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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#12. Complete 細胞の記憶
171/189

[13]




「ターシャ、行け。

レスキュー隊と機動隊が回って来る」



「来て」




ルークは背後の燃え盛るウェストの麓と連絡橋を見ながら伝えると、アマンダがターシャの手を引いた。

しかしターシャは激しく首を振る。




「待って!中にあいつが居るなら出して!」




だが、ルークは否定した。




「俺の電流で爆発したらマズイ。

それにわざわざ君がそうしなくても、裏から彼等が合流する。

君はここから出るんだ」




ターシャはその発言に不安を覚える。

彼もここに残るという事か。

それはやはり、あの男を守る為なのか。

結局、ここの者に従うアンドロイドなのか。






 一方、部下だけを逃がした事が理解できない。

ターシャはアマンダとルークを押し切り、開かずの扉に拳を叩きつけ、怒鳴った。




「出て来なさいよっ!」




死者を弄んだ、どうしようも無く憎たらしい男。

その彼が今下している選択に、酷く憤りを覚えた矢先



「っ!?」




息を飲む声と共に合わさったのは、ガラス扉を右手で乱暴に叩きつけて現れたヘンリー。

薄暗いそこに佇む姿はまるで、亡霊か。

騒々しいと言わんばかりの顰め面を向けている。

部下に向けていた顔はもう、どこにも無かった。

今は、目前の彼女にうんざりしている。

震えと共に滲み出るのは、殺意か。

睨め上げる目は、またも豹変している。






 その恐ろしく闇に包まれた様な(なり)に、ターシャは声を失う。

今度はあの機械の手も無い。

ルークはガラス扉の上半分を一発殴り、叩き割った。




「トップ、何でだ?

必要無いものは無いって、皆に言ってたろ…?」




ヘンリーは飛散する破片を真に受けても、微動だにしない。

問い質す彼の声は、聞こえていないのか。

眼振を引き起こし、瞳孔が開いた真っ黒に荒んだ目をターシャに向けている。




「おい墓場荒らしが……行かねぇなら……

てめぇも焼いてやるよ……」




小さくせせら笑いながら零れる、地を這う様な声。

まるで何かに憑りつかれており、別人だ。






 ターシャはしかし、目を尖らせヘンリーの胸倉を両手で掴み、大きく引き寄せた。




「「ターシャ!」」




横から2人の声が被さる。

ヘンリーはその衝動で、咄嗟にガラス扉の縁に右手を付き、体を支えた。

しかしもう、体力は然程残っていない。

大半を彼女に持っていかれ、前傾になりバランスを崩した。




 ルークは即、破片の縁から飛び出したヘンリーの身を支えた。

アマンダもまた、ターシャの勢い余る腕を掴んで止める。

しかし彼女は聞かず、引っぱり出した彼に怒鳴った。




「あんたにはまだ、生きてする事がある!

仲間だけ逃がして自分だけそんなっ……

あんまりよ!出て来い!」




「止めろ!差があるのが見えないのか!?放せ!」




ルークの怒鳴り声にターシャの肩が小さく跳ね、ヘンリーを掴んでいた手が緩む。

その両手は震えていた。






 項垂れて顔を見せない目前の男に、ターシャの目は震える。

彼が起動したとは想像し難い、ルーク。

決して許されない行動をとった極悪組織の背景には、何があるのだろうか。









MECHANICAL CITY


12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。

最終話

キャラクターエンドクレジット

作者後書き


また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。

X/Instagram(@terra_write)

20:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)

20:55~ 次回公開作前書き

21:00~ 次回公開作発表


感謝はお伝えしたい為、お越しください。

次作は、気が向きましたら是非。




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