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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#12. Complete 細胞の記憶
178/189

[20]




※約1900字でお送りします。







 ヘンリーは目を閉じ、振動する瞼の奥で、適当な言葉を組み立てた。

とにかく、僅かであれ混乱を作り、時間を引き延ばそうと息を震わせる。

それは、彼等の判断の為だ。






「聞き分けが無くてなぁ……

全員殺して…変換してやった……

どれも失敗に終わっちまって…使えねぇ………

もう飽きちまってこの通り…敷地ごと燃やしてやった……

最後は俺諸共…全部吹っ飛ばしてやるよ…

元々…片す約束だったからなぁ……」




キャプテンの目はより鋭利になり、彼を睨みつける。

そこへ、ヘンリーがある1瓶を放り投げた。

キャプテンは咄嗟にそれを掴み取る。




「あの餓鬼にはやられた……ああ甘く見てたぜ……

迎えて早々…治験なり変換なり…焼却するなりし…

こちらの役に立ってもらえりゃあよかった………

植物だった割に偉く活きが良過ぎてな……

銃撃も通過…暴力にも抗い…

そいつの投与も躱し………

嘸かし運の良い、生きるに値する人間か……

羨ましい……使えなくて惜しい……

せめてモノにしときゃあ良かったなぁ……

それこそパーツの1個1個を…

愛でてやってもよかったなあ!」




「……貴…様っ!」




ヘンリーは語気を笑いながら強め、一帯を凝視する。

豹変する顔をフラッと傾け、せせら笑うのを静かに抑えていく。




「なぁお宅ら……偉く呑気だが……

ぶち撒かれてるモンが何か分かってねぇなら…

そのゴーグル…高スペックに改新してやるぜ?

1時間も要らねぇ……

俺が…もっと…つえーもんに…してやるよ!」




発言は全て緩やかだが、震えていた。

再び言い終わりに笑みを含む彼。

気付けばこんな口調になっていたのも、人付き合いの恐怖によるものだ。

そんな声などもう、聞きたくない。




「もういい喋るな!後方を向け!お前を連行する!」




しかしヘンリーは、右手の銃をそっと持ち上げるとスライドに噛みつき、ギリギリと引く。

それに部隊は身を引く。

ヘンリーの銃口は、視界の端に転がる密閉されたガソリンタンクに向く。




「いつまで相手を間違えてる……

さっさと退け………死ぬぞ…」






 部隊の後方からは、落ち着いた低い足音がし始める。

最後尾に付く者がその音を振り返ると、ガレージから続く暗い廊下から、ビルが接近してくるのを捉えた。




「所詮は察も人間……

面倒や金を理由に、都合よく隠蔽する……

そんな旧式に…俺は興味ねぇんだよ…」




ノロノロと耳に入り込む発言に、部隊は顰め面を見せる。

一方、外に繋がるガラス扉の向こうにも目を向け、動揺した。

そこではルーク達が、こちらに入る手前で取っ組み合いになっている。




「お宅らを殺す事もまた…造作もねぇ…だが……

もう…結構だ…」




騒めく部隊に、彼は睨みを利かす。






 突如、ビルがすぐ傍の隊員から奥へ引き摺り、ガレージへ引き返し始めた。

一驚を上げるその者を見るなり、仲間の部隊はビルに突進する。

しかし、彼は目に留まる隊員を次々捻り上げ、転倒させていった。

瞬く間に1人、また1人と、手際よく悶えさせる。

横転した部隊達の足を引き摺り、ガレージに伸びる通路へ投げ飛ばし、次々に纏めた。

まるでフロア内を清掃するかの如く、彼等をガレージへ押しやると、ボートに投げ込んでいく。






 「今直ぐアンドロイドを止めろ!クラッセン!」




その場に残ったキャプテンが吠え、引き金に触れる音を立てる。




「トリガーは俺だぜキャップ…

役目取るんじゃねぇ…」




不意にキャプテンは銃を捨て、彼に飛び掛かろうと前傾になった。






 だが、間に合わない。

キャプテンはその場に追い付いたビルに、真横から足蹴を喰らい、転倒。

痛みの声に被さりながら、ビルはそのまま隊員を引き摺り、再び奥のガレージへ連行する。

その行く手を阻むのは、残る2人の隊員。

彼等は再び、ビルに銃口を向ける。




「よせっ!退避だっ!爆発するっ!」




キャプテンは、ビルに引き摺られた影響で口に入ったガソリンを吐き出しながら、部下に放った。




「現状のスタイルが相応しくない事は認めてやる。

だが諦めろ。

お宅らがそんな面向けたくなるのと同様に、ここの代表もお宅らが憎いんでな」




ビルは立ちはだかる薄っぺらい部隊の壁を押し切り、ガレージの扉からキャプテンを投げ飛ばした。






 指令に従い、残る部下達が流れる様にガレージにやって来る。

ボートに投げ飛ばされていた仲間は、慌てて退避体勢に入った。




 それを見たビルは、足元に偶々転がっていた突撃銃を拾い上げ、彼等に向ける。




 機動隊は大層慌てふためきながら、ボートを発進させた。

そののろまな光景を見たビルは、ボートの天辺やゲートの縁に、威嚇射撃を数発放つ。




 部隊は頭を低くさせながら、その場から速度を上げ、脱出していく。

操縦室からは、現場に居合わせる消防隊やレスキュー隊、本部に、間も無く爆発が起こる旨が発報された。









MECHANICAL CITY


12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。

最終話

キャラクターエンドクレジット

作者後書き


また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。

X/Instagram(@terra_write)

19:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)

19:55~ 次回公開作前書き

20:00~ 次回公開作発表


感謝はお伝えしたい為、お越しください。

次作は、気が向きましたら是非。




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