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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#08. Reboot 脱出
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[9]




 胃から突き上げそうになるのを堪え、今の内に移動を決心する。




記憶を手繰り寄せ、浮かび上がったのはサウスのロビー。

妙に手の力が強い黒い男に連れられ、白衣の連中と、火傷した男に向かって投げ飛ばされた場所。

皮膚を持たないロボットが、そのフロアには居た。






 床を恐る恐る這い、扉の外に出ようとした所、また忙しない足音が真上から聞こえてくる。

ターシャは再び、階段下の奥へ身を隠した。




 僅かに覗いてみると、慌てて扉に消え去ったのはあの黒い男だ。

まだ上には人が居るだろう。

この階段を使って下りて来るのだろうか。

ならば、出払うまで身を潜めておくべきか。

体調の異変から、そう素早く動ける状態ではない。

焼却現場の妙な臭いによる不快感を、少しでも落ち着かせようと蹲る。






 留まっていて正解だった。

またしても駆け下りる音が響き始め、意識を集中する。

今度は、アマンダを自分の型だと言っていた男だ。



「ビルとレアールをサウスへ移動させてくれ!

ウェストの製造機に居る。

2人が移動したらジェレクを頼む。

俺は負傷者に回る!」



こちらを気にせず、電話を手に走り去った。






 ターシャは再び、静まり返った薄暗い階段下で安堵の息を漏らす。



(アマンダ…)



会いたい。

アンドロイドと知りながらも、これまでを見ていると、どうしても放っておけない気持ちになる。

墓石の前で祈っていた際、そこに本人が居なかった事を思うと、返して欲しいと思ってしまう。




 脳内では、あの真っ暗で機械音がしていた部屋で耳にした、3人の歪な発言が巡っている。

また、この先のロビーで聞いた、女の言葉も。

一体何故、奴等はもっと正しく力を発揮できなかったのか。



「っ!」



鋭い頭痛がし、考えるのを止めようと首を振る。

そのせいで、眩暈が微かに起きた。

やはり、いつまでもここに居る訳にはいかない。




 恐る恐る這い出て立ち上がるが、立ち眩みが起き、再び膝を付いてしまう。

船の元へ向かう。

ここから何が何でも出て、助けを求めよう。

アマンダや、他の故人をどうするか、警察と決められるだろうか。

ターシャはフラフラとドアに近付き、気配を確かめながら扉を開く。






妙な咳に喉を痛めながら、冷たい床を忍び足で駆けた。

向かうは、サウスの船着場。

その船を、何としてでも動かしてやる。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] アマンダがね、気になるよねー。 [一言] そうだ!その船でgo!
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