表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#12. Complete 細胞の記憶
165/189

[7]




※約1540字でお送りします。







 レイシャはイーストを飛び出し、ノースに向かおうとしたが、その肩をヘンリーが透かさず左手で掴む。

彼女は後方へフラつくと足を止め、彼を睨んだ。




「放して!こんなめちゃくちゃにして!

皆の居場所だったのに!」




涙ぐみながら、その腕を剥ぎ取ろうとする。

しかし、そんな事で振り解けるものではない。

彼は何も言わず、そのまま彼女を来た道に引き摺り戻す。




「行かせてよ!こんな焼け野原にして!

あんな餓鬼、許さない!」




怒りに我を見失う彼女は、扱いも知らないピストルのスライドを雑に引いた。




「レイシャ!」




ヘンリーの怒鳴り声は暴発と重なり、彼女は目前の状況に萎縮し、震え上がった。






 状況を聞きつけ、ノースの玄関を僅かに開けたルークとヘンリーの目が合う。

出てこなくていい。

そう込めて首を振って見せると、躊躇いを見せながらもルークは身を引いた。






 銃口は彼の左手で塞がれており、あっさり回収される。

仕舞う前にその手を一振りすれば、弾が地面に石の如く転げ落ちた。

レイシャは堪らず、小さく後退る。

今度は自分が、彼を撃ってしまった。

混乱し、立ち竦む。

囁く様な謝罪が、涙と共に勝手に零れた。






 彼女の腕を引いても、微動だにしない。

ヘンリーは細々息を吐くと銃を仕舞い、無理矢理左腕でレイシャを引き込むと、肩に担いでやる。

彼女は驚く間も無く、ガレージへ連行された。

唐突な事に慌て、その背中を必死に殴り、抵抗し続けた。




「下ろしてヘンリー!」



「もう下がってろ…殺しは俺がする…」




肩に機械の手で固定されたまま、彼女は目を覆い、静かに涙を呑む。








 ガレージの扉を開けると、そこは残り1隻になっていた。

作業チームの監督数名とイーサン、レアールが居合わせており、突如現れた2人の光景に驚く。




 ヘンリーがレイシャを肩から下ろすと、ボートの傍に居たイーサンの方へ押しやる。

その行動は乱暴で、イーサンは腕に急に飛び込んで来た彼女とヘンリーに、目を往復させた。




「早く乗れ!」




監督達がボートから忙しなく吠える中、レイシャは彼等に慌ただしく引き渡される。

その間ヘンリーは、スマートフォンを操作していた。

それにイーサンは苛立ち、咄嗟に彼の左肩を掴んだ。




「急げ!」




しかし、その手はあっさり引き剥がされてしまう。

その力に痛みの声を漏らす中、そのままボートの方へ押しやられた。




「乗っとけ……」




視線は終始、液晶に落ちたまま。

その態度にレイシャは苛立ち、部下達を押し退け、下船した。

すぐ先に立つイーサンを追い越し、顔を上げないヘンリーの袖を引っ張る。




「何で今なのよ!

モニターなんかさせて!

皆ここへ呼んでおけばよかったじゃない!」




それでも彼は、怒鳴る彼女の手も払い退け、無言を貫き続ける。

それにむしゃくしゃしてならない。




「何とか言いなさ




ヘンリーの肩に掴みかかるのと同時に、声が止まる。

レアールが、そっと肩に触れてきた。

レイシャは振り返るなり、レアールに船内へ引き込まれる。

流れでヘンリーは、未だボートに乗らずに端に立つイーサンを左手で掴み、無理矢理共にプラットフォームへ着いた。




 刹那、細かな横揺れが起き始め、ガレージの扉を振り向く。

サウスが凭れかかったウェストから破壊音がし始めた。

この場も直に影響が出始めるだろう。




 ヘンリーは再びスマートフォンを見る。

そこに出た表示を確認するなり、イーサンに画面を向けて渡した。

ただでさえ落ち着かない状況の中、何事か。




イーサンはそれを手に取ると、そこにはルークとアマンダの決断が届いていた。

言葉も無い。

目は揺れ、視線はどこかへ自然と逸れていく。

気持ちのやり場が分からないまま、瞼は震えながら閉じ、静かに息を吐いた。




何事かとレイシャが透かさずレアールを振り解き、その場へ飛びつく。

だが、画面はバッテリー切れでシャットダウンすると、力無く船内の床に転げ落ちた。









MECHANICAL CITY


12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。

最終話

キャラクターエンドクレジット

作者後書き


また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。

X/Instagram(@terra_write)

20:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)

20:55~ 次回公開作前書き

21:00~ 次回公開作発表


感謝はお伝えしたい為、お越しください。

次作は、気が向きましたら是非。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ