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ルークとビルは見合う体勢になると、ビルが間髪入れず彼のフードを取り、顎下まで引っ張り顔面を覆った。
その動作に合わせ、彼の首が大きく前に下がった時、背後のジェレクが彼の右腕を取る。
ビルはプラグを突き立てた。
だが咄嗟に、ビルはインサートを止めて床を蹴り、後方へ逃げる。
入れ替わる様に、白光が鋭く、瞬く間に床に放たれた。
ビルの足先に触れる手前か。
床から上がる硝煙は、瞬時に激しい潮風に拭われていく。
ルークのフードの生地越しに、レーザーが貫通していた。
ルークは緩まったフードから左目を覗かせ、ビルを捉える。
その目は黒い立方体器具に切り替わっており、穴は銃口と類似していた。
ビルは解析の為、静止する。
だが、ジェレクがルークの後頭部を掴み、大きく仰け反らせ、床に叩きつけた。
ビルがそのまま彼に跨ると、右腕を掴み、肘に触れる。
そこへ、ルークの解放されていた左手が拳に変わると、跨るビルの右頬に命中。
彼は左に体勢が崩れていく。
しかし、その手元はブレる事なく、遂にインサートされた。
ルークは突如、体をバウンドさせる。
瞬間的なそれは、足先から頂点まで、まるで電流でも走ったかの様だ。
その動きに、ビルが距離を取る。
「ルーク!?」
ターシャが叫び声を上げ、つい前のめりになる。
それをアマンダが再び止め、彼女の手を取り、助手席付近まで引き寄せた。
ルークの右肘からは、青白い電流が僅かに走る。
変換機器の先端は、赤で高速に点滅していた。
ビルとジェレクは、その光景をじっと見下ろしている。
「ルーク起きて!ねぇ、どうなるの!?」
「彼は抜け出してしまう程の行動力だから、それを一時的に抑えようとしてるみたい…」
しかし機器が点滅する最中、ターシャの声を聞きつけた彼は、それが挿さる右腕を床に1発叩きつけた。
反動で、それはあっさり弾け飛ぶ。
軽々身を起こしたルーク。
ジェレクとビルは、再び彼に身構えた。
ビルは自分の機械針を抜く。
それから放たれた一瞬の光にルークは目を尖らせ、顰め面を露わにする。
2体は出方を待っていた。
ルークはレーザー機器が剥き出たままの左目を復旧すると、瞬時、右手でジェレクの下顎を打撃。
胸倉を掴み、手前に引くと、左拳で腹を殴打。
ビルはその素早い動作を止めるべく、彼の両肩に掴みかかる。
あっさりルークをジェレクから引き剥がすと、彼の胸倉、腹側のベルトを掴んだ。
そのままビルは、彼を高々と持ち上げボートの屋根を破壊しながら、後方のプラットフォームへ投げ飛ばす。
陽光が射すそこは、激しく立つ飛沫で光っていた。
それらは、彼の靡く金髪に触れる。
隙間から覗くスカイブルーの目は、真っ直ぐ2体を捉え、平然と瞬いている。
彼が立つそこは、後方へ数歩下がれば、海に消える手前だった。
MECHANICAL CITY
本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。
また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。