・・そうかよ。」



部屋から出て、神社の方々に挨拶する。

いくら恋人が自分を信じてくれなくて、怒りに我を失ってても、それなりの礼儀は弁えてるつもりだ。

家から出て行く間際に、一部始終を見ていた櫂のご両親がオロオロしていたのが見えた。

付き合う事を喜んでくれていた櫂のご両親に何となく申し訳ないと思いつつも、何もかも櫂の所為だと考えて吹っ切った。


家に帰ると、お玉杓子を持った姉がキッチンに立っていた。

うちの姉はちょっと特殊で、妹の私に対しても敬語を使う。

おっとりしていて、まさに女性の中の女性だ。

そして私と違い、容姿も最高ときた。

同じ親に同じように生まれてきて、同じように育てられたのにこうも違うのは何故だろう。



「あ、お帰りなさい。」


「うん、只今。」


「どうでした?

櫂くんの感想は。」


「あ・・・、うん。」


「どうしたんですか?

渡しに行ったんでしょう?」


「・・・うん。」


「・・・何かあったようですね。

話せる事ですか?」


「・・・話せるけど、多分大丈夫。

最悪の結果になったとしても、櫂と別れる事になるだけだから。」


「・・・鈴、ちゃんと櫂くんと向き合いなさい。

後悔したくないでしょう?」


「お姉ちゃん。」


「明日が楽しみですね。」



いつもとは違う顔から一転して普段の笑顔を私に見せてくれた姉。

姉は何も話していないのに全てを見透かしたような返事をしてくれた。

姉の怖いところは、天然に見えて全てを分かっているということだ。

そんな姉にはイケメンの彼氏がいる。

大学でも有名な美男美女のカップルだ。

・・・もう一度言う。

どうして私とこうも違うの!(笑)



「あら、電話ですね。

・・・はい、もしもし?」


「誰?」


「櫂くんですよ。

携帯に繋がらないからこっちにかけたみたいです。」



・・・電源切ってたの忘れてた。

だって、流石に腹が立ったし。



「子機に転送しますから、二階で話してきたらどうですか?」


「・・・うん、お願い。」



にっこり笑った姉を見て二階にあがる。

子機の前に来たけれど、櫂とのさっきの会話を思い出して、少し取りづらい。

でも取らなければいけないし・・・ー。



「・・・はい。」


『・・・鈴?』


「何。」


『・・・今日の事、謝ろうと思って。』


「聞いたの?」


『いや、まだ聞いてない。

でも、疑ったし、信じられないって言って傷つけたから。』


「・・・もういい。

私も何も話さないまま、帰っちゃったし。」


『悪かった。』


「私の方こそ。」



あ、ちょっと胸の引っ掛かりが取れた。

やっぱり、謝りたかったんだなぁ。



『鈴は告白すらされてない。

そうなんだよな?』


「もちろん。」


『・・・あ。』


「どうしたの?」


『・・・リンって言う名前、俺等の学年にもう一人いなかったか・・・?』


「・・・まさか。」


『わっ、悪いっ!!

俺が悪かった!!』


「大丈夫。

怒ってないよ。

・・・明日、覚悟して置いてよね?」


『やっぱ怒ってる!!』



そりゃあ、ねぇ?

あれだけ勘違いされてこんな事になったんだから。

ぐっさり言っちゃえば、


万死に値する!!


・・・なんてね。

明日は激辛マフィンを持って行ってあげましょう。

それで許してあげようではないか。

勿論、普通のも持って行くよ。


一日遅れるけど、それぐらいいいよね?



「ね、櫂。」


『は、はい。』


「・・・Happy Valentine.」


『!・・・あぁ。』



Happy Valentine.


簡単に補足説明を。

櫂は友達から『鈴ちゃんから告白のOKをもらった』と聞いたわけですが、本来は主人公の『リン』ではなく、別の『リン』という名前の子だったわけです。

つまり、櫂の勘違いですね。

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