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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
60/189

[11]




 空は僅かに明るくなっていた。

冷たく、素っ気ないそれを眺めながらのクルージングは、最悪だった。




挿絵(By みてみん)




急遽帰還命令を受けた、成り済まし任務中だった男。

ジェレクの運転に揺られながら、意味を全く成さない無味の気晴らしを喉に流し込み、溜め息をつく。




「なぁジェレク…速度落としてくれよ…」



「早く帰りてぇって言ってたじゃん」



事態を気にする素振りもなく、彼は悠々と部下を連れて運転していた。

話し過ぎる特徴は抑えられたのかどうかだが、少々別の特徴が入った様にも思える。



「ああだが近付くにつれ漏れなく別のもんも近付いてくんだよ!

いいだろちょっとくらい!」



「死ぬってんなら、遅かれ早かれ一緒じゃん」



コックピットの縁に右肘を乗せ、片手運転に切り替えて一点を見つめる。



「お前誰にプログラムされた!?

わざとだろ!最高にムカつくぜ!」



彼の硬い肩に掴みかかりながら言い放っては、フラフラと空笑いする。

そしてコックピットの背凭れに力無く手をかけては、ムカつくそのチビの背を叩き、無意味な八つ当たりをする。



「大体シャルもシャルだ……

あいつはいい、メンテすりゃ……

俺は終いだ…」



「変換すんなら保安官はありえねぇ。

てめぇは骨格製造専門Rだろうな。

金属パーツオタクなんだろう」



男は缶を握り潰し、力無くフロアに叩きつけ、呆れる。



「保安官勢は何でそうなんだ!?

俺等のRの方がセンスあんじゃねぇかよ絶対」



「俺達は俺達でセンスはある。

てめぇらが追求して手掛けんのは向こう向けの人間だろう。

比較する時点でちげぇ」



「お前なんかが向こう行ったら敵しかできねぇよ…

おちおち目も放せっか」



「言い掛かりはよせ。

相手と場所なら選ぶぜ。なめんじゃねぇ」



こいつが言う相手と場所とは何なのだ。

男は溜め息混じりに首を横に振る。





「混在実験はパスしてる。

犬は怖がって逃げてったが、婆さんには好かれた。

孫に似てるだなんだのと勝手に思い出語ってくれてたが、ああなりゃ誰でも孫に似て見えんのか。

だとすりゃ、偉く妙じゃん。

孫が俺のルックスに似てるってとこだけ取りゃあ、その孫は悪くねぇ。

ああ後ボールが飛んできやがったから、ベンチからバスケットにシュート決めてやった。

まぁまぁの歓声を頂いたぜ。

完璧じゃん」



「何がだ!

ああ、せめてレアールに来てもらいたかったぜ…

モデルの色気は大したもんだ…

少々遊んでみたかった…」



「バグか?

レアール・キャンベルは保安官だ。

遊びのプログラムはされてねぇ。

ガス抜きなら他に女が拠点にわんさかいんだろう。

パーツオタクは鋼鉄に欲情すんのか。

超異常じゃん」



気付けば足を組み、爪先を時折揺らすといった自然行為も見せる。



「てめぇはっ…!ああうるせぇ!

さっさと速度落とせ阿呆!」



「拒否だ。

ウィリアムズ補佐官が喚いてるぜ。

さっさとてめぇを連れて来いってな。

大方、横でトップの血が騒いでるって事じゃん」



男は何も放てないまま、深々と顔を突っ伏した。

ジェレクは足を下ろし、引っ掛けていた右手でシフトレバーを勢い付けて上げ、速度を早めた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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