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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#13. Data processing 再び
182/189

[2]




※証拠品スペシャル

 約2480字でお送りします。


コンパクトデータコレクターの中身と

ルークの左目からです。







 ターシャが帰還して1か月。




 彼女はまず、遷延性意識障害から奇跡的に覚醒をした事による検査が行われた。

また、事件に巻き込まれた影響で、極度の体調不良及び精神疲労に伴い、2週間の入院生活が続いた。




 意識が回復してからは、刑事や心理カウンセラー、担当医、そして弁護士が傍につきながら、事件の捜査に協力している。




 入院期間中は特に濃い情報が世間でも流れ続け、病院や警察はマスコミに詰め寄られていた。

時間の経過が、とにかく目まぐるしい日々だった。




 ほぼ焼け野原になった拠点の調査は続いている。

当時の消火活動は夕方までかかり、本格的な捜査に入ったのはその夜以降からだった。








 公になったのは、海洋バイオテクノロジー研究所の実態。

通報があった仲介場の島の者達や、実際に現場へ向かった警察、レスキュー隊、機動隊達によるアンドロイドの情報。




 現場は焼けたものの、採取できた証拠品の数々から判明できたものはある。

まずは未承認医薬品の存在。

そこに、機動隊キャプテンがヘンリーから放り投げられた薬品も加わる。




それはかなりの即効性がある強度の眠剤で、実験用マウスは丸2日間も眠り続けた。

覚醒後は暫く呆然としており、意識が不安定である事から、人に使う事で記憶が曖昧になる可能性がある危険物とされた。




 また、遺体の掏り替えに使用していた人形の材料と思われる、見慣れないシリコンやカルシウム剤。

湾曲した鉄格子や寝台は、アンドロイド製造に使用されていたものと判明。








 世に広く流出したのは、事件の全貌に混ざるヘンリーの背景、並びに父親ノーラン・クラッセンの存在だ。




 科学者で知名度が高い彼は、息子2人に関する事や隠蔽事件の事情聴取を避けるべく、会社もそっちのけに全ての連絡手段を絶ち、身を眩ませた。




 注目された当時。

彼は、鋭い発言と共に焦燥する態度を見せた。

出来損ないの息子共とは疾うに絶縁しており、今更話を持ちかけるな、と。






 しかしここで、ルークからの預かり品であるコンパクトデータコレクターにより、多くの情報が明らかになる。






 露わになったのは、開発の原点であるレーザーピストルの製作資料。

また、それを元に改造してできたのが、ルークの左目から取り外されたレーザーの銃口。

それらは、ノーランやシャル、当時関わった警察が隠蔽した情報と、仕組みや形状が一致した。




 加えて、ヘンリーの左腕損傷歴と入院先の詳細。

警察は、当時関わったであろう警察を特定し、遂に彼等は自白した。




 シャルが手にしたレーザーピストルが暴発した事で、ヘンリーの腕が失われたそれは、事件とされる。

証拠品であるピストルそのものは、安全に処分するとノーランに言われたきり、行方が分かっていない。




 本件を、ヘンリーの不注意による事故だと病院に告げ、警察にもそう扱うよう取引された事が明確になった。






 更にクラッセン一族の調査が進む。

搔き出され続ける実態と合わさる様に出始めたのは、ヘンリーの学生時代や家庭環境の情報。

それらは、当時の彼やノーランを知る者達によるものだった。




 虐めが絶えなかった事。

家族は仕事を優先し、殆ど子ども達と接点を持たずにいる生活だったと話されている。




 絶縁している明確な理由は定かではないが、これらの情報から予測として上がったのは、心理的・精神的虐待が起きていた可能性だ。

これに対して湧き出る世論も、継続的に注目されている。








 SERIAL(シリアル) KILLER(キラー)と化したヘンリーが残した記録は、他にもあった。




 元側近のシャルロット・デイヴィス。

事件当時、暴走するヘンリーを抑制した警備員、

ィリア(ビル)ム・エジャートン。

弟のジェレク・クラッセン。

彼等の死亡が、殺害方法と共に明らかになった。

殺害理由については簡素なもので、承認欲求、事件の隠蔽、多大なる妬みと憎しみが実行の引き金であると記されている。






 これより更に記録されていたものがあり、警察は動いている。




 あるウェブページ上のコメント画像が数種類、纏められていた。

そこには、特定の人物を攻撃する文言が多く載せられている。

調べると、それらは過去のものでありながら、未だに削除されずに残されていると分かった。

ここから1つのモデル事務所が特定され、事情聴取が行われている。

その際に突き出されたのは、共に保存されていた、深い傷を負った両手首の画像だった。






 そして、近辺で確認できる複数の会社名や病院名、労働基準監督署。

各々から発覚したのは、不当解雇、労働災害、医療事故、院内トラブルの隠蔽だ。

添えられていた数々の傷の画像は、同じ社員や患者からの暴力により得たものや、義眼の画像。

攻撃を受けた者が抱える身体事情が纏まった記録もあった。




 この流れで、2箇所のとある廃退地区の情報を確認。

そこでは、抗争事件や密売等の複数の犯罪や、医療の不行き届きが多く目立っており、未だ無法地帯だった。




 その他、強姦を受け続けた者に、緊急子宮摘出手術を実地した歴も。




 これらの情報の更なる裏側には、特定できただけの虐待記録があり、中には監禁経験者の記録もあった。






 全てに共通するのは、重なる裏切りや不安により抱くようになった、強い不信感と恐怖。

歪みを生み出す要因となった、組織の1人ひとりに起きた出来事だ。

大方、ハッカーのレナードに指示をして集めたものだろう。






 膨大な記録を見届けた最後に、言葉が残されていた。




“The weapons circulating in the world are

verbal, violence,

as well as obsession and indifference.

Our pursuit, as creatures called humans, is

eternity.

Wherever, however.”



“世に巡る凶器は

言葉 暴力の他

執着と無関心である。

我々の これら 人という生き物の追求は

終わらない。

どこで どうあれだ”






 日時は随分前で、これを晒す事が遥か前から決定されていたと考えられる。

また恐らく、ガソリンを撒いていた点から、自殺も早い段階で企てていただろうと、機動隊キャプテンの話を元に上げられた。




 失踪中のノーランが築き上げてきたものは今、傾れの如く崩れ、汚されている。

同時に、世間からの攻撃も発生していた。

ヘンリーが父に対して抱く憎しみは今、象られているという事なのだろうか。






 この全てを、ターシャは知る由も無かった。

あの男が、その仲間が、大罪を犯した事に変わりは無い。

だがしかし、それでも、それでもだ。

彼女は目を腫らし、声が枯れる程に延々涙を流した。









MECHANICAL CITY


12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。

最終話

キャラクターエンドクレジット

作者後書き


また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。

X/Instagram(@terra_write)

19:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)

19:55~ 次回公開作前書き

20:00~ 次回公開作発表


感謝はお伝えしたい為、お越しください。

次作は、気が向きましたら是非。




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