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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#11. Almost done 実行
148/189

[9]




 数秒経過した後、ルークはヘンリーに向き直る。




「アンドロイドに関しては、プロファイルと生前のデータ。

部下達に関しては名前、特性、それとの向き合い方。

傷がある人はその箇所と、治療歴。

1人1人のデータが存在し、内容は実際、体を見ても本人達と一致する。

よって、嘘ではない。



ただ1つ妙だ。

一部保安官のデータは半端だ。

そして、何でだ?

トップのデータはどこにも無い。

モニターしておいた方がいい事だけだが、それは拠点内全員に言える筈」






ヘンリーは表情1つ変えず、彼に頷くだけだった。

様子からして、続けるよう捉えた彼は、更に考えを口にし始める。






「俺達がする任務は現時点では外部では受け入れられず、長くは保たない。



 ターシャが向こうでした発言から何が起こり得るか、その様子からしてトップは早々に分かってるな。



 現段階で解析できないのは、皆がこの生き方を選択した理由と、しあわせと、たのしくてってのと、家族。

判断するには情報不十分だが、予測するなら……



 ここでも痛みは結局あるにせよ、組織にとっては、あっちに居た頃に受けたモノとは比較にならない、か。

ターシャが言う、愛するってやつがこの拠点で成立したから、痛くても平気になれるのか。



 しあわせも多分、愛するって事と同じかもしれない。

たのしくてってのと含めて、恐らく笑顔とリンクする可能性がある。

島のオーナーがしていた顔や話し方が例だろうな。

俺も実際、その顔を覚えた。



 家族に関しては彼女から聞きはしたけど、俺の意味する物とは違ってるって事が、彼女の顔と温度から判断できた。



 どれも正確ではないこれらを、よくある言葉で例えるならば、曖昧、或いは、こういう事にしておこう、ってやつだろう」






実に流暢で違和感が無い様子に、部下達は圧倒される。

ヘンリーはルークから目を逸らし、黙りを貫いていた。






 試験起動中の彼。

だがそもそも、偏り、抜け落ちている。

彼はそれを埋めるべく脱走し、情報収集を優先した。

また、それをヘンリーに報告する為、仲間の保安官に反発し続けた。

そして、組織のシステムの改善を提案した。




ヘンリーはやっと鼻で笑い、視線を床に落とす。








 途端、サイレンが鳴り響く。

皆は動きを止め、天井から部屋一帯に目を走らせた。

イーサンのスマートフォンが鳴り響く中、レイシャが慌てて廊下に飛び出す。




警報音は轟き、火災ランプが煌々と照らしていた。

フロアの窓に激しく張り付くと、目に飛び込んだのは、真下から轟々と上がる黒煙。




「はっ!?何でよ!?」




声を上げ、その窓を僅かに開ける。

臭いで直ぐに分かった。

薬品に引火している。

口で鼻と口を覆い、真下を大きく見下ろした。

この塔の半ばからだ。




「あの餓鬼が放火した!

連れてた2人が負傷して、まだそこにいる!」




連絡を受けたイーサンがレイシャに放つと、階段扉に慌てて姿を消す。

それに他の部下達も続き、救助と消火に向かうと言って去った。






 レイシャがヘンリーの元に戻ると、彼は予想外の事態に目を見開き、立ち尽くしていた。

それでも、それ以上の動揺は見せない。

じっと静かに、策を編み始めた。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(12/5完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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