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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#11. Almost done 実行
147/189

[8]




点検を終え、コンピューター室にジェレクと戻った部下が、上層部の凍てついた表情に顔を強張らせる。






 「へぇ、本当だ。

2秒なんてもんじゃないな。

随分経つのにまだ続いてる」




背後から、レザーで締めた保安官の服に着替えたルークが言った。

濡れた体を拭いていたバスタオルを頭に被ったまま、両手をポケットに入れて立っていた。

無垢な表情に合わさる清涼感ある声に、ヘンリー以外が視線を向ける。

横ではビルが、ソケットを皮膚で覆い、仕舞った。






「俺も痛みで止められる事を経験したけど、それ以上だな。

確かに効率が悪い。

これが続くと目的達成に進まないから、誰の為にもならない、か。

それが何れ、涙が止まらなくなって、笑えなくなる、か」




ルークは、レイシャの僅かに濡れた顔を見ながら締める。

部下達が彼を穴が開くほど見ていると、ヘンリーがやっと椅子ごと振り返った。






 数秒互いに見つめ合うと立ち上がり、数歩、ルークに歩み寄る。






 体温の上昇と僅かな震え。

滲み出る汗に、心拍数。

表情は変わらないが、筋肉は緊張している。




ルークは彼を分析していた。

今、独りで何かを隠している、と。






「………どうだった…」




その声もまた、怒りと焦燥、痛みに震えている。

しかし、他の者には感じ取れない程度の振動だ。

それを表に出さず封じている彼を、ルークはまじまじと観察しながら、言う。




「複雑だったよ。

人間が都合のいいものだっていうのはその通りだな。

そんなものばかりじゃないのもまた、分かるけど。



 あっちに着くまでに聞いたのは、任務は誰もを傷つけ、痛みが長く続き、誰の為にもならない事。

やはり一部否定だな。

ここには成果も存在しているから、誰の為にもならない事はないだろう。

だけど、任務自体には改新の余地有りと言える。

現状、皆、手が止まってる。

それが痛みによるものならば、無くした方がいいだろう」






間を置いて、頭のバスタオルを取っ払い、肩に掛ける。






「そして、映像にあったけど、ここの皆のデータを否定された。

実際どうなんだ?

俺を操作する為のもの…なのか?」




どこか不安な表情で問う。

部下達は彼の様子に驚く反面、発言に顔を顰めている。






「…………その目に映るのが…事実だ…」




ルークは円らな瞳で瞬きし、首を傾げる。

そして




「ははっ!そうきたか。

いいよ。ちょっと待って」




微かに、レイシャの息が零れた。






 ルークは一時黙り、ヘンリーから後方の部下へ目を走らせる。

その後ふと、奥の青白い部屋に重い瞼をして視線を向けた。

その先に立っていたレイシャは、更に息を震わせる。




彼の表情は、先々を見据え、真剣に考えている時に浮かべるものだと知っていた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(12/5完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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