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*完結* MECHANICAL CITY  作者: Terra
#05. Error 誤搬送
35/189

[7]




 1号ボートのエンジンが高鳴る。

排気の臭いは一瞬、その場を舞っては、迫り上がるゲートから忽ち入り込む潮風に拭われた。




「頼んだぜ。

ターシャ・クローディア、無事に連れて来い」




シャルはジェットボートに乗車後、研究員から最終確認として指令を言い渡された後、South Gateから飛ばした。

厚い雲は月を覆い、環境は一層黒で取り巻いていく。

冷える夜風は立つ飛沫と共に、彼女を刺激した。




………


……




……


………




 大好きで最高の友達の声は、何だか忙しない。



刻一刻と迫っては嵩張り、ハウリングする様に闇を響かせる。




―危ないターシャ!―




彼女は何故、そんな事を言うのだろうか。



何処か分からない、足もつかない暗闇で、ただ、必死になる同じ声が波打ち続けた。




………


……




……


………






 その日、院内は厄介だった。

近くで火災があり、緊急搬送で騒ぎ立てている。




お陰で私物のスマートフォンは鳴りやまず、つい出たら応援要請をされる始末。

成り済ましの研究員は今日、不在の設定でシャルと任務を遂行する計画だ。

目立たない黒の服装で、既に院内には居た。

そうしているものの、病室を出てすぐの所で、面倒な電話相手に向かって適当な言い訳を並べ続けていた。




こうなる前に何とか遺体搬送の段取りは完了しており、そのルートも普段通り無人状態。

救急対応はこことは正反対の場所であり、人員がありがたい事にそちらへ偏っている。

いつも通り、通行人との接触は無いだろう。




 シャルは慣れた手付きで指定の部屋にダミーを搬入しては、着々と入れ替え作業に当たっていた。



「寝てたんですって。

やっとタクシー捕まえてこれから行きますから」



患者衣姿だった遺体の着替えはあっという間で、電話を切り終えるとシャルは颯爽と部屋から出て来た。 



「はえぇな…」



つい驚き彼女を追いかける。



「よくこんな事半年近くもやってんな…」



この作業を難なく熟していたレイシャや、これまでの仲間にただただ感服する。






 エレベーターが止まると、非常灯だけが灯る廊下を直進する。

裏口から出た所に停めた黒のワゴン車に、担架は入れられた。

淡々とほぼシャルが対応すると、彼女は運転席に座る。



「なぁシャル、ここの任務が嫌過ぎるって言っといてくれよ」



エンジン音が鳴り響くと、彼女はランプを点けては言った。



「回収。無事に連れて行く」



「は?」



車は突如発進すると、既定よりもやや早い速度で去って行った。



「あいつ返事……」



その違和感に首を傾げた直後、また電話が鳴った。

いい加減現れねばと慌てて、彼はその場で着ていた黒パーカーを脱いでは非常勤医師に切り替わる支度に入った。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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