↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第#話:「終わる世界」

 枯れ果て、深く罅割(ひびわ)れた大地。

 重く黒ずんだ黄金の雲が空を覆い、空気を裂くような風の音が、辺りに響き渡っていた。

 弱々しく燃える小さな炎だけが、この地を薄く照らしている。

 風が激しく吹き荒れて、その小さな光すら、消し去ろうとしていた。


 死んだ世界。

 もし、この光景を見た者がいるならば、そう言うのだろう。

 生き物の気配など、微塵も感じられない筈(はず)だった。



 だが、そんなこの地に、たった三つ。


 微(かす)かな明かりに照らされる、三つの人の姿があった。



 一人目は、低く盛り上がった岩に、身を預けるように倒れていた。

 長剣が握られた手はだらりと下がり、長い黒髪は土で汚れていた。

 片方の腕は無く、胸元には抉(えぐ)られたような傷穴がある。

 胸の傷や口元からは、血が溢れた痕が見て取れる。

 薄く空いた目は、色が抜け落ちたかのように真っ白だった。


 死んでいる。


 それは、誰の目にも明らかだった。



 二人目は、黒髪の女性から少し離れた所で息絶えていた。

 焦茶色の髪をした少年。

 顔は横を向いていて、こちらからは見えない。

 藍色のローブは破れ、その裂け目から流れ出た血が、乾いた大地を赤く濡らしていた。



 そして、三人目は。

 その少年の亡骸の前で、静かに立っていた。

 他の二人と、年齢は同じくらいだろうか。

 オリーブ色の髪が光に照らされ、風を受けて揺れていた。

 だが、表情は読み取れない。

 小さく何かを呟いているが、何と言っているのかも、分からない。



 空に垂れ込める雲が、少女の真上へと吸い寄せられるようにして動いていた。



 少女は言葉を止め、ゆっくりと左手を掲げる。

 その指には、小さな宝石がついた指輪が嵌(は)まっていた。


 少女は、真上へ掲げた左手の指輪を、静かに見つめる。

 髪から覗く金色の瞳が、淡い煌めきを宿した。


 風がさらに勢いを増す中。

 少女が、もう一度何かを呟き、目を閉じると。



 指輪に嵌まった宝石が、金色に輝いた。



 弱々しく揺れていた炎は、いつの間にか、音もなく消えていた。


 溢れ出した光は、瞬(またた)く間に天地を染め上げていく。

 黄金の光が、人影も、風も、大地も、空も。

 その全てを飲み込んで。




 ――この世界は、終わりを迎えた。


〇────┼───┼──●

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
はじめまして。 これからどんな展開になるのか楽しみなプロローグでした! ここからどのようにストーリーが進んでいくのか楽しみです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。