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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#05. Error 誤搬送
31/189

[3]




「悪いけど立て込んでるの。1体と貴方で対処して」



新型骨格が本格的に仕上がり、部下達は、新規骨格やRの量産、プログラミング作業に掛かり切りになっていた。




新型に噛り付く博士のフォローに沿って、レイシャは収集した最新のAI技術の分析と量産を目指す為の更なる実験、サンプル製作も部下と進めている。

拠点敷地内だけで任務を熟すゼロや、一般人に近付けているRのモニターは、保安官達に任せていた。





 作業の集中力が切れた彼女は、部下の作業現場の巡回にウェストに来ていた。





 ほぼサウスの設備と変わらないそこには、ゼロとRの製造機が研究員用に設置されている。

詰め込まれたコンピューター室では、多くのプログラマーがタイプ音を高速で立てていた。

持ち込んだ遺体データを片手に、性格反映を只管実験し、試行錯誤している。




 電話の相手からの死亡判断の流れに対し、適当な相槌や受け答えをしながら、窓越しで作業に当たる部下達を眺めていた。






 研究員が起動させるRは主に、拠点で衣食住を送る彼等の生活面のサポートをさせていた。

それを通してアクション調整を行い、人間に限り無く近付けようとするが、その力量はまだまだアンバランスだった。




 レイシャが不在時、調理師のRが火加減調整に対してバグを起こし、イーストに設置されているカフェが危うく火災になりかけた。

当時は流石に博士も現れ、寿命が縮まる程全員が怯んだ。

高圧的な存在は、寡黙でも十分注意喚起の効力を発揮する。



「知識は入れ直したけど、これも読んでみて」



起動し、研究員の傍で立ち尽くす調理師の男。

突き出されているのは、厨房業務やそれに纏わるリスク管理が綴じられた1冊だった。



「バーナーが必要だったから、バイオ研究所のガストーチを使ったよ」



「ちょっと何その最悪な判断!」



微生物の実験道具を調理に使うとは、どうやら衛生面もなってない様だ。





 洗濯を頼んでいたRは余分に洗ったりドライヤーを回し、服の収縮が多発した。



「最近見る服のラベルはプログラムされてないわ」



「え、洗濯表示新しくなってる!?

しかも増えてる!?そこ必要!?」



定期的に生活必需品や食料の取り寄せをするのだが、最近購入した服の大半が新しいラベルに変わっていた。

材質が同じ物であれば、習得した通りに洗濯する機能を果たしており、無事に洗濯されたものもある。





 漁師のRは魚の判別が悪く、食せない物まで引き上げて来る。



「食えないもんと、食いたくないもんを入れておけばいい」



中年の彼は偉そうに研究員に指示をする。



「だとしたら、おっさん。俺は魚嫌いだ。

そう言われちゃ、あんたの仕事が無くなるぜ」



魚介アレルギーの彼が言い返しながら、液晶に魚の知識を大量に映し出し、懸命に反映しようとしている。



「ならお前さん、よくこんな海の真ん中で仕事してるな。

嫌な事と向き合うなんて、大したもんだ」



「………おう…」



偉そうではあるが、いいおじさんにも仕上がっている様だ。




 上層部が起動した保安官と違い、研究員が手掛けるRは一般人に近く、必要な内臓設備の数も圧倒的に少ない。





 一方、バイオテクノロジー研究所の任務に付くRは、保安官に並ぶ程良い働きをする様だ。

他所の人間と対面する、敷地内で唯一の重要任務を安定的に熟している。



「元営業マンで、接客が上手い性格の反映が成功してるのよ」



「もう全員そいつで良いんじゃねぇの」



「進化を兼ねた復活ってほざいておいて、蓋を開けたら全員が営業スキルってしょぼいぜ」



そうは言いつつも成果が高い物は基準にすべきだろうと、そのRのデータ分析をする。



「なんだ、やったのあいつか。そりゃ買われるな」







 レイシャは再び、廊下をフラフラ歩き始める。




 そこへ、外回りの任務で使用していた薬品を戻しにシャルが現れた。

黒のレザーパンツにショート丈の革ジャケットが照明を受け、光る。

新しく埋め込まれた目を彼女に向け、立ち止まった。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒエラルキーがあるんですね。面白い。 [気になる点] Rは格上げしたりはしないのかな? 人間で良かった。 [一言] 洗濯表示、応援で変わったって話ししちゃったね。 何か…少しネタに触れてし…
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