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シャルの右半顔の皮膚が抉れ、右目も放たれ、白光が晒された状態になっている。
打撃を受け続けても尚、彼女は体勢を保っていた。
そこからはもう、声が放たれる事は無くなっている。
しかし未だ、停止する様子は無い。
ただ、目の前の邪魔者を殺す。
それだけに執着していた。
彼女はレアールが構えるアサルトライフルに掴みかかり、足を引っかけ、膝からバランスを崩させる。
それは奪われ、即刻レアールに向け、近距離で連射。
しかし彼女は地面を華麗に転がり、僅かなダメージに留め、立ち上がる。
弾切れで手が止まったシャル。
それ目掛けて、レアールが顔面に飛び蹴り。
しかしそれは、空のアサルトライフルでガードされ弾き返される。
その背後から、ビルが透かさず飛び蹴りした。
その衝撃で武器は前に弾き飛び、レアールの元に落下する。
彼女は拾い上げ、手慣れた様にマガジンラッチを外し、リロード。
スライドを引き、即、連射した。
肩の掴み合いになる2体のボディから、金属音が放ち続ける。
時に火花が散り、ビルの腕や顔の皮膚も広範囲で剥がれてきていた。
難航する任務に、表情が無くとも勝手に苛立ちを想像させる。
そこへ、シャルの残る左目が高々と弾かれた。
それは、ジェレクが連絡橋から着地すると同時に放たれた1発。
反動に仰け反った隙に、ビルは右手根部で更に彼女の顎を叩き上げ、頸椎から異音が立つ。
彼女は激しく転倒するが、胴体、手足は起き上がろうと藻掻き、地面に触れる。
そこへ3体が寄り掛かると、ビルは膝、足首。
ジェレクは右手首と胸部。
レアールは左手首と腹、腰に激しく蹴りを入れ続けた。
その後、シャルの動きは鈍くなる。
ビルは胸倉を掴み、彼女を引き上げては、反ったままの首を揺らす。
白光の目を剥き出しにする彼女と顔を合わせるや否や、右ストレートを喰らわせ吹っ飛ばした。
そして彼女は、止まった。
「あら…意外とあっさりした終わり方ね」
レイシャは煙草に火を点け、鼻で軽く息を吐きながら呟いた。
「でもかなり面倒臭そうに見えたな。
通信で何か話してんのか気になる」
イーサンが少々慣れた煙草を咥えたまま、余りにしぶと過ぎる彼等の出来に、若干引き気味に笑う。
MECHANICAL CITY
本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。
また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




