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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#01. Access 搬送
9/189

[7]




 圧倒的白を基調としただだっ広いロビー。

1製作専門の塔、サウス。



壁際中央に据えられたカウンター以外、何も無い寒々しい空間。

病院の様にも見えるそこではゼロが10体以上、青白い照明を受けながらウロウロ行き交っていた。

移動音が合わさり、その場の音はこちらの足音を消してしまう。



 各々、単純にプログラムされた1作業に只管取り掛かっている。

積み上がる書類をカウンターの決まった収納ボックスに仕舞っていたり、その場のコンピューターを操作をしていたり。

布を被された何かを別の部屋に運搬していたりと、常に光ったままの白い目は、止まる事を知らない様を見せていた。






 そんな彼等を脇に、Rと研究員はそのフロアを抜け、奥へ突き進む。




 レアールは頭を軽く振り、髪を軽く靡かせる。

歩みを止めないままレザーコートを脱ぎ、丈の短いレザーベスト姿になり、女性らしい腰の曲線を直に晒した。

伸びる滑らかな白い両腕。

左手首にはゴールドの小さな装飾が付いたレザーのバングルを嵌め、僅かに光った。




「おぉおぉ…補佐官が作っただけあるな……」



彼女の背後を歩いていた研究員2人がその動作に改めて見惚れる。

彼女は3台目で、レイシャが初めて1人で手掛けたアンドロイド。

自由に扱っても良いと博士に言われ、彼女なりの追求が等身大となっていた。



「2代目レイシャ・ハリスってとこね。

どうしたって製作者に似るか、その思考が露わになる。

ビルなんてトップの都合の塊じゃないの」



「でも色気を補佐官が煩く求めるもんだから、声は仕方なく細工したって」



目標の、人間と呼んで然るべき存在とは何か。

その追求は終わる事は無いだろう。

可能な反映は全てやろうとするレイシャの執着に、博士は折れた。

なかなか譲る事をしない彼だが、補佐である彼女の存在がどこか可愛いのか、或いはただ機嫌が良かったのかもしれない。






 真正面で、先程の病院とは比較にならない真っ白なエレベーターの扉が開いた。

中の照明は青白く、2体のスタイルが放つ光沢がより格好を引き立てる。



 エレベーターが音もなく止まると、遺体は運び出された。



「ご苦労様。外回りは後の2人が戻るまでは不要よ」



2体を残して研究員は担架と共に降り、扉は無音で閉鎖すると再び上昇する。





 静寂の間で、レアールは右手を眺めた。

翻し、指を1本1本丁寧に手前に折っては見つめる。

その動作にビルが振り向き、釘付けになる。



「何の任務だ」


彼は音声での解析に切り替えた。


「汚れていたら、手入れをする」




 エレベーターの扉が開くと、2体は奥の真っ白な廊下へと消えた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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