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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#12. Complete 細胞の記憶
159/189

[1]




※約1800字でお送りします。


#11. Almost done 実行 [15]

「トップ!この煙のせいで、厄介なのが来る!

俺が時間稼ぎするから、早くガレージ行きな」







 保安官達の視線は上空を向いている。

赤い沿岸警備隊のヘリが敷地内を確認すべく、近い距離を緩やかに旋回した。

夢だろうかと、ターシャは目を疑う。






 機内は無線の雑音とエンジン音で犇めき合う。

外の異常な光景にパイロット2人は目を剥き、顔を顰める。

ヘッドセットを通して、本部とのやり取りが飛び交った。




「目的地上空。火災確認。中は




声が途切れる。

爆発は再び、サウス半ばから音を轟かせた。

連絡橋が揺れ、その1基の崩壊が過る。

更に吹き上げた黒煙にヘリの視界が塞がれた。

ヘリはまるで、それに押される様に距離を取る。




「爆発だ!

……妙な臭いがするっ…

発火原因は薬品か!?

この規模だと被害が更に拡大する!」




副操縦士は一時、激しい咳き込みに発報を遮られた。




「水上消防、レスキュー、消防艇を追加要請するっ」




僅かに入り込む煙が喉を突き、進行を妨害する。

そんな中、機長は捉えた。




「敷地内現在5名確認」




“消防及び機動隊到着まで約10分。

被害女性並びに容疑者は見えるか”




「黒服の男3名。それ以外に女性2名。

容疑者は分か




低い音が2度。

火花は激しく散り、厚い黒煙と共に爆風はヘリを揺らす。

状況確認は更に難航した。




「飛び火も多く延焼が早い!

突撃リスクが高まってる。進路を裏



 刹那、妙な激しい異音や雑音で機内が犇めく。

滑らかだった受信が不安定になり、直、やり取りはほぼ遮断された。

パイロット2人は目を見合わせ、煩わしさを滲ませる。








 ヘリの真下付近には、自動飛行機能を搭載した小型の黒いドローンが浮遊していた。

どうやらそこからの電波を受け、イースト屋上で腰を据えるハッカーに情報提供しているのか。






 彼はヘッドセットを通じ、交信を全て聞き取っていた。

音声連絡波の傍受は成功。

その後、電波障害を与え、僅かながらに通信妨害を発生させた。

スマートフォンで拠点の全員に、聞き取った内容を一斉送信する。




「警察さんだと余計にガード固いよねぇ」




とは言いつつも、してやれる事はある模様。

飛行するドローンは、彼が拠点に来る前に所属していたハッカー集団から、こっそり奪った物。

それをこの拠点でできた新たな仲間、ターシャの誤搬送を齎したパーツオタクに改造してもらった優れものだ。




「嘘だろ!?」




液晶に表示された情報と信号に目を剥く。




「えらく無謀だなこいつ。絶対怒られるな」




ならばとニヤけるハッカーのタイピング速度は、即座に上がる。




「あー皆さん。

乗っ取りが不安なら、バッテリーを抜いて冷蔵庫にでも入れておく事をお勧めするよ」




手にしていた好物のチョコレートバーでカロリー摂取し、楽し気にキーボードを叩き続ける。




「分かるよー、お互い、見られたくないもんあるよなー」




特定したのはなんと、副操縦士のスマートフォンの電波。

彼はその中身の侵入に成功し、次々とデータを漁り始めた。

向けられる鋭い目の先には、フラフラと黒煙に邪魔されるヘリ。

そのもっと奥に過ったのは、トップの顔だった。








 “あんた、人殺した事あるだろう” 




殺し屋を思わせる何かを滾らせていたヘンリーとの出会い。

ふと出た第一声に対する返答は無かったが、その背中からはもっと別の何かを漂わせる。

それは、明らかに寂寥だった。

分かりやすいそれの中身は、時間を共にする上で見えてきた。



本当はもっと生きたい、だろう。



周囲で人が死ぬ様な犯罪が当然の様に転がる街で生きてきた中、その様な人間を見るのは初めてだった。

誰よりも最初に力を買い、能力を伸ばす環境をくれたのが殺人鬼であるのもまた、皮肉な話だろう。

だが








「……俺は、あんたが好きだよ。

さっさと終わらせて、いい加減飲もうぜ」






 ヘリの音に、悔いの声は掻き消される。

相手は敷地内の確認が上手くできていない。

そこで更に手掛けたのは、あるデータの拡散だ。






 そこへ、後方の階段扉が激しく開く。




「レナードもう出るぞ!

いつまでも相手にできっか!」




真下のガレージを仕切っていたエンバーマーの監督だ。

彼が駆け寄ったと同時に、液晶に大量に表示されたのは画像。

恐らく副操縦士と思われる男が映っている。

それらは数々の違う女性と本人が写っており、大半が目を覆いたく淫らなものばかりだ。




「「Wow(わーーお)……」」




互いに声を揃え、顔を引き攣らせる。

それらの中には、唯一家族写真と思われる1枚が含まれていた。

間違えてこのフォルダ内に移したのか。

ハッカーはそれだけを普段使いのフォルダに戻しておいてやり、悪戯に笑みを浮かべ、大きく菓子を一齧りしてエンターキーを押した。









MECHANICAL CITY


12月5日 完結。18時に以下の3投稿を致します。

最終話

キャラクターエンドクレジット

作者後書き


また、SNSにて次回公開作品の発表を致します。

X/Instagram(@terra_write)

20:50~ 完結後 作者感謝メッセージ(必読)

20:55~ 次回公開作前書き

21:00~ 次回公開作発表


感謝はお伝えしたい為、お越しください。

次作は、気が向きましたら是非。




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