魔術鑑定 2話
異世界×最強の魔法使い×恋愛
レイカ 「着いたよソルベ王国だ。ここに目的地のギルドと鑑定場があるよ。まずは鑑定場から先に行こうか。」
スズク 「あのー黒髪のままでいいのか?師匠」
レイカ 「おっと忘れていたよ。王国に入る前でよかったね。もしそのまま入ろうとしたら門兵の槍で串刺しになっていたよ。」
さらっとえげつないこと言ってる!この人はなんてことをさせようとしてたんだ!先に気づいてよかったー。ちょっとこの先の旅が心配になるな。
レイカ 「なに色に染めたい?赤は無理だけど。」
スズク 「オレンジがいいかな。ちなみになんで赤はダメなの?師匠」
レイカ 「赤髪は王族の証になっているからだよ。王族じゃない人が赤髪にしたら王族を騙る偽物扱いをされて公開処刑になるからね。」
どうやらこの世界の人は髪にこだわりを持っているようだ。
レイカ 「染め終わったよ。魔法で一応色が落ちづらくしておいたよ。さて王国に入ろうか。」
髪を染めたので王国への入国はすんなりできた。
ソルベ王国は北にある寒い気候が特徴の大都市らしい。ちなみに最初に転移してきた野原はシャーベット平原といい、ソルベ王国にとても近く道が整備されていたため苦労なしに来れた。
王国の中にはさまざまな種族がいる。獣人類、魚人類、通常人類など数えきれないほど多くの種族が交流していた。まさにファンタジーの世界だ。
スズク 「ところで鑑定場でなにを鑑定するの?師匠」
レイカ 「魔術適正とツールだよ。ツールは分かりやすくいうと固有スキルのことだよ。あとこれは鑑定できるかわかんないけど通称ニルという自分しか持っていない固有魔法も調べるよ。」
スズク 「へぇ~。そういえば鑑定場の名前と師匠の名前が同じギルティアだけどなんか関係あったりするの?」
レイカ 「関係あるよ。だって鑑定場をつくったの実質的に私だしね。鑑定場はギルティアという大型組織が運営してるんだよ。ちなみに名前の理由は転生しても毎回ギルティアという名前を使い続けていたら、なんかギルティアとは凄腕の魔術師集団なんじゃないかと認識されちゃって、それ以来この世界では天才魔術師のことを総称で"ギルティア”と呼ぶようになったのが鑑定場の由来だね。」
俺が思ってた以上に師匠はすごい人らしい。あと話しているうちに鑑定場に着いた。
案内人 「今回はどのようなご用件で?」
老いているが風格のある案内人が話しかけてきた。恐らく若い頃は有名な魔術師だったに違いない。
レイカ 「私はレイカ・ギルティアだ。今回は隣の助手のスズク少年の鑑定に来た。」
案内人 「レイカ様でしたか。これは失礼。前と比べてお姿がずいぶんとかわいらしくなっていたので気付きませんでした。レイカ様のためでしたら今回の鑑定は無償にしましょう。それではスズク様は奥の部屋でお待ちしておいてください。」
まさかの名前を話しただけでVIP待遇とは驚いた。正直こういう扱いをされると緊張してしまって困る。
それにしても遅い。20分は待っているぞ?何か師匠と案内人が話し込んでいる。なにをしているのだろうか?
案内人 「お待たせてしまって申し訳ございません。レイカ様から遠いところから来られてここら辺の知識がないと伺ったのですが、魔術の階級の説明はお聞かれになりますか?」
師匠はいろいろと俺の扱いについて長時間話していたのか。納得だ。
スズク 「はい聞きます。なにも知らないので丁寧にお願いします。」
案内人 「まずですね魔術には下から順に初級、中級、上級、巧級、将級、聖級、王級、帝級の8階級があります。また初級魔術が使えるなら初級魔術師、上級魔術が使えるなら上級魔術師という風に使える魔術の最高階級によって魔術師側の階級も決まります。一応、一般的には上級魔術までは使える人が多くいますので、よければ基準としてください。また魔術は|六対族という火、水、雷、地、風、生の6つに分かれています。基本的には肉体の才能によって変わりますが、一人1~2つまでの族性しか使えないとされています。しかし六対族以外の魔術も存在します。厳密に言えば魔法です。光魔法、闇魔法の2つです。魔術と魔法の違いは才能の宿る場所です。魔術は肉体に宿り、魔法は魂に宿ります。そのためかわかりませんが、魔法を使える者はとても少ないです。この世界には光魔法は約200人、闇魔法は約50人しか扱えないそうです。つまりあなたの師匠のレイカ・ギルティア様は闇魔法が使え、帝級魔術師なので、この世界でもトップクラスにすごいのです。」
それからも案内人は師匠のことをまるで自分が自慢するように、パワフルで詳細に熱く小一時間語ってくれた。うん、俺は察したこの人は師匠のファンでオタクなのだと。
案内人 「少々熱くなりすぎてしまいました。それでは説明も済んだことですし鑑定をしましょう。目の前の鏡に手をかざしてください。そしたら手に思いっきり力を込めてください。」
俺は精一杯力を入れた。この能力次第で今後の俺の異世界ライフが決まる。チートみたいな能力が欲しいとは言わない。ただ強い能力が欲しい。そう願っていると鏡が七色に光りだした。
案内人&スズク 「これは!!!!!!!!!!」
案内人 「まさかすごい!しかし...」
なぜか一瞬だけ案内人の顔が曇った。
案内人 「あなたが初めてです。まさか六対族のすべての族性と光と闇の魔法が使えるなんて。しかし...」
俺はその言葉を待っていたといわんばかりに心の中で大はしゃぎした。いや~これからの日々が楽しみだ。まさか全種類使えるチート能力持ちだったとは。俺は誇らしげな表情を隠しきれずドヤ顔をした。だが案内人の様子がおかしい。
案内人 「なぜこのような才能を持ちながら光が弱々しい。なんてもったいない。」
どうやら俺の出した光は普通と比べて弱いらしい。それのなにがいけないのか不思議に思った。
案内人 「あの言いにくいのですが、光の強さが普通と比べて弱いです。光の強さが意味することは取得できる魔術の階級の限界値です。つまりあなたの光を推測しますと、あなたは中級魔術までしか使えません。」
その言葉に俺は落胆した。天国と地獄を同時に経験するなんて滅多にないことだろう。まるで緩急の激しいジェットコースターに乗っているような感覚だ。俺は広くも浅く魔術を使えるだけ...。さようなら俺の無双人生。しかし考え方によっては使えるのでは?!例えば水魔術と火魔術を組み合わせてお湯にしたりなど魔術のかけ算的なことができたりする。物はつかいようだな。それにまだツールとニルが俺には残っているじゃないか。
案内人 「次にツールですが、纏いの鎧です。呼び方はそちらの自由にしてください。簡単に説明するといろんなものを纏える見えない重さ0の鎧です。例えば体に炎を纏ったりできます。また自身が身につけているものにも効果がつくそうです。剣だったり服だったりが燃えなくなるらしいです。しかし自身が発生させたものしか纏えないとか。でも通常状態で防御力が少しあがるサブ効果もついてます。」
ツールの方は悪くはないな。しかし使えるがそこまで活躍はしないだろう。名前はそうだなラテン語でお守り的な意味のアミュレットにするか。まあ持っていて損はないし俺の魔術と相性がいいだろうな。
案内人 「ニルなのですが今回は鑑定できなかったです。たぶん特殊な条件下ではたらくものだと思います。」
なんと頼みの綱のニルまでわからないとは。この先どうすればいいのか。
案内人 「今回の鑑定は以上になります。お疲れ様でした」
そういって玄関先までつれていかれた。ショックで立ち直れそうにない。師匠に慰めてもらおう。
レイカ 「お疲れ様。結果はどうだったのかな助手くん。」
スズク 「散々な目に会いました。聞いてくださいよ。実は~」
そういっておれはししょうにとびついた。
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