[4]
※約1500字でお送りします。
#11. Almost done [4]
アマンダの声。
だが、そこには全く聞いた事の無い、
別の声も合わさった。
低いのだが、凛として通りが良い、男性の声だった。
#12. Complete 細胞の記憶 [1][2]
発生し続けている通信妨害。
拠点から何かを放たれていると見た機長は距離を取るべく、現場から遠ざかる判断をする。
もたもたしている間に、ヘリの位置が若干低下していた。
フラつく操縦に、敷地内に居た保安官達はポカンとした様子。
※イーサンがレイシャと階段を駆け下りながら、ヘンリーとの通話を思い出し終え、ハッカーの現場に移ります。
…
……
………
飛行し続けるドローンは、ヘリの動きを読み取り、追跡もしてみせた。
微々たる障害は未だ継続的に与えられているが、限界に近い。
ヘリは立ち込める煙に、視界を只管遮られている。
サウスは間も無くウェストの方に傾き、崩れかかろうとしていた。
後からハッカーのレナードに合流した監督のスマートフォンが、数回通知音を上げる。
1隻目が出て、間も無く2隻目が出るとレアールから入った。
切り上げて下りて来いとの指示だった。
それを聞き、レナードは短く息を吐くと、操縦士達のスマートフォンを容易く弄り倒す。
機内は無線がほぼ切れた状態になっており、拠点の状況は肉眼で捉えるしかない状態になっていた。
そこへ、適当な音が大きく鳴り響く。
やむを得ず電源を入れた機長のものからだった。
彼は舌打ちし、音を止めようとするが、止まらない。
掴み取り、画面をタップしても、一切反応を示さなかった。
叩きつけても埒が明かず、仕事にならない。
機長は焦燥の一声を放つと、それを窓から放り投げた。
副操縦士のスマートフォンもまた、使い物にならなかった。
電源を再び入れようものなら、妻による着信やメッセージの通知に妨害される。
現場から少し距離を取った影響か、パイロットのヘッドセットにやっと雑音が入る。
だが、指示は相変わらず聞き取れない。
2人が耳を攲てた時、爆音が突如耳を劈く。
管制からの音声だが、音量に狂いが生じた。
操縦士達は声を上げ、つい激しくそれを取っ払うと耳を抑えた。
屋上にいた部下2人は切り上げる。
飛行するドローンは引き続き尾行させているが、既定の時間が経過したら手元に戻るように仕込んでいる。
ボートが出る頃には引き返してくる予定だ。
彼等は足早に、ガレージまで駆け下りた。
ターシャもまた、不安定ないヘリに顔を強張らせていた。
その傍ら、サウスの連絡橋の継ぎ目から軋み音を聞きつける。
いよいよ立っていられなくなったサウスが、ウェストに傾き始めた。
最上階の連絡橋が、完全にサウスから断たれる。
その振動は地響きを起こし、反動で中央の連絡橋の継ぎ目も外れた。
燃え移る火を靡かせながら、みるみるそれらは低い音を立て、重なって落下していく。
ジェレクがその状況を目にする横で、転倒させられていたルークも立ち上がる。
2体は次の動きを判断し、体から電流音を立てながら行動に移った。
ジェレクはビルと同様、広間の方へ走り、ルークはターシャとアマンダに駆け寄った。
外れた2本の連絡橋は完全に着地し、地面から縦揺れを起こす。
その間、ターシャを引いたアマンダが、ルークと共に叫んだ。
「―走って!―」
「―走れ!―」
「!?」
その場から放たれる2人の強い声が重なる。
それは、闇を擦り抜けて聞こえていたアマンダの声にも重なった。
しかし、ターシャはふと宙に目を泳がせる。
そこには再び、判別がつかない別の低い声が混ざって聞こえた。
ターシャがアマンダに引かれ、ルークがその背後を取り、石畳の道を疾走する。
彼等が移動した直後、先程まで立っていた場所に瓦礫が乱雑に降下した。
ノースに先に彼女達が駆け込むと、ルークは広間へ再び目を向ける。
警察の更なる接近を感知し、ジェレクがビルと合流した所を確認。
ビルの解析が不十分だったが、追っている場合ではない。
解析は中断し、背後で燃え盛るサウスを向く。
それがウェストに傾いた事で、反対側に伸びる最上階のイーストへの連絡橋が片側だけ断たれていた。
断たれた側が真下に伸びる中央の連絡橋に落下し、辛うじて支えられている。
サウスが倒れかかるウェストも直に倒壊するだろうが、その向きの判別がまだ付かない。
ルークはこれらの状況全てに目を走らせた後、ノースに消えた。
MECHANICAL CITY
12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。
最終話
キャラクターエンドクレジット
作者後書き
また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。
X/Instagram(@terra_write)
20:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)
20:55~ 次回公開作前書き
21:00~ 次回公開作発表
感謝はお伝えしたい為、お越しください。
次作は、気が向きましたら是非。