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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
74/189

[25]




 エレベーターで2体と合流する。




ジェレクは、ミラーレンズのサングラスを光らせていた。

視線の先では忙しない指使いに、細かい銃声と衝撃音が鳴り響く。

ヘンリーはターシャを掴み直しながら、ジワジワと首を傾げ、彼に目を細める。




「………何の任務だ…」




「ワールドトーナメントで報酬を頂く。

その為にレベル、タイム、キル数、何もかもトップになって、スペックを上げる。

バトルロイヤル、リーグマッチ、ランクマッチで只管勝ち抜く。

チーム戦はウザい。

どいつもこいつも使いモンにならねぇくれぇ雑魚。

あいつ等、ゲームに向いてないぜ。

ソロで抜けるのが絶対的」




ヘンリーは、自分の部下にふと呆れる。

冷ややかで引き攣る表情は、ターシャと被っていた。






 扉が開き、乗り込むなりターシャの抵抗で屋内が揺れる。

レアールがそれを振り返ると、彼女の脛を思い切り蹴った。

悲鳴が上がり、一瞬にしてその場が静まる。




「脚使いがなってないわね。

バタつかせるだなんて、見苦しいわよ」




ヘンリーは、早く着けと胸で囁きながら、階数表示を見上げた。






 1階に着くと強引に下ろされ、2体はそのまま外へ消え去る。

ヘンリーはターシャを掴んだまま、更に直進。




 ロビーに着くなり、ターシャは悲鳴を上げた。

真っ白で青白い照明が射し込むそこは、ゼロ達が数体行き来する空間。

書類やコンピューターを扱うそれらは、上の階で見た時とは全く動きが違っており、穏やかだった。




 ターシャは怒りに歯を鳴らしながら、その情景に時折目を瞑る。

背後で掴まれる手に力が込められ、鬱血を感じ、麻痺もしてきた。




 奥へ続く薄暗い通路を突き進み、冷えた重いドアが放たれる。






そこ一帯は灰色の空間で、排気ガスの臭いと人の声がした。

3人の研究員は、突如現れたヘンリーに肩を大きく跳ね上げ、つい声を上げる。




「トッ…!?」




彼とは数える程しか対面した事のない彼等の顔色は、豹変する。

厳つい目付きとオーラに、帰還したその馬鹿はつい後退った。

その震える体に向け、ヘンリーはターシャを投げ飛ばす。




「てめぇの女だ…対応しろ…」



「はあっ!?」




悍ましい表情から僅かに笑みを見せると、足早に彼は立ち去った。






 脇で立ち尽くしていた仲間1人が口笛を鳴らす。

ヘンリーから監督を仲介し、ここに留まる様に言われていた。

この場で殺されると勝手に思い込み、精神が不安定になっていた所である。

だが、予想外の展開に興奮し、ターシャを掴みながら震えた。

そこへ、血相を変えた女が接近する。




「あんた何!?ほんとお騒が……

それ、あたしの服じゃないのよ!」



「ちびってやがる...」



その横に立っていた男が真顔で呟く。



「ちょっと!人の服になにしてくれんのよ!」



女は癇癪を上げ、ターシャの肩を激しく押しやった。

背後で掴まれていた腕に力を加えられると、男から安堵の笑い声がした。



「いいぜやってやる!治験だ!

新規の抗ウィルス剤試そうぜ!」



3人は、自分達の持ち場へターシャを連れ去った。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] あーもうっ!ターシャがぁ! 可哀想。 もう、可哀想。 痛い気な…怖い目あったんだから仕方ないじゃないかぁ。 何でこうもガサツかなぁ〜ここの人達はぁ。 もぅ…。ぶつくさ。
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