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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#10. Tracking 再回収
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[2]



#10. Tracking 再回収 [1]


「ターシャ!良かった、会えて!

ルークに集中しちゃって気付かなかった」

「ひゃああっ!」

堪らず叫び、咄嗟に踵を返すと躓いた。

恐怖のあまり、その場から疾走する。

アマンダは入り口を飛び出すと、

慌てて彼女を追った。






 ルークもまた、アマンダの後を追おうと飛び出していたが、立ち止まっていた。

正面には、高く纏め上げられたダークブラウンの髪に、眼鏡を着用したレアールが居る。




「皆お困りよ。

素っ裸で出て行くだなんて、別の要因で捕まるわねぇ」



「まさか。白衣を着てたさ。

丈はともかく、袖の長さが合わなかったけどね」



エバは少々慌てながら、ターシャを先程の女性警官に任せ、前の2人に近付く。



「騒がしいねぇ全く。入って話したらどうだい?」



レアールはふと、彼女を振り返る。



「結構よ。直ぐに行かないと、発作が出ては大変」



彼女はそっと、ルークを誘導していった。





「迎えに来なくても帰ろうと思ってたよ。

ところで何だ?その格好」



「こちらでは当たり前の格好よ。

長居はできない。来て」



エバは目を丸くさせたまま、すんなり立ち去る2人に慌てて声を掛けるが



「お騒がせしたわねぇ。ご協力に感謝よ」



レアールは振り返り際にそっと微笑んで見せると、ルークと共に足早に去った。








挿絵(By みてみん)




 エバを背に、少々坂になる砂の道を下って行く。



「何でだ?君だけ骨格が違う。半端だ」



自分にしか無いはずの動作を彼女がしている事に、疑問を浮かべる。



「色々あってね。もう声に出さないで」



拠点内の事情を漏らす訳にはいかないと、レアールが正面を向いたまま告げた。



「まぁ、隠しておきたい事を話す時なんかは便利、か。

俺達はそれで良くても、人はそうはいかないだろう」




木々のトンネルを進む中、ふわりと彼の目前に飛び込んだモナークバタフライ。

それに目を取られ、左手を不意に差し出すと、着地した。




鮮やかなサンセットカラーの蝶羽(ちょうう)は、ブラックに縁取られ、ホワイトの斑点をアクセントとしている。




「君は長い距離を旅するやつだね。

ここには蝶まで羽休めに来るのか」




ルークの真っ白な手に留まるそれは、まるで寛ぐ様に緩やかな羽ばたきを見せた。




「相手と直接会って、目と顔を見て話す方がいい。

文字だけのやりとりでは得られない情報が、そこにはある。

どんなに想像力が長けていても、結局、想像に過ぎないだろう」




指先で羽ばたかせる動作は、体温を下げているのか。

ある程度繰り返したそれは、直に軽やかに飛び立ってしまう。

それを瞬きしながら目で追うと共に、レアールに向く。




「温度や顔色、声。

更に動作、姿勢なんかが表すものは、事実や嘘、何よりその人を判断できるだろう。

隠されたSOSにも、気付ける可能性がある。

赴いて傍で話せば、一緒に居れば、そこから信頼も築きやすくなり、解決できる事も増えるんじゃないか」




彼はその考えから、通信機能を使っていなかった。




「あら。

いつか、世の忘れん坊様方に教えてあげられるといいわねぇ。



良かれと思って生み出した、連絡手段。

気付けばそれが、接触を避けるものになっている事を。

貴方が言う判断材料を捉えられない事を逆手に、気付けば武器に変わっている事を。



 文字が情報の頼りになり始めた。

更にはリアルを発信すべく、映像公開も増えた。

しかし、それすらも……。



未だにそうなのねぇ、もうすっかり飽きちゃったわ……

死ぬほどに…」




話している僅かな内に、模様が変更された拠点の黒いボートが見えた。






 アマンダに抱擁されるターシャの真横を、ルークとレアールが通過する。



「ルークっ!?」



ターシャは慌てふためくが、アマンダは未だ彼女を放さなかった。

桟橋で話すロンとビルに、じっと目を凝らしている。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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