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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#07. Cracking 処分
85/189

[11]




 シャルの姿を見れば、レアールの状態は大した事無い。

しかし、彼女に対するヘンリーの考えは違う。

そこも話に聞いていたイーサンは、こんな事ならば、彼女に無理に対応させなくてもよい様な気もしていた。

結局、見てみたい、試したいというヘンリーの欲はもう、変わる事は無いだろう。

イーサンは煙草の火を消しながら、小さく息を吐く。

そうは思うものの、自分にだって言える事である。




 彼は無言で小さく笑い、ヘンリーの背中を軽く叩いた。



「あっさり綺麗に直しちまうよ。

これを機に、新規パーツ入れてやりゃいい。

彼女の表情を、ずっと待ってたんだし」



だが彼は、中庭を見下ろしたまま石の様に固まっている。

また聞こえていないのか。

そう思ったのも束の間、小さく、1度だけ頷いた。

それもまた、酷く不安がる子どもの様だった。











 レアールとシャルが、よろめきながら共に立ち上がる。



3体が一斉に彼女に向かう所、先にレアールが右側から一撃入れ、彼女の両肩を掴んだ。

だがその手を掴み返され、彼女がレアールの右脇腹を複数回素早く蹴り、よろけさせる。



 そのまま攻め寄るビルに、シャルはレアールを蹴り飛ばした。

だが彼は、飛んできたレアールを受け止めてはすぐ脇に避け、シャルの脆くなった胸部に焦点を当てる。



 ジェレクは素早く彼女の背後を取ると、その両肩を掴んだ。

右足を彼女の背中に当て、固定する。



 ビルが正面から彼女の首を左手で掴むが、彼女は両手で掴み返し、解放しようと抗う。

彼はその両手を右手で強引に引き剥がすと、そのまま逆方向に捻った。

青白い電流が、派手に宙を照らす。

彼女の腕の抵抗が弱まり、残った左手が垂れ落ちた。



 ビルは彼女の首を掴んだまま、右手を引き、僅かに手を開く。

そのまま勢いを付け、露わになる胸骨に激しく突っ込んだ。

火花と電流が散り、ジェレクと共に皮膚の損傷を負う。



 背後からのジェレクの固定により、位置がズレる事なくビルの腕は彼女に貫通。

()き切った手には、導線が複雑に絡まって飛び出た基盤が掴まれていた。

今度はそれを引き抜こうにも、胸部は格子状の骨格で頑丈にカバーされている。

突き破った影響で、激しく破損した格子の数々の先端が、彼の腕に減り込んで抜けない。

彼女の背中からは、その先端が花開く様な形状で突出していた。



ジェレクは、自分の腹前に飛び出してきたそれを、凝視している。

シャルはフリーズしていたが、目や、その基盤にはまだ、青、金、白の点滅が走っていた。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] 嗚呼〜ヘンリーの気質が分かってしまうような気がするよ。 手が…マジンガー⚪︎的な…。手がさぁ。 点滅って何だろ…先行こう。
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