表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
65/189

[16]




【Warning】

※尊厳死から発展する上層部の発言に

 不快感を催す可能性があります。







 3人は、ラップトップからの騒ぎに釘付けになっていた。




あのままではフロアが破壊されるだけと判断したヘンリーは、手元から停止命令を2体に飛ばした。

続けて、シャルに個別指令を出した。




 レアールのアクションにイーサンが小さくせせら笑いながら、首を横に振る。



「何よ」



事態に凍り付いていたレイシャは、怪訝な顔で放つとデスクに戻り、溜め息をつく。

これが続くと厄介だが、初めての事でもある。

彼女は半ば諦め、ヘンリーを僅かに振り返った。






 彼の様子は、横のイーサンとは真逆だった。

首を傾けたまま、Rの様に瞬きも忘れ、デスクに右手を付き、液晶にやや前のめりになっている。

首の位置がジリジリと戻り、それに合わせ目付きは鋭利になる。

そして姿勢はそのまま、ドアの向こうの廊下に耳を(そばた)てた。






 徐々に騒がしくなってくると、数秒してドアが激しく放たれる。



「ひゃあっ!」



ターシャは黒い床に放り投げられ、転がり、俯せになった。




補佐2人は肩を大きく竦め、床の彼女に目を剥く。

シャルは片手を腰に、静かにヘンリーの背を見つめ、判断を待つ。






 部屋は一気に、荒い息遣いで籠る。

デスクにやや前屈みに右腕を預けていた彼は、その肩越しにゆっくり床の彼女に鋭い目を向けた。






 奇々怪々な空気が漂う空間に投げ込まれたターシャは、僅かに首を上げ、床一帯を恐る恐る見渡す。




3人の足先を確認しては、正面に向き直り、徐々に顔を上げていく。

そこには、容姿の殆どが黒い男が立っていた。



挿絵(By みてみん)




 傍で椅子が軋み、驚き振り返ると、別の黒い男が椅子に逆向きに腰かけ、背凭れに両腕を預けながらこちらを見下ろす。



挿絵(By みてみん)




「派手なお出ましね」



その声に肩を弾ませ、その男の反対側を振り返る。

黒い女は腕組みし、横目でこちらを見下していた。



挿絵(By みてみん)






 「無事に連れて来た」



その声にヘンリーは鼻で呆れを放ち、床に落としていた鋭利な目をふと伏せ、音を立ててラップトップを閉じた。






 逆光を受け、顔も不明慮な黒と化す者達。

ターシャは鳥肌を立て、恐々と再び正面に向く。



「………状況に苦しむか…」



低く、緩やかな声は、彼女の耳に滑り込もうと床を這った。

彼はそっと振り返り、空いたデスクスペースに腰かけ、足組みする。





「遷延性意識障害により治療、覚醒困難。

よってお前の親は尊厳死を下した。

馬鹿な手違いはあったが搬送対象となり、ここに居る…

………どうだ……クリアか……」



緩やかだった口調は突如ペースを変え、彼女は恐怖に目が震えた。

その言い終わりは、僅かに面白がってもいた。

顔は強張り、体を起こす力は一向に湧かない。



「尊厳…死……」



声を震わせ、小さく零した。



「親に死んでって言われたのよ」



横からの声に驚きの息が漏れ、両手で僅かに上体を上げる。

整理できず困惑し、目のやり場に戸惑った。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 違うもん!ターシャのご両親はなぁ!!←ししゃり出ちゃ駄目w 落ち着きましょうww [一言] 全然クリアじゃないよー。 ターシャが勘違いして可哀想。←今日も贔屓が半端ない。 治らないと思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ