表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヒロインだけど出番なし☆

「やってらんねぇ」



ヒロインことアリエルは、シャンパングラスを傾けながら独りごちる。



私が乙女ゲームの世界に転生したのは、

ちょうど一年前のこと。



本来なら婚約破棄の場であるはずだが、目の前ではメインヒーローである第一王子と悪役令嬢のセシフィリーネの婚約式が行われている


周囲にはその他のヒーロー達。

皆、が笑顔で祝福している



それを末席から見る私はヒロインだ



ヒロインのはず。



前世の記憶がよみがえり、自分がこの世界のヒロインだと気づいた時、私は思わずガッツポーズをした。


やったー。人生大逆転!


だって、だって。


前世では地味OLで、残業三昧・飲み会不参加・社内恋愛ゼロの生活だった私が!


気づいたらチート美少女設定で異世界転生。

ヒロインで、しかも攻略対象が全員イケメン?

夢あるよねこれ!



シナリオ通り、男爵家の庶子だった私は実家から引き取られ、ウキウキしながら貴族院へ入学。


心のなかではもう、薔薇色の学園生活をフル想像してた。



王子様との運命の出会い、図書館での手が触れ合うイベント、雨の日の屋根下避難とか、王道イベント全部くるでしょ。



——だったのに。

現実は、甘くなかった。


というか、バグってた。


悪役令嬢のセシフィリーネも転生者だったのだ。


しかも彼女、ちっちゃい頃から前世知識をフル活用して、石鹸、化粧水、保存食、水道整備、薬草の量産、教育改革……などなど。


チートもいいところな活躍っぷり。


ゲームでいう「敵役」のはずが、

「国の恩人」ポジションを完全に確立していた。

しかも、公爵令嬢っていう最高クラスの家柄付き。



攻略対象たち?

もちろん全員デロデロです。

誰が見ても「あ、もう惚れてるわこれ」ってレベルでメロメロ。



で、私?


……即・撤退しました。

空気読む女子ですから。




ということで、貴族院では男爵令嬢らしく地味に生活。


マナー?きちんと学びました。


学業?真面目に取り組みました。


髪?控えめに結いましたし、装飾も質素に整えました。


つまり、平穏無事をモットーに一年間を過ごしました。

そりゃ攻略対象たちはイケメンでしたよ?

前世では王子推しだったし?



でも、彼らがセシフィリーネにしか目を向けてないの見て、私は悟った。


「無理ゲーだな」って。


近づいてもイベント起きないどころか、むしろ世界のバグ扱いされてゲームオーバーになりかねない。


前世が地味OLの私にとって、イケメンと話すとか、目を見るとか、もう無理無理無理。


ヒロインなだけあって顔は可愛いんだけどね。







卒業を控えたある日、私は一通の手紙を受け取った。


それは、ほとんど接点のなかった実の親からだった。

内容は、政略結婚の通達。



「卒業後は、42歳の子爵の後妻として嫁げ」



それだけ。あとは日取りと荷物の指示が数行書かれているだけで、そこに私への思いや感情は一切なかった。




いやいやいや

嫌ですよ。


推しのイケメンや、攻略対象イケメン達は諦めたけれど


私さ、ヒロインですよ!

顔面偏差値かなり高いですけど!?


何でオッサンの後妻やねん

しかも、そいつめっちゃ評判悪い奴ですやん。




-ってことで、私はこの国を出ることにした。



 


幸いなことに、隣国とはいま平和そのもの。

セシフィリーネ様のおかげで、インフラはバッチリ。

水道・道路・治安・貿易、全部整ってる。


しかも、隣国の王子も攻略対象のひとりだったから、あちら側の受け入れ態勢も完璧。

ほんと、セシ様には感謝しかない。




旅の途中で盗賊に襲われたり、聖獣と契約したり、S級冒険者に助けられたりなんて、そんな乙女ゲー的展開はもちろんゼロ。


むしろ、快適。安全。平穏そのもの。

ありがとう水道整備。ありがとう国交正常化。




 




私は、無事に隣国へと到着し、第二の人生をはじめることになった。



学生時代、真面目に淑女マナーを学んでいたから侍女でもいけるし、

前世の事務職スキルを活かして商家に勤めるのもアリ。



家もないし、過去の立場なんてどうでもいい。

ようやく、自分の人生を自分で選べる。




そう思ってた——のに。





 














……どうして隣国で7歳年下の第三王子の正妃になってんのかな、私。












ショタタタタッ




 




【完】




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ