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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#01. Access 搬送
7/189

[5]




 目的地までは数十分。




 ボートは時に、高々と飛沫を上げ沖を切り裂く。

重いエンジン音とその振動を全身に受けながら、漆黒の海上を照明も無しに切り抜ける。




気付かない内にレアールは髪の乱れを考慮し、アップスタイルに変わっていた。

目前に横たわる遺体を、細かな飛沫を浴びながら凝視する。


ビルは瞬きもせず、ただ進行方向を見据えている。






 15分程経過した所で雑音が入った。


無線は、操縦席一帯にザラつく音を這わせ、切り出される。




“本部より搬送班、到着は”



まだ何も見えない遠くの一点を見据えたまま、手元のマイクを起動する。




挿絵(By みてみん)




「20分以内。ゼロ2体待機させろ。ゲートを言え」



“ビル!お前やっと簡潔に言えるようになったか!”



「ゲートを言え」



“何だよ!サウスだ―




言い終える最中でそれは絶たれ、彼は徐々に速度を上げ始めた。




強風は一層吹き付ける。

それでも、振動やカーブにほとんど姿勢はブレず、固定されている2体。

舞う飛沫が増しても、それが目に染みるなんて事は無い。





挿絵(By みてみん)




 漆黒の空と海の忘れられた境目を露わにし始めたのは、灰色の土地。



その上には輪郭を闇に溶かし、宙で僅かに赤い点滅だけを浮かべる2基の塔。



迫り来るそれらは徐々に線を立て始め、その間に白いドットの光を灯す。





挿絵(By みてみん)






 ボートが緩やかに左カーブを描いた。

サウスに向かって旋回すると共にレアールの背後で飛沫が高く上がる。






 進行方向が変わるとより露わになった本拠地は、明確な表面を見せ、直進中に見えなかったもう2基が現れる。

その内の1基の高さは低い構造になっていた。




 点々と散らばる照明に灯された、闇に浮かぶ4基の塔は、複数の指定の階から連絡橋が7本伸びている。


同3基を最上階で1周繋ぎ、最も低い1基の最上階から、その3基の中間フロアを4本が1周して連絡していた。


其々の橋の底からは小さな白光が点々と淡く灯り、夜はまるでその部分だけが宙に浮かんでいる様に美しい。




 拠点の側面に沿って走っていたボートの速度が落ち、ゆっくりと右に曲がった時、真正面にSouth Gateと記された鉄扉の数メートル手前で停船する。




闇夜を颯爽と駆け抜けてきた2人の存在が、今ではゲートに設置された白と赤の照明に照らされ引き立っていた。












MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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