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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
67/189

[18]




「ここは危ない……

アマンダが…教えてくれてる……」



その発言に、ヘンリーとレイシャはイーサンに鋭い目を向けた。




彼は咄嗟に手で大きく宙を切り、乱暴に立ち上がる。



「待て違う!おい餓鬼どういう意味だ!?

俺の型がそんな事言ったのか!?」



「は!?魂がって意味よ!」



周囲は静まり返る。



「………何だ………それ…………」



ヘンリーは彼女の発言の理解に苦しむのか、目を細め、首を傾けている。

彼に解説をした所でだと、イーサンは椅子を前向きに、乱暴に腰を落とし、強く短い息を吐くだけに留める。






 この異常な連中にターシャは怒り、刹那、全身に力が入った。



「型っ…そう、そう言う事っ……

そりゃああんた達みたいな人間に、魂の意味なんて分からないわねっ!」



上体を完全に起こしては、しゃがんだ姿勢になる。



「ふざけないで!

こんな気色悪いとこ、通用しないわ!」



「さっきから(やかま)しいわねぇ…

そちらも言える事かしら、それ」



レイシャの顰め面を、ターシャは振り返る。



「死んだ人のロボットなんてっ…

いくら作り物だからって恐ろしいっ……

まさかそこの人も、下に居た人も!?

……あんな嘘みたいな力……

一体どれだけ居るの!?」





見て来たものが一気に押し寄せ、寒気が増す。

徐々に結びついていく程、気持ちは酷く複雑になった。

あれは、アマンダではない。

だが、アマンダと思ってしまう面も有り過ぎた。

そんな風に思う自分がまた、怖くてならない。

しかし




「故人の情報を得てるの!?

おかしいでしょ!?話し合いや許可は!?

あの子がここでこんな風に存在してる事を、誰も知らない!

あたしの事だって……これって誘拐よね!?

絶対警察に言いつけてやる!」




3人を見回しながら、思う事を放った。

上手く並べ立てられずとも、押し通してみせる。

こんな事は、あってはならない。

滲む涙を必死に堪え、そいつらと向き合ってみせた。






「そういや、親友って言ってたな?

こらまた…とんだ縁だな。

そら驚いたろうな。

段階飛び越して対面実験になっちまったか…」




脇で椅子を軋ませながら放つイーサンを、ターシャは呆れて睨む。

誘拐や通報に関して気にも留めずにいる態度に、引いた。




「で、現実はやはり喜べない、と。

そんなに怖かったか?

映像観る様子じゃ、あの子が立ち去るのを偉く拒んでた様だが、結局どういうお考えなんだ?」




環境に目が慣れ、やっとその表情を捉えられた。

先程、瞬時騒いだ様子とは違い、実に平然な態度でいる彼に、ターシャは鳥肌を立てる。




「ああそういや…

あの子はあんたの顔しかほぼ知らないか…」




するとまるで、仕事をする様な真剣な顔付きで、彼は何かしらの思考を巡らせ始めた。




「何なのそれっ…

バカよ…バカだわっ!」




ターシャはただただ首を振り、彼に怒鳴る。

嚙み合わないこいつ等も、もしやロボットなのかと疑い始めた。




「そっちこそどういうお考えよ!?

間違ってる!

あの子は、起こされただなんておかしな事言って!

研究所だ未来の為に知識を得るだなんて狂った事言って!

ロボットとして居る事から許せないのに、更にいい加減に動かして!

あの子を、あんた達の好きになんかさせない!

安らかに眠る人を、玩具みたく組み立てて弄ばないで!」




怒りに訴える彼女を、一切の態度も変えないヘンリーが、不意に何かを言おうとした。





だが、止めた。

彼はふと、端の両者に視線を向ける。





レイシャは、正面の部屋に顔を向け、どこか遠くに鋭利な目を向けていた。

口元に当てている手は、目と共に震えている。

ただじっと、今は静かに横のうざったい声に絶え、黙っていた。




相手をしているイーサンも、喧しい発言の最中、時折、僅かに片方の踵が痙攣している。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] 理解不能となった魂の声は最早、臭い物に蓋をした後と同然。 ターシャの必死も皆過ぎた道。 今更な道。 其れでも何かターシャが言っている事に、其々が何かを感じ始めているってトコかな? おっとイ…
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