表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#06. Please wait 決定
56/189

[7]




 すぐ脇の茂みに身を隠し、辺りに目を向ける。




よく見るとそこは、庭の様なスペースになっており、所々植木や花壇が見受けられる。

こんな地で、植物の世話を優雅にしているというのか。




 つい、そんな風景にも目を凝らしてしまう。

ここへ駆けて来る最中でも、点々と花を見かけた。

アマンダが今居るこの家には、他の所よりも花がある。




彼女は駆け出しのフラワーデザイナー。

数種類のものが庭に植えられているのだが、この場に限らず色違いの共通した花がこの敷地には咲いていた。

ここにも僅かに同じものがあり、不意にその名を思い出す。




「………アス……ター……」






 冷たい潮風が、ターシャから放出される熱を拭った。

こんな心境を癒すのに花で間に合うものか。

余計に妙で、頭がおかしくなってしまう。

現実を見ろと、己を何とか奮い立たせようとする。






 塗り重ねる様に、意味不明な説明がループしていた。

まさか、ロボットか。




職場で使用するボディと呼ぶには生々し過ぎる、人体パーツの数々。

それらを組み立て、故人の情報を反映しているというのか。

掃除のおばさんも、先程のおじさんも、今思えば彼女と同じ、目も表情も動いていなかった様に思う。

もしやこの地に居る人は、皆そうなのか。




 だが、追い掛けてきたあの恐ろしい女や男は、人間だと思う。

奴等を研究員と呼び、その奴等がロボットや薬を作っているのか。

いずれにせよ、自分や彼女がこうなるに至るまでの手段が、不明瞭でならない。

そして専門医というワードもまた、謎めいていた。






 必死に思考を巡らせていると、家の中から物音がし始めた。

震える息を手で塞ぎ、身を縮め、聞き耳を立てる。

頭上の窓から、片目だけで覗いた。






 先に見かけたレザー尽くしの女とはまた別の女が居る。

彼女は露出は殆ど無く、似た格好であり、落ち着いた様子。

前下がりのショートヘア。

年齢は、自分の両親くらいだろうか。




 アマンダは何か指示を受けたのか、ベッドに横になり、服を(はだ)け始めるではないか。

怖くて目が潤み、勝手に首が左右に振られる。




 女は黒の平たいショルダーケースを下げ、手にはタンクを持っている。

まるで水圧洗浄機を思わせる銀色のそれは、先端から盛大にミストが放たれ彼女に浴びせた。










Aster(アスター)  エゾギク シオンと呼んだりも

色によって違う花言葉があり

色々な色のものが拠点内に点々と咲いてたようです


花言葉は全体として

「変化」「追憶」「信じる恋」「同感」


英語としては

「多様性・変化」「忠実・貞節」「想っている」





MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 僕の熱が下がった。 [気になる点] でも、やたら眠いんですw [一言] アスター。 闇夜に浮くあの美しい紫。 あの画像、大事に取ってあるよ。 僕ならそうだな…追憶を選ぼうかな。 人間の様…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ