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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#08. Reboot 脱出
91/189

[1]




 銃撃戦の中へ踏み込める訳がなく、レイシャとターシャはロビーで決着を見届けた。




 レイシャはターシャの両手を掴んだまま、こちらに向かって歩いて来るレアールに震え上がる。

その背後から、ビルがダウンしたシャルの左足首を掴み、引き摺っている。

一方ジェレクはその脇で、例の任務に掛かり切りだ。

画面を見下ろすのではなく、目の高さまでそれを持ち上げてプレイしている。

首を完全に折られた為、一時的に半端に填め込んでいた。

大きく動かす事をすれば、簡単に抜け落ちて皮膚だけで繋がった状態になるだろう。







 ターシャは顔面蒼白させながら、変わり果てた4体を凝視する。

美麗なレアールは、頬と口元だけを残し、鼻から上を銀で光らせていた。

ゼロの目を思わせる眼光に、やや青みがかっている。

こんな状況であっても、乱れた髪をガクガクした手付きで直していた。




ビルの剥き出した腕は、恐ろしいのだが美しくもあった。

太さの違う骨格が合わさるそれは、人間の前腕骨と類似している。

間に観測できるのは、指の本数分の細い鉄骨が組み込まれ、肘から手首、指へと連結している。

指の構造もまた人間同様、関節に設けられた丸い銀の連結が、朝日に鈍く光った。

そこを配線に沿って這い巡る3色の光は、部分的に裂けた腕や顔の肌からも垣間見える。

だが、彼の両目はどこへ落ちたのか。

あの、自分を撥ねたと言われる男と似た目の開き方をしており、真っ黒で悍ましかった。




彼等は、ウェストの2階から1階にかけて設備されている焼却炉へ向かっている。






 透かさずターシャはレイシャの手を振り解き、ボートがあった場所へ向かおうとした。

不意に見えた、サウスの青白いロビー。

小さくゼロが移動する様子が、ここからでも僅かに観測できる。




 そこへまた、激しく両腕を掴まれた。

声を上げ振り返ると、レイシャが連絡して寄越した、部下の男が少々息を荒げて立っていた。




「遅いわよ!」



レイシャが怒鳴るのと合わせて、3体が颯爽とガラス扉を開けて入ってきた。

完全に動きを止めているシャルを、ビルが引き摺りながらエレベーターに乗り込む。

彼女が引き摺られてきた床には、弾丸が点々と転がった。

ターシャはそれにまた、目を震わせる。




付いて行く2体が乗車する所、レイシャも駆け込んだ。

男もまた、抵抗するターシャを無理矢理引き連れて乗り込む。






 エレベーターが静かに閉まると、ジェレクが立てるゲーム音だけになる。

その真横に押し込まれていたターシャは、そんな彼に心底引いた目を向けると、足元に横たわる彼女をそのまま見下ろした。




もう、シャルだと判別は付かない。

微かに焼け焦げた臭いと、鼻を突く妙な臭い。

薬品室で戦った際に、それらを浴びた影響か。

ターシャは徐々に、頭痛を起こし始めた。




「気の強い女は割とタイプだ…遊ぼうぜ…」




不意に男が、面白がって耳打ちする。

それにゾッとし、足を踏もうとするも軽々躱された。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] レアールぎゃーww 気の強い女は僕も好きw
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