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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#11. Almost done 実行
142/189

[3]




【Warning】

10/20~10/22 人 対 人の戦いが行われます。

刃物、シリンジ、暴力、流血、人体パーツ描写が発生します。







 行き着いた隣室もまた、最悪だった。

同じ様な薬品や医療器具類がステンレス棚に連なり、保管されている。

学生時代に見た事がある、科学室に思えた。






 そこには人体に関する書物や、複数並ぶ綴じられたファイルが棚に並んでいる。

その背表紙の文字からして、何かの論文か資料か。






 不気味な空間を進みながら、目に留まった薬品に触れては叩き割る。

奥へ突き進み、目を這わせている内につい叫声を上げてしまった。






 そこに佇むのは、生々しい直立型の全身骨格模型、全身筋肉模型、男女別の人体解剖模型。

衝撃的な画に背後の棚に背をぶつけ、目を逸らす。

固唾を呑み、薄目を開けて環境に慣れようと、模型の奥に恐る恐る顔を向けた。




 未だ何か並んでいる。

脳が勝手に特定していき、虫唾が走った。




ガラス戸の棚に並ぶのは、人体パーツモデルだ。

大きさが違う複数の皮膚構造模型は、恐らく倍率の違い。

歯や顎の模型、数種類並ぶ眼球模型に耳鼻模型。

どれも生々しく、青褪める。

人型の模型は、トルソーまでが限界のターシャ。

鳥肌は治まらない。






 目を覆い、大きく呼吸を繰り返す。

だがその呼吸も異臭で辛い。

空咳に、ジワジワ襲い始める気分不良。

グズグズするなと身を翻し、模型コーナーはそのままに、反対側の薬品を次々激しく床にバラ撒く。

その手先から腕にかけて、先程まで無かった微かな痒みが、皮膚や目に発生する。






 薬棚を後に、その部屋から出ようと向きを変えた時。




 目に留まったのはアルコール消毒液の数々。

見た事が無いパッケージには様々な度数が記載されており、どれもリスク表示として炎にスラッシュが入っている。

それに飛びつくと、脇に複数抱えて廊下に出た。






 液体を混合させながら、フロアを見る見る荒らし続けていく。

その最中、給湯室に辿り着いた。




 入室すると、そこにあるのはガスコンロ。

辺りを見渡せば、飲食物にマグカップ、スプーン等も棚に並んでいる。

そして、大量の木製のマドラーを見つけた。








 ターシャはボートでの移動中、焼却現場での事を思い出していた。

シャルが入れられる前後で、焼却炉の中で音の変化があった事。

あの現場に居た周囲の格好や、上層部の者からの注意喚起。

そして、妙な気分不良を発症した事。








 見つけたマドラーを全て手にし、コンロを点火する。




 息を切らせ、手を震わせる中、ここで目にしたあらゆる恐怖が次々浮かび上がった。

それはやがて、(あか)く揺らめく炎と化す。

それを両手で握り締めると、来た道を足早に引き返した。








 部屋だけでなく、フロア一帯が異臭に包まれている。

鼻を突き、喉を素早く通過すると即、胃に到達する。




生唾を飲みながら、薬品に塗れた1室の入り口まで辿り着いた。




そこで視界に飛び込んだのは、手を負傷した男。

片手にはしつこく、眠剤を充填したシリンジを握っていた。

だが、対面したターシャを見て絶句し、その手が震え始める。




「お前…馬鹿!今すぐ消せ!」




「近寄らないで!」




ターシャは脅す様に、男や隣の部屋に火を向け、怒鳴った。




 マドラーの先端に灯る火は、ジリジリとターシャの手元に向かっていく。

彼女は今、迫り来る熱さも気にせず相手に怒りを滾らせていた。




「どっちが馬鹿よ!

全部あんた達がしてきた事じゃない!

人を強引に扱い、暴力を振るった!

同じ目に遭わないと分からないなら、そうしてやるわ!」




「分かった!だからさっさと下げろ!」




 そこへ、ターシャに向かって薬品のペットボトル容器が投げつけられ、床に乾いた音を立てながら転がった。

2人が振り向くと、負傷した女が廊下を這って、痛みに息切れしながら血相を変え、睨みつけていた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(12/5完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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