連携
――ドンッ!!
爆ぜた衝撃が、ネクトリアの意識を戦場へ引き戻す。
胸が、強く跳ねた。
(……また……)
ネクトリアの瞳が、鋭く細まる。
胸の奥で、言葉が燃えた。
(……わたしだって)
拳が、ぎゅっと握られる。
(わたしだって――!!)
白銀の魔力が、静かに立ち上る。
(わたしだって、家族を守りたい!!)
「……いくよ」
その一歩で――
戦場の空気が変わった。
ドンッ――!!
踏み込みと同時に、白銀が爆ぜる。
――ズバァッ!!
先頭のオオカマキリが、反応する暇もなく縦に裂けた。
後方。
戦況を見渡すアピスの瞳が、冷静に光る。
「――右前方、密集。ヴェスピナ、潰しなさい」
ヴェスピナの脳内に響き渡る、迷いのない姉の音。
ヴェスピナの口元が、獰猛に歪む。
「了解だ、姉貴」
消えた。
次の瞬間。
――ドゴォン!!!
側面の大型個体が、外殻ごと粉砕。
鎌が空中で弾け飛ぶ。
アピスの声が、間髪入れず飛ぶ。
「ネクトリア、前線を押し上げて。あなたの間合いです」
「……うん!」
ネクトリアが滑り込む。
白銀の軌跡が、一直線に走った。
――ザンッ!!
包囲網が、一瞬で崩壊。
オオカマキリの軍勢は――
もはや陣形を保てない。
(守られるだけじゃ、終わらない)
ネクトリアが、さらに踏み込む。
(今度は――)
白銀が唸る。
(わたしが守る番!!)
「――はぁッ!!」
――バギィィン!!
前列がまとめて両断。
そこへ。
「開いたぞ、ネクトリア!!」
ヴェスピナが横から突っ込む。
黒金の槍が、叩き潰す。
――ドゴォォン!!
巨体がまとめて宙を舞った。
完全に噛み合っている。
ネクトリアが動きを縫い、
その一瞬を、
ヴェスピナが破壊する。
後方で。
アピスが、静かに息を吐いた。
「……見事ですわ、二人とも」
だが――
指揮は止まらない。
「残敵、中央奥。――仕留めなさい」
同時に。
「了解!!」
「任せろ!!」
ドンッ――!!!
二人が、一直線に加速。
白銀が貫き、
黒金が砕く。
――閃。
最後の大型個体の中枢が、
一拍遅れて――
ずるりと崩れ落ちた。
静寂。
風だけが、吹き抜ける。
ネクトリアは、浅く息を吐きながら、
それでも前を見据えたまま――
小さく、呟いた。
「……守れた」
その横で。
ヴェスピナが、にやりと笑う。
後方では。
アピスが、誇らしげに妹たちを見つめていた。
戦場の中心で――
蜂の姉妹は、
完璧な連携で。
完全な勝利を掴んだ。




