王国での生活の始まり
始めまして 読んで頂きありがとうございます リコリスと申します 何分老齢かつ目が非常に悪いので遅筆です 万が一楽しみにして下さった方に大変申し訳ございませんがご理解のほどを
老体に鞭打って頑張りますので応援していただけたらありがたいです」よろしくお願いいたします
王都に着き いよいよ語学の勉強が始まる 元々英語とかの外国語は得意だった 3か月だけだが海外留学の時も何とかなった ただし心配なのは 勉強の教材が有るのだろうか?出来たら辞書とか有ったら助かるな
いざ勉強が始まると 驚いた事にアインも一緒に勉強すると言う 勿論こちらの言葉を勉強ではなく 日本語を覚えたいそうだ 泣かせることに俺の為だと言う つまり俺が少しのこちらの言葉にアインが覚えた日本語を混ぜれば より生活がやり易く成るからと言う訳だ
ユリエールもアインに貴族の振る舞い等も覚えて貰わなくてはいけないからと 賛成している なにせ俺が貴族の振る舞い処か言葉すら覚束ないのだから 対外的にはアインが貴族の相手をしなくてはいけないからだと説明した
それにしても この子は見た目だけでなく 心も天使だった たったの11歳だというのに きっとポンス達の教育の賜物だろう 本当に良い子に育ったんだな
更に驚いた事に教材は有った しかも辞書もだ 話を聞くとこの世界には 今まで何人もの日本人が来ていると言う その迷い人は 皆ここアルメニアに送られ ここで言語を学ぶらしい
ユリエールのアルメニア家は代々日本語を継承し 迷い人に言語を教えるのが 役割なんだそうだ
「ここに 日本人が来るのはどの位の頻度なの?」
ユリエールに聞いた
「そうだな あくまで推測だが2~3年に1人位だと思われる」
「結構な数の人来て居るんだね? もしかして俺以外にも 日本人は居るのかな?今現在ね」尋ねると
「居るぞ だが 今はこの国には居ない 中央公国に居るけどな そのうち会うことも有るだろう」と言ったユリエールの顔が一瞬曇ったが 直ぐに笑顔が戻り
「まずは日常生活が出来る程度に 覚えて貰わないと話が進まないからな そうそうさっき推定の人数は言ったが 実際にこの国に来る日本人は2~30年に1人が良いとこだな たまに2~3人が10年で見つかったり 100年見つからなかったりするが 5~6年に1度は日本人が来た形跡は見つかるからな 特殊な服装の死体がみつかるんだ こっちに来ても生き残れない日本人がほとんどなんだ」と言って悲しそうな顔をする
ユリエールは優しいなと思い
「ユリエールは優しいんだね」と言うと
「それは違うぞ 所謂日本人はまれびとと言われるが この世界に何がしろの利益を齎してくれる存在なのだ だからすべての日本人が生き残って居たら この国の繁栄に繋がるのにと思っただけだ」と照れて言う 照れ隠しだろうと思った
「それとな まれびとで女性が非常に少ない 非常にヒジルノウだ 最初に生き残れないし珍しいので 中には娼婦奴隷に売られてしまい 自死する者も多い 非常に残念だ ただし稀にだが非常に強い女も来ている この国で一番大きい商店を 作り上げたのもそういう女性だ まれびとの才能を発揮したんだろう」と言った
まてよ ヒジルノウってどっかで聞いたな・・・ああ初めてこの世界の男達に有った時に 皆口々に「ヒジルノウ」「ヒジルノウ」と言ってなんかにやけていたな
「ねえ ヒジルノウってどういう意味?」問うと
「ああ・・ヒジルノウは弱いとか貧弱とかって意味だ」
くそ あいつら俺を見て貧弱だと笑っていたのか くそ見てろよ 俺だって体鍛えて見返してやろう
「ユリエール ここでは体を鍛える事も出来るの?」聞いてみた
「勿論だ ただしある程度の会話が出来ないと 修練所には行かせられないな それに魔法も覚えて貰いたいから行く行くは魔法学校にも行ってもらうぞ だがまずは言葉と文字の習得が先だ」
そうか 何となくだがこれからの 目標が見えて来た 後はやるだけだ
アインとユリエールが何か話している 聞くと俺とユリエールが何を話して居るのか気に成って聞いて居るそう
しかしながらこの世界の子供たちは皆しっかりしている
親の教育がしっかりしているのだろうか?
「そう言えばこの世界で子供達は何歳から学校に行くの?」ユリエールに聞いた
「学校に行くのは貴族の家の子位だぞ 学校自体田舎には無いしな それだって6~7歳になったらだな」
「ええ! それにしては みんなしっかりしている」
「アインは特別しっかりしているな」とユリエールは笑う
「学校は無いが田舎では 教会で読み書き計算は教えているぞ そうやってお布施を頂いて居るし 国からも各教会にお布施している 国がエルフィーヌ神教を保護していて国教としている エルフ族はエルフィーヌ神の加護を受けていると伝わっている 元々エルフィーヌ神の眷属としてこの世に使わされたのがエルフ族と言う伝説がある なのでこの国始め中央公国はエルフの女性が公爵として治めることに成ってる」
やはり国を治めるのには 宗教的な物は必要なのだろう そうしないと自分達が治める根拠が無く成るしな
「他の宗教はないの?」
ちょっと意地悪な質問だったかな?
「勿論有るぞ 様々な種族がいてそれぞれ自分たちが信じる神様が居るしな 元は絶対神から沢山の神が生まれそれぞれの種族を作ったので それぞれの種族ごとに神様がいるのだ だからこの中央公国で国教と言っても 他の宗教を否定はしないし弾圧や強制もない お互いに尊重しているよ」
面白いと思った なんだか日本の神道に似ている
「日本の神道という宗教は神様は八百万の神様が居るって宗教だよ 八百万て言うのは数じゃ無く沢山って意味だよ」と得意そうに言ってみたら
「ああ 知っているよ 先人のまれびとから聞いたことが有る この世の全ての物 万物に神様が宿っているって考えだろう?素晴らしい考え方だと思うよ」とユリエールに返されてしまった
「まぁ話は尽きないが こうやって色々な話をしながら こっちの言葉も覚えてくれ」と言って 勉強を開始した
3か月もすると日常会話位なら 不自由しなく成った まぁ早口や難しい話は無理だったが アインもかなり日本語を理解してこちらも 日常会話位は問題なく成った 毎日日本語でアインとユリエールと話していると 寂しいなんて気持ちは 湧かなくなった さらにユリエールの母様や祖母様も当然日本語が判る 助手の様な人達もいるし さらに侍従や侍女にも日本語が判る者もいるが ユリエール達程完璧では無いが 雑談位なら話してくれる 彼ら曰く内緒話にはもってこいだそうだw
この3か月で更に日本の事を余り思わなくなった きっと俺は薄情なのだろう 戻りたいという気持ちが無く成った訳ではないが 恐らく帰るのは無理なのだから こちらで暮らす事を考えれば ましてやアインを任されているのだから 俺だけ逃げ出す訳には行かない
不思議な縁だとアインは思う 初めてシンに会った日の事だ
父ポンスに言われた「これから暫く此処で暮らすことに成った少年だ 体は大人に見えるが 此方の事が判らない 恐らくまれびとだろう これからの世話はアインに任せる きっとこの人は国の為に成る人に成るだろう お前が導いてやるのだ それが国の為 ひいてはこの村の為にも成るのだから」と言われた それから一緒に暮らし始めると 色々と驚かされた まず彼はとても賢いのだ それに少しも粗野な所も無い 常に周りに気を配り こんな子供の私にでさえ 優しく気に掛けてくれるのだ 言葉はほとんど伝わらないが 一緒に居ると優しい気持ちに成れる しかも村の粗野で図々しい男と全く違うのだ
私は母のカノアに相談した
「一緒に居ると 優しい気持ちに成るのですが これはどうしてなのでしょう?」と 母はニコリと笑みを浮かべながら
「そう アインももうそんな年ごろなのですね もしシンが居なくなったらどうします?」と問われた
「きっととても悲しく 離れたくないと思い 一緒に行きたいと願うでしょう」と答えた 母は「それは私達と離れ離れに成ったとしても?」
私は即答で「お母様お父様と離れても 一緒に居たいと思います」と答えた
「そうなのね それはきっと 運命の人なのでしょう その思いを大切にしなさい 恐らく暫くしたらアルメニアからシンを迎えに来るでしょう その時になにも理由も無く付いて行きたいと言っても許されないでしょう ならば今のうちに結婚の約束をしなさい 言葉が判らなくても貴方の思いが有れば 伝わるでしょう お父様には私がそれとなく説明しておきます きっとまだ早いと言うでしょうが 私達が結婚の約束をしたのも12歳の時だったのだから文句は言わせません それにね世の中のお父様は娘が結婚と言うと何歳でもまだ早いと言うのですよ」とニッコリと笑った
あの時から私は心の底からシンを支えようと誓ったのだ
私もシンの言葉を理解し手助けしたいと本気で思った
そしてユリエール様が現れてからは 行き成り良い事ばかりだった
あの名の無い辺鄙な村に母の名前を貰いタルホ村になり領主を任された しかも周囲の同じように小さな村を纏めて郷にしてお母様達が郷爵に成ったのだ 元々父母が元貴族の出と言う事で村長の様な事をしていたが 正式に領主に成った ただしお母様と父様は貴族が嫌で家を出たのだから 嬉しいのかは判らないのが・・・
それに途中で怖い思いもしたが ここに来てからは楽しい事ばかりだ 沢山買い物して美味しい食べ物も沢山食べた シンの国の言葉も学べるし 良い事ばかりで逆に驚いてしまう
更に社交界のマナーや舞踏会用の踊りも覚えなくてはいけない
更に言うと 社交界で特別な言葉も有ると言う 行き成りシンがすべてを覚えるのは難しいので 言葉の判る私が覚えてシンの代わりに支えに成らなくてはいけない 但し苦痛という事は無く 新しい事をやるのは楽しい
偶にのお休みには 買い物や食べ歩きも出来る そう言う時にもシンは優しい 何も言わず黙って付いてきてくれる 村で両親と買い物や食べ歩きに行くと父様は 直ぐに飽きて文句を言いだして 母様と喧嘩か 母様が「それなら一人で何処かにいらっしゃれば」と言うと 喜んで何処かに行き 酒臭い匂いをさせて帰って来る事が多い それに比べてシンは ずっと優しい眼差しで私を見守ってくれている 勿論文句なんて言わない どうしてこんなに優しいのかしら?
それとも沢山の女性とお付き合いが有ってこういう事には慣れているのかしら?少し不安になる 今度聞いて見ようかしら
4か月が過ぎた かなり言葉自体は分かるようになった 但しさすがに文字は完璧とはいかない ほとんど分かるのだが(前後の言葉で推測できる)たまに全く判らない単語もある
そして ユリエールが言った
「そろそろ修練所に行ってもいい頃かもしれないな まだ魔法学校には早いかもしれんが 体を動かすのも良いだろうしな
所でシンは 何か修練はしていたか?」
「修練ていうか 剣道と柔道はやって居たよ 柔道は体術ね」と答えた
「そうか 剣術と体術は多少は出来るのだな それなら直ぐに慣れるだろう 明日から修練所に行ってみるか?」とユリエールが言ってくれた
「そうだね体が鈍っているから そろそろ体動かしたい」と答えた
「じゃあ 明日から行ける様に手配しよう」
明日から体を動かせるのは 楽しみだ
そうして明日に楽しみが出来た
最後まで読んで頂きありがとうございます まだまだ書くことに不慣れですが精進していきます
よろしくお願いいたします