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レアールが桟橋に現れ、そこには拠点のボート2隻が着く。
彼等はアマンダに目を向け、乗船を促した。
「煩わせたな。協力に感謝する」
ビルはロンに踵を返す。
「ああ、いや。ただまぁ…何せ、頼んだよ」
その様子にターシャは絶句する。
景色はみるみるぼやけていった。
やはり、自分がおかしいという事になっている。
それは、酷く孤独を感じてならなかった。
気付けばフラフラとアマンダに手を引かれ、ボートに近付いていく。
益々焦燥する中、懸命に考えを巡らせ続けた。
直に、ルークの真横に着く。
彼は船内のシートから振り向いた姿勢で、船縁に肘を付いて辺りに目を這わせていた。
目を瞬かせながら、高速に動かしている。
まるで人々を舐め回す様だ。
その視線はやがて、やって来たターシャからアマンダに止まる。
真っ直ぐ見上げる目は、ボートの屋根の下に差し込む陽光を受け、同じ晴天を思わせた。
「しんゆう?何だ?それ」
アマンダから受信をしたのか、目を見開かせて興味津々に尋ねている。
ターシャは首を傾げる彼の姿を目に、隣のアマンダを横目で見た。
「理解し合える存在。一緒だと安心する」
声に出した彼女は、ターシャの手を握る手を強める。
ターシャはそれに、更に顔を険しくさせた。
「へぇ。じゃあ、あっちも親友でいっぱいだ」
その声にターシャは顔を上げ、アマンダの手を乱暴に放した。
「触らないで」
それは低く、鋭く放たれた。
その脇では、ボートの屋根を掴み、体を支えて立つビル。
奥には、コックピットに座るジェレクとレアール。
保安官達は冷静を保ち続けるまま、無言でターシャに視線を向ける。
それでも、ただじっと釘付けになるのではない。
ルークの様に表情を変えないが、適度に首に角度を付けたり、視線を動かす事で何らかのオーラを感じさせる。
しかし、ターシャはそんな彼等から目を背けたままだ。
「この子は違う。ルーク、貴方も。
あいつ等の普通じゃない言葉や、間違いを、分かってない。
理解し合えてるなんて言えない」
「ターシャ」
低い声で早々並べ立てられた言葉に、アマンダが飛び込む様に切り出した。
「私はもう、馴染もうとしちゃいけないかな…」
MECHANICAL CITY
本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。
また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。