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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#01. Access 搬送
8/189

[6]




 2体を認識すると、ゲートは金属を軋ませながら厚みある音を立て、迫り上がり始める。




徐々にその先に広がる灰色の空間はガレージになっており、両側に下船できるスペースが広がっていた。

ボートの出入りの影響で、そこは排気と燃料の臭いが潮の香りと混ざり、こびり付いている。






 右脇には金属の足と人間の足が計8本。

白衣の裾から徐々にその肩を露わにする。

その隣には、金属骨格を剥き出しにした高さ150cm程で統一されているSystem 0、通称ゼロが2体。

目を白く灯らせて担架を握り、待機していた。




それらには最低限のパーツのみ使用されている。

顔は、下顎と後頭部が無く、側頭葉に当たる部分は丸いファンの形状をした金属パネルが付く。

その隙間からは、白と青の2色が淡く漏れていた。



体はまるで生きた骨格模型。

胸部は脇も含め、背後から肋骨の如く回る様に鉄パネルで覆われ、滑らかな曲面を露わにしている。

如何にもその型の大本に当たる部分を、頑丈に守っていた。

その内部から四方、末端、後部に複雑に伸びる太さ様々な導線を、複数の青い光が這い巡り続ける。

それらはまるで、人間で言う血流と類似する。

ボディは船着き場の照明を受け、全体から鈍いシルバーを放っていた。

細やかな関節の動きも見られるが、どんな些細なアクションを起こす度に機械音を上げる。

方向転換もそれ程滑らかでなく、角度を出していた。






 ビルは発進し、サウス発着地点に停泊する。


レアールは立ち上がり、結い上げた髪を下ろすと納体袋を持ち上げた。




ゼロ達が担架をボートに近付け、彼女から2体掛りでそれを受け取り、乗せる。




「補佐官は変わりなかったか?」


「帰りたがってたんじゃない?もう半年近いものね」


待ち受けていた白衣の2人はレイシャの部下で、研究員である。

今回のダミー製作を担当し、彼女の反応が気になって待機していた。


「ゼロ2体と言ったぞ」


下船しサングラスを再び装着するビルの発言に、2人は相変わらずと言わんばかりの顔を浮かべ、面白がる。

その横では既にゼロ達がタンカーを押し、奥の部屋へと姿を消した。




「出迎えしたいって気持ちだ。

そこは感謝するんだぜ、ミスター」


「指示してない」


「確かに!」


女性研究員が爆笑しながら言った。




 その場が消灯されると、颯爽と中へ進む2体を足早に追いかける。




 警報機の赤いランプだけが、暗闇にぼんやりと浮かんだ。

ガレージは一気に静寂で満たされ、エンジンに熱されたボートは僅かな波を受け、揺れていた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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