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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
62/189

[13]




 フロアはまた、あの冷たい滑らかな床に変わる。

摩擦と共に背中から伝わる冷たさに、恐怖する。




 エレベーターに引っ張り込まれた時だった。

歯を鳴らし、勢い付け上体を起こした。

足首を掴むシャルの右腕に掴みかかり、バランスを崩させようとする。

しかし、微動だにしない。

シャルは振り返りざまに、ターシャに掴まれた右腕を軽々引き寄せ、彼女の胸倉に掴み直し、一気に立ち上がらせる。

そのまま彼女の腹を両腕で掴んでは持ち上げ、右肩に容易く担いだ。

同時にエレベーターが止まり、扉が開く。




 ターシャはシャルの体に両手足をバタつかせ、只管抵抗する。

しかし暴れる両足は、シャルの空いた左腕であっさり押さえ込まれ、固定された。

途方も無く固いホールドに、焦燥しながら突っ伏す。






 そこへ、彼女は止まった。

状況が分からず周囲を見渡すと、そこは最初に目覚め、出て来た廊下。






 後方から、ヒールの音が迫り来る。






振り返るには限界があり、事態を把握しきれない。

怖さに声が小さく漏れる。




「レアール。

シャルったら、ちっとも話しを聞かないの。

レスポンスも無い」



アマンダは、送り続けていた通信に応答しない彼女の異常を伝えた。




ターシャはその声に目を向け、眉を顰める。

妙でならない彼女の発言は、迫り来る音と共に止まる。

そして数秒、現れた相手と向き合っている様子を見せた。






 突如、目の前でアマンダが薬剤器具をその場に置き、ターシャを見る。



「上で話す事になるわ、ターシャ。

もし帰るとなったら、教えてね。

また会いたいから」



彼女はエレベーターへ向かい始め、ターシャは肩の上で慌てる。



「ちょ…待っ…アマンダ!

あんたも来て!話すなら一緒がいい!」



上が何なのかは分からないが、人間が居るのだろうか。

ならば彼女を突き付け、説明させてやろう思って放ったその声に、アマンダは足を止める。

しかし



「何故、ターシャ・クローディア。

彼女がここに来る理由は無い」



背後から声は滑り込んだ。

やや高く、色気あるその声は、ヌルヌルと背筋を這った。



「下で待ってる、ターシャ。

私じゃ、決められない…

でもきっと、また会えるわよ」



そして、彼女に被さる様にレアールがターシャに回り込み、向き合った。

それについ、驚きの声を小さく溢す。

パブに消えた、美体系のあの女だった。

その向こうでは、エレベーターの開閉音が、静かに消える。




 状況に苛立ち、ターシャは唇を噛んでは血相を変える。



「あんた達一体何!?

気色悪い変なものいっぱい見たのよ!?

バイオ何とかだなんて絶対嘘!

本当は何してるの!?

あの子は死んでしまって、もう居ない人なのに!

こんな事、おかしいでしょ!?

有り得ない!どうかしてる!

こんなの、気味悪いわ!」



怒りに声を震わせ、感情的に訴え続けた。

だがレアールは、片手を腰に、言い終わるまで待ってやるといった態度で、彼女を見据えていた。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[良い点] やや高く、色気あるその声は、ヌルヌルと背筋を這った。 [気になる点] やや高く、色気あるその声は、ヌルヌルと背筋を這った。 [一言] 良い声。 欲しい。←馬鹿w ゾワゾワーゾクゾクーだねっ…
[良い点] アマンダが時々優しい、狡いくらいに。 [気になる点] Rayって…。 [一言] ターシャが如何なるのか決められる寸前。 どきどきしますねぇ。 怖い所だとばかり思うのに、アマンダは帰るなら…
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