表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

連行

両者、譲れない(?)激しい攻防の只中。


七面鳥の嘴が閃く。


一直線。


目を抉る軌道。


「――ッ!」


ヴェスピナ、紙一重で仰け反る。


風圧が睫毛を揺らす。


そのまま踏み込み、

翼の付け根を鷲掴む。


筋肉が軋む。


「観念しろ!!」


だが――


七面鳥の巨体が捻れる。


強引な回転。


羽毛が爆ぜるように舞い上がる。


白。


視界が塞がれる。


次の瞬間。


背後。


ドォッ!!


衝撃。


「ぐっ!」


背中に蹴りが突き刺さる。


肺の空気が吐き出される。


ヴェスピナが地を滑り、即座に振り向く。


七面鳥は――


既に距離を取っている。


約一羽分。


正確な後退。


冷静。


間合い管理。


無駄のない足運び。


明らかに“喧嘩慣れ”している動き。


ヴェスピナの口角が吊り上がる。


「面白ぇ……」


地面を蹴る。


石畳が砕ける。


――消える。


七面鳥の視界から、消失。


横をすり抜ける風。


次の瞬間。


足払い。


重心を刈り取る。


巨体が、浮く。


一瞬、静止。


「終わりだ!!」


空中で抱え込む。


腕に伝わる重量。


羽毛の下の、硬い筋肉。


そのまま――回転。


叩きつける。


ドゴォォン!!


地面が爆ぜる。


石畳が沈む。


土煙が舞い上がる。


広場が揺れる。


沈黙。


数秒。


羽が、ぴくり。


ヴェスピナが首元を押さえ込む。


喉元に体重を乗せる。


「……悪くなかったぞ」


七面鳥、荒い息。


胸が上下する。


だが。


目は、死んでいない。


むしろ――


燃えている。


闘志。


ネクトリアが呟く。


「……なんか、通じ合ってない?」


アピスが静かに言う。


「ええ。主従の契約が成立しましたね」


「いや、してないよね!?」


ヴェスピナが立ち上がる。


七面鳥も、ゆっくりと立つ。


逃げない。


睨み合う。


数秒。


夜風が羽を揺らす。


ヴェスピナが鼻で笑う。


七面鳥、胸を張る。


祭りの夜は、とても賑やかだった。


夜空に咲く花火が、

静かに思えるほどの歓声と拍手。


アピスが静かに告げる。


「公務執行妨害ですね。

連行します。

……名前を付けておきなさい」


「コイツに名前…?」


「管理上、必要です」


(公務…?? 連行…??)


もはやネクトリアは、

突っ込む気にならなかった。


ヴェスピナが七面鳥を睨む。


七面鳥も、睨み返す。


数秒の対峙。


「……じゃあお前は」


羽が揺れる。


花火が夜を染める。


「……食材だ」


「食材!?」


思わず突っ込むネクトリア。


七面鳥、なぜか誇らしげに胸を張る。


ドン、と花火。


その爆音にも、

七面鳥は一瞬も怯まない。


その様子に――


アピスは小さく笑った。


「……ふふ」


ネクトリア、遠い目。


「……なんなの、これ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ