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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#05. Error 誤搬送
39/189

[11]




「何だ?」




エレベーターから下りたばかりの研究員の男女が足を止め、顔を見合わせる。






「誰か居ます!?」






彼等はその声に目を剥いては震わせ、眉間に一気に皺が寄る。

聞いた事の無い、やや疲労混じりの声。




咄嗟に駆けては、すぐ手前の廊下の角を曲がった。






 突如目に飛び込んだその光景に、背筋が凍った。

妙な姿をした人間と目が合うなり、息が止まりかける。



「連絡しろ!」



怒号は震え、鳥肌が立つ。



「だ、誰にどうやってよ!?」



「何でもいい連絡しろ!」



男はターシャに駆け寄る。






 それに彼女はやっと安堵の息を漏らし、縋る様に右手を伸ばした。

だが、それは激しく強引に掴まれた。



「誰だお前!?どっから来た!?」



突如揺さぶられた影響と怒鳴り声に怯み、膝から床にバランスを崩した。

予想外の展開に動揺し、目が恐怖に酷く振動する。



「遺体よ!遺体が生きてる!」



向こうでは、スマートフォンに向かって女が顔を強張らせながら叫んでいる。



「遺体…!?」



不意に聞こえた言葉が処理できず、ターシャの体は竦む。



「何でだ!?」



「痛い放してっ!」



男は冷や汗に満ちた顔で彼女の顎を引っ掴み、左右上下と強引に見渡す。

それを振り解こうと咄嗟に両手で掴みかかるが、力が思う様に入らなかった。



「最終確認は!?こんな事有り得ないだろ!」



「潜入中の奴しくじったのよ!」



その間、隙を見た。



「っ!」



2人が対処に困惑し、引っ切り無しに未曾有の事態に喚く所、ターシャは掴まれていた腕を大きく振り解く。






 ―危ない!―






 大きく全身に響いた彼女の声に、体が反射的に立ち上がった。




ここから、逃げなければならない。




ターシャは一挙に力が漲ると、素早く踵を返し一時躓くも、廊下を一目散に逆走した。



「待て!」



男の怒鳴り声と同時に女研究員が壁の警報ベルを叩いた。

廊下の所々からサイレンが鳴り響き、赤の点滅が生じる。




ターシャは悲鳴を上げ、訳も分からず軽々動く足を信じ、長い廊下を只管駆けた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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