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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#10. Tracking 再回収
125/189

[7]




その光景を桟橋の元から見ていたロンが、慌てて駆け寄り、心配してターシャの肩に触れる。




「ターシャ、さっきの言い方は本当に良かったのか?

友達にしては、随分と言葉が鋭かったが?」




ルークはロンが話す最中、僅かに肩越しに振り返り、2人を見る。




「触るなと言われて傷付かない人はいない。

彼女は今ショックだろう。

1人1人、繋がりがある。

彼女のご両親も、きっと娘がそんな風に言われれば辛いんじゃないか。

俺はこの僅かな時間に出会って、背景も何も全く知らないが、それでも今のは、例えどんな事情があろうとも見ていて気の毒だ」




「いいわよおじさん…

向こうには話しておくわ……それでいいでしょ」




アマンダは顔を背けたまま、船縁に顎肘を付いて重く呟く。

言い終わりには、付いていた手で船縁に力無く音を立てた。






 端のビルが背を向けかけ、乗船しようと足を掛ける。

それにロンが驚き、待てと咄嗟に放った時だった。




ボートと2人の間を、瞬時に風が切る。

ボートは大きく揺れ、中で騒音が響いた。






 どういう訳か、ターシャの体は勝手にアマンダに飛び付き、震えている。

心境が整わないまま、目を左右させ、戸惑った。






急に背を向けられた事や、2人が怒っているという事が、怖くなってしまった。

言わされている。

そうだとしても、どうなのか。




彼女は本当に優しく、人を想う性格だった。

親友である自分を、大切にしてくれた。




散々、彼女ではないと言い聞かせた筈だというのに。




目の前に座り、寂しげな様子を出す彼女が、いつか何かで傷付いた時の本人に見えてならなかった。




 本当はもっと一緒に居られた筈。

それが胸に刺さっている。

自分の不注意で失った親友。

酷い別れ方にショックが大きく、葬儀にも出ていない。

最後に見た顔は、大怪我をして動けなくなった、血だらけの彼女だ。






 あの地で最悪な目に遭っていながら、この衝動は一体何か。

ターシャは突っ伏し、唇を噛む。

体は、アマンダから離れない。






 その場は、酷く重い空気を漂わせていた。

陽光は水面に眩い光を立たせ、美しくボートや桟橋を照らし続けている。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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