表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
64/189

[15]




 身を起こそうとする中、背後から鈍い音が短く2度聞こえ、振り向く。




 レアールはシャルから拳を両側から喰らいそうになる所、制御していた。

表情1つ変えず、肩で息をする素振りも無い両者。

じっと見合っては、互いに一度手を解く。




 透かさずレアールはシャルの胸倉を引っ掴み、脇の壁に背中から叩きつける。

凄まじい衝撃音に巨大な亀裂が壁に走り、彼女は減り込んだ。




ターシャは一驚上げ身を縮め、這いながら距離を取る。




 胸倉を掴まれたままのシャルはしかし、レアールの両手を平然と握り返し、反対側の壁に激しく彼女を押し返す。

打撃音に混ざり、腹部へ膝蹴り1発。

しかし、それは瞬時に取られた。

流れで彼女の空いた片足は、レアールの手前に即刻引っ掛けられ、背後から大きく転倒。




 レアールは間髪入れず彼女の両肩を引っ掴み、乱暴に立たせる。

だが引っ掴んだ腕は掴み返され、シャルはそのままレアールの両肘を上向きにへし折った。

その後、再び一気に彼女を壁に押し返す。

衝撃で廊下に断片の雨が散った。



「邪魔するな」



音声指令でシャルが放つなり、レアールの右頬に拳を入れる。




 衝撃で首が大きく捻れ、床のターシャと彼女の目が合う。

悲鳴が轟く中、その首は軋み音を立てながら滑らかに定位置に戻った。




 レアールは傷1つ無く、平然とシャルに向き直り、機械針を咥えたまま身構える。

再び飛び込んでくる彼女の拳を寸秒で躱す流れで、あらぬ方向にひん曲がった両肘を、リズミカルな骨格音を上げながら復旧。

屈んでいたそこにシャルの右膝が飛び込むが、瞬時に左手でホールドし、上体を起こす。

そのまま右から左頬に1発。

その手で胸倉を掴み、1度揺さぶっては壁に頭部を叩きつける。

更に左から右頬に1発。

僅かに体が横に傾いた所、大きく右横腹まで引き込み激しく屈折させ、膝蹴りを喰らわす。




 しかしその体勢をシャルは利用する。

両腕をレアールの腰に回し、廊下半ばまで押し返した。

そのまま彼女は高々持ち上げられ、シャルの頭上高く弧を描き、頭頂部から後方真下へ放り投げられる。

落下と共に、床には巨大な亀裂が複数走った。



「止めてーっ!」



ターシャは目をきつく閉じたまま、人離れした行為に両耳を塞ぎながら泣き叫んだ。






 そこで、両者は止まった。






 頭から落下したレアールは仰向けになっていた所、すんなり起き上がる。

乱れたレザースカートを整え、流れで髪も手櫛で整え、静かに座位を取った。

そして、左右の手をじっと見つめ始めた。




 それと背中合わせになるシャルは、どこか一点を凝視したまま仁王立ちで止まっている。






 状況が読めず、ターシャは更に距離を取り、怯んだ。

そこへ、小刻みな摩擦音が小さく耳をくすぐる。

何かと思い、ターシャは目配せをすると、レアールに目が止まった。

彼女は、爪を擦っていた。




 異常だと目を見開き、釘付けになってしまった。

気が散っていた中、突如、肩を掴まれ身が宙に浮く。



「ひゃああっ!

放してっ!止めてっ!」



再びシャルに担がれ、エレベーターに連れられる。

そんな事はお構い無しに、誰かさんは爪に夢中になったまま、こちらを振り向く事は無かった。












MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 骨格音で良かったー安堵 粉砕バキバキだったら暫く大好きなケンタお預けになるトコでしたよー。←ホラー限界値w [一言] すんごいバトルww 落ち着いた時のバトルギャップが良い! 無傷で爪…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ