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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#12. Complete 細胞の記憶
169/189

[11]




 拠点を覆う厚い黒煙からは、炎を纏う地や壁面が垣間見える。

要請された消防艇が2隻到着し、倒壊した燃え盛るサウスと、それに合わさり延焼するウェストに向かい、放水が始まった。

火災規模に目を凝らす消防隊員の飛び交うやり取りによれば、消防飛行艇の要請までもがなされている。






 風向きに変化が伴い、広間の方へ火の粉がみるみる舞う。

その間、サウスと共に炎が這うウェストから、軋み音が低く立ち始めた。






 広間の先にある、来客を迎える船着場から状況を確認していたジェレクは、ウェストが倒壊する角度を察知し、その場から移動しようとした。

しかし、遂に沿岸警備隊が彼を目撃し、そこへ船を着ける。




 ジェレクはルークと共にイーストから転落した衝撃で、体から不定期に電流を放っていた。

そんな事はお構い無しに、客人と対面してやる。

警備隊は彼の姿を目にするなり身構え、目だけで観察した。




「ここの警備員か。署まで来てもらう。乗船しろ」




彼等は銃こそ取らないが、今にも手に引っ掛かる体勢でジェレクを睨んでいる。

彼が何者なのか。

そこまでは未だ特定できていない様だ。




 そこへ、更なる軋み音が体を振動させる。

ウェストが炎を上げながら、広間の方へ倒れ始めた。




「あんたら、偉く呑気じゃん」




ジェレクは面倒くさそうに零した途端、目の前の1隻に飛び乗った。






 警官達は騒ぎ立てるが、彼は気にも留めず操縦室のドアを打ち破り、中の操縦士を突き飛ばす。

捕えろと太い声で指示が飛ぶが、ジェレクの力に適う訳もなく、彼に接触しようとする警察は片っ端から押し倒された。




「止めとけぇ。見えねぇのか。感電すんぜ」




言った傍から、細い青白い電流が宙を短く破る様に迸った。

つい手前にまで接近していた警官は、危うくそれに触れかける所で止まり、声を妨げられる。




「ファイヤーボールになりたくなけりゃあ掴まってろ」




勝手知らずの警備隊の船であっても、関係無い。

寸秒の解析で、彼は容易く操縦ができてしまう。




 素早くハンドルを右一杯に切り、レバーを最高速度まで引き上げる。

急旋回する船の揺れに、警官達は体勢を激しく崩した。

異常事態に慌て、身を起こす隙も無い。






 ウェストはやがて広間に倒壊し、その風圧に目も開けられなくなる。

高々飛散する火を纏う瓦礫は、火山活動の落石を思わせる。

それらは忽ち、沿岸警備隊の船やその周辺を襲った。






 船内を陣取ったジェレクは、シフトレバーがそのまま最高速度を保つよう、傍にあった椅子の脚を操縦機器に突き刺して固定。

尋常でないアクションに、居合わせる者達は唖然とする。




 ジェレクはそのまま操縦室の窓ガラスを蹴破ると、颯爽と外に出た。




「待て!行かせないぞ!止まれ!」




警官は目を剥き、寝そべった状態で咄嗟に銃を構えるが、ジェレクはそれに振り返る事無く船縁に乗っかる。




「だっせぇなぁ、諦めろ。殺り合う趣味はねぇ。

出直せ。そう直ぐには消えねぇぜぇ」




言いながらあっさり、海に姿を消した。

警備隊の船は、固定されたギアの影響でみるみる拠点から遠ざかる。

倒れた警官達が慌てて起き上がり、現場を振り返った。

途端、倒壊したウェストから、単発的な爆発が小さく2度起きた。









MECHANICAL CITY


12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。

最終話

キャラクターエンドクレジット

作者後書き


また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。

X/Instagram(@terra_write)

20:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)

20:55~ 次回公開作前書き

21:00~ 次回公開作発表


感謝はお伝えしたい為、お越しください。

次作は、気が向きましたら是非。




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