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シャルの足首が光った。
白光が皮膚下に流れて消えると、彼女は上体を起こす。
その後、真横のレアールに飛び掛かり、頭突きを喰らわせ押し倒した。
そのまま身を翻しジェレクの肩を掴み、引き寄せ、首を真後ろへ完全にへし折ると、石畳に叩きつける。
振り返りざまビルの胸部、腹部、股を蹴り、彼が僅かに前屈みになった隙に両目を突いた。
彼の両眼は寸秒で眼窩の奥に消え、光放つ目に変わる。
再び勃発した騒音に、イーサンは戻って仰天する。
ヘンリーはまた、その様子に笑わずにはいられなくなりかける所、必死に堪えていた。
ジェレクは後方に倒れきった首を両手で前に持ってくると、軋み音を立てながら、固定位置を探った。
完全に折れた為に、嵌りが甘い状態になるが、そのままピストル2丁を構える。
ビルは地面に寝そべっていたサブマシンガンを即座に拾う。
それを捉えたレアールが、マガジンを投げた。
彼は掴み取ると手早くそれを仕込む。
レアールは、背にしていたアサルトライフルをリロードする。
3体に囲まれる所、シャルは更にビルに襲い掛かろうと手を伸ばすが、3方向から連射を喰らう。
中庭は激しい火花が散り、明々とそこを照らした。
銃弾は時に、互いの皮膚を掠りながら、シャルの右半身を攻撃し続ける。
短銃のジェレクは控え目だが、Rの急所を確実に狙っていた。
後の2体は頸椎、腰椎、最終的に再起動させた足首まで満遍なく銃撃する。
焼け焦げた臭いと煙は、朝日の中へ溶けていった。
陽光に眩しさを感じる事も無く、撃ち切ったレアールとビルの手は止まる。
シャルはまだ、ビルに向いて立ち尽くしているが、彼女の眼光は確認できない。
3体が銃口を下ろした数秒後、突如シャルの首がレアールに向いた。
彼女は銃を振り翳そうと構えた所、シャルの剥き出しになった青白く光る頸椎に、ジェレクの手早い2発が入る。
電流が高々放たれ、System Rebirth初号機は、そこで完全に倒れた。
静寂が10秒程続くと、状況を確認する部下達の声が飛ぶ。
屋上から見下ろす2人もまた、再起動が無いか、目を光らせていた。
太陽は徐々に水平線から昇り、暗かった拠点は顔色を変える。
爽やかな潮風は、派手に暴れ、狂いに満ちた空気を拭った。
3体は銃を完全に仕舞うと、肩や手、大腿を淡々と払う。
射す陽光をレザーに受け、そこから控え目な光沢を放った。
そして、焼却炉へ向かう態勢に入った。
MECHANICAL CITY
本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。
また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




