表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#10. Tracking 再回収
136/189

[18]




 「レスポンスしろ、ルーク・ルブラン」




ビルは音声指令に切り替えた。

通信をこれまでずっと無視され続けている。

表情は無く、また、声自体は真っ直ぐだが、言葉からして苛立っているのか。




しかしルークは、首を小さく横に振る。




「声に出せよ。

これまで俺達をずっと見ている皆は人間だ。

だろ?」




彼は振り向き、愛想よく笑いながら手先だけを振って見せた。




その後、接近するビルを振り返る。






「それを挿したら、情報収集した意味が無くなる。

トップに報告してから、直接メンテを受ける。

そもそも、俺を破壊する指示は出てないだろ?」




ルークは状況に不釣り合いな清々しい声で、爽やかに話している。

これまで酷い取っ組み合いをしていながら、負傷箇所は無い。




「目的は破壊ではなく、お前の一時的な変換。

その達成の為ならば融通を利かせる。

また、メンテ時間確保は大方、不可能」




「へぇ。

でも、俺が持ってるものは少々厄介だから、手古摺ってるな」




悪戯っぽく、面白がる様に右口角を僅かに釣り上げ、2秒笑って見せた。








 ビルが攻め寄った時、ボートは左に大きくカーブする。

その流れで並走していたボートが後方に着いた。








 プラットフォームで立位を保つルークは、真横に掛かる係留ロープを掴み取り、ビルの首に投げて回すと、手前に引く。

大きく首から体を寄せられたビルだが、そのまま前に伸びる2本を掴むと、転倒寸前でバランスを確保する。

しかしルークの膝が顔面に飛び、俯せに転倒した。





 ルークはそのまま彼の首にロープを巻き付け、首後ろを踏みつけては一気に締め上げる。

ミシミシと皮膚に喰い込み、骨格が軋んだ。

みるみる締め上げ、ロープにテンションが掛かる。




ビルはロープを握り、そのままルークごと手前に引き寄せ、転倒させた。






 互いに身を起こすと、しゃがむ体勢を取る。

ビルはルークの頭部を掴み、立ち上がった。

そのまま顔面を掴むと、後方のボートに向かって頭から激しく投げ飛ばす。








 前方から飛び込んできたルークを、レアールは横目で見た。




「どこまで抜け出そうとしてるのかしら、坊や。

液晶を飛び出した先でお友達ができたなら、未来も悪くないわねぇ」




ルークは船内に激しく投げ込まれた流れで後転し、床であぐらをかく姿勢になっていた。




「そう?そう…思うかい?」




平然とした顔で首を傾げていた所、再び振り向き、にっこり微笑みかけた。








 彼を突き飛ばしたビルは踵を返した。

それと入れ替わる様にジェレクが、軽々と後方のボートの先端に飛び乗る。

ルークはそれに目を鋭くさせ、姿勢を変えて身構えた。






 ビルは、導線を塞いでいたテーブルやシートの残骸を蹴飛ばし、変換機器を拾う。






 ボートが減速し、陽光は遮られた。

その場にサウスが重々しく聳え立ち、巨大な影はボートを覆い始める。

こちらを見据える容姿は、朝でありながら、冷たく、深い漆黒を纏っていた。








 ジェレクは颯爽と後方のボート内へ飛び込み、フロントを擦り抜ける。

彼は、立ち上がったばかりのルークの胸部を右から回し蹴りし、そのまま足を切り替え顔面を真上に蹴り上げようとする。




しかしルークはそれを受け止め、そのまま彼を後方へ押し返し、倒そうとした。

流れでジェレクは、足を掴んだままの彼ごと手前に引き、反動をつけて後方へ吹っ飛ばす。




そこへボートは停止し、ブザー音が鳴り響いた。

South Gateは金属の摩擦音を微かに立てながら、彼等を導いていく。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ